これは、ドイツ革命の中でスパルタクスブンドの綱領として発表され、後にド
イツ共産党設立大会で党綱領として採択された文章です。
これは、レーニン主義と全く別の党組織論、社会主義建設論なのではないだろ
うか。
社会主義の本質は、勤労大衆が管理される大衆であることをやめ て、政治、経済生活の全てを自らのものとして生き、自らの自覚を持って自由に 決定しながら進めていくところにある。プロレタリア大衆は、資本家によって生 産過程にはめ込まれた死せる機械であることから、自分で考える自由で自立した 生産過程運営者になることを学ばなければならない。彼らは、企業家の鞭とは無 縁な勤勉さを、資本主義的督励とは無縁な最高の能率を、束縛とは無縁な規律 を、支配とは無縁な秩序を発展させなければならない。全体の利益を目指すこの 上なく高い理想主義、厳しい自己規律、大衆の真の市民意識こそは、社会主義社 会の道徳的基礎である。スパルタクスブンドは労働者大衆の上に立って、あるい は労働者大衆を踏み台にして権力を握ろうとする政党ではない.。スパルタクス ブンドはただ、その目的を最高に確信する労働者階級の部分に過ぎない。それは 革命の全ての段階で社会主義の究極目標を明示し、また、全ての民族問題の中で プロレタリア世界革命に役立つものを明確にする。
スパルタクスブンドは、ドイツ労働者大衆の圧倒的多数の疑うべくもない明白 な意思表示によって支持され、スパルタクスブンドの理想、目標、戦術が大衆に よって意識に受け入れられるのでなければ、けっして政治的権力を掌握しようと 思わない。
プロレタリア革命は、闘争によって一歩一歩とゴルゴダの道を、労働者自身が 敗北と勝利のにがく苦しい経験をなめつつ辿って行く事によって、初めて明確に なり、成就されるのだ。
スパルタクスブンドの勝利は革命の初めにではなく、その終りにある。それは 幾百万の社会主義労働者大衆の偉大な勝利に他ならない。(スパルタクスブンド は何を求めるか ? ローザ・ルクセンブルグ)
ローザは社会主義革命における大衆の自立性、自発性、創造性とその為の
自己変革を強く主張し、同時に指導者と大衆を区別し、大衆を客体視、手段視す
る考え方を強く否定した。また、民主主義の原則、「自由は反対する自由」を強
く主張した。
それを伴わないボルシェビキ政権下のプロレタリア独裁が、結局どのような独
裁に転化せざる得ないかを、ローザは既に把握していた。もう一つ指摘しておき
たいのは、レーニンは、意見の違う者との共闘を追求する考えを本当に持ってい
たのかという疑問だ。自分たちの支持者を獲得し、イニシアチブを確立しようと
していただけなのではないだろうか。と言うのは、ソビエト政権が、長年ローザ
と確執があったラデックを派遣したことだ。ローザとラデックの対立の深刻さ
は、ラデックがドイツ共産党設立大会にボルシェビキの公式使節団長として出席
したにもかかわらず、一旦会見を拒絶したほどだ。この人選は極めて問題だっ
た。これでは、ボルシェビキとスパルタクスブント=ドイツ共産党゛の共闘など
最初からできる訳がない。そして、ラデックは、昔馴染みのブレーメン・グルー
プと緊密の連絡を取りながら、活発な工作を始めた。