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一般投稿欄

菅政権をどう考えるか

2010/6/26 櫻井智志

 マスコミは、鳩山・小沢政権を徹底的につぶしにかかった。 「政治とカネ」問題でクリーンなイメージからの逸脱として 国民の間に鳩山・小沢両氏へのダメージが広がって、ついに 政権は菅直人氏に移った。

 菅直人氏は、新自由主義派の政治家を次々に登用した。小沢 一郎氏はかならずしも、新自由主義とは相容れない人物ではな いけれど、現実政治の展開で果たした小沢氏の動きは、民主党 による政権交代にとって意義ある貢献を果たしたし、鳩山氏と の連携も対米従属を打破してアジア強調外交路線を確立しよう とする上でも意義ある取り組みを続けた。
 なによりも小沢一郎氏の本領は、国会選挙対策における経験 と展望において群を抜いていた。金権選挙と呼ばれる側面は、 政権政党自民党幹事長を若干四十代で務めた小沢氏にはかなり あったこともあろう。だが小沢氏の本領は、もっと地方を回り 地元の人材を発掘したり地元と接触し続けて、有効な人材を発 掘しつづけて、前回の参院選、衆院選と選挙勝利を果たしたこ とにうかがわれる。
 菅総理は、実直にも国政選挙直前に消費税増税を含む財政再 建による強い財政確立を訴え、与野党を横断して財政確立論議 を呼びかけた。上向いていた支持率は、急降下しつつある。

 私には、社会市民連合の市民運動家として市川房枝さんの参 院国政選挙の事務局長を務めた頃の菅さんに親近感があった。 自社さ連立政権でも、厚労相として誠実な対応を見せて、国民 的な政治回復を果たそうと務めた。

 だが、総理となってからの菅さんの政治行動には疑問や矛盾 も多く見られる。少し長い視野で見守りたいと思うが、参院選 はもう十日あるかないかである。

 消費税増税に対する国民の判断は現実に直近の参院選で表れ る。政局は、背景に見えない政治力学によって影響される。
 ひとつは財界の判断と働きかけであり、もうひとつはアメリ カ・オバマ政府からの働きかけである。難局をどのように菅氏 は取り組んでいけるだろうか。

 また、沖縄県民の基地撤去の全県的な盛り上がりに見られた 国民的な平和と護憲の意思表示は、沖縄以外の日本国民の多く のマスコミに影響され流動的に変わる政治意識や政治行動を照 らし出すものとなろう。国民の中にも平和運動を担う広範な潜 在的意識と一部の醒めた民衆運動の高まりがある。
 国民を政治的支配する情報操作としてのマスコミ報道の間隙 から、いくつかの政治的コミュニケーション媒体を通して、真 実の社会意識に読み替えを行うことも大切である。
 菅政権に期待したり非難したりするよりは、国民の平和護憲 を指向する運動と言動を広範に広げていくことで、菅政権を包 囲することだ。国民的運動として平和と革新の声が高まるなら、 菅政権は無視できまい。