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「検察審査会」の小沢一郎氏への謀略的な強制起訴

2010/10/4 櫻井智志

 検察庁が二度も不起訴処分にした。その小沢一郎氏を、 「検察審査会」という組織が何度も告発して、憲政史上 ひとりもいないときく国会議員強制起訴にもちこむ議決 を下した。

 しかもその日は九月十四日。民主党代表選当日のこと である。もし菅直人氏が当選せず、小沢氏が当選してい たら、このあいまいで無作為に抽出されたという十一人 のメンバーで構成される検察審査会という、検察とは無 縁な団体はきっと当日に小沢「代表」を代表の座からひ きずりおろすことに成功したであろうか。

 これから小沢一郎氏には、裁判闘争という長い苦難が 待っている。たとえ無罪となったとしても、この決定は 小沢氏の政治力を国民から排除して、弱めることは間違 いない。

 大阪地検の特捜部長のFD改ざんに端を発す検察庁へ の国民の不信感は、いままでの裁判史の見直しそのもの に至るまでの根本的な大問題にまで拡大している。
 しかし、本当は検察だけではない。裁判所も不信感と 無縁ではないかもしれない。けれど、根本的には、この 国の支配権力は、権力が脅威と感ずる相手には、何がな んでもやりとげて叩きつぶすことをやりとげる権力意志 である。検察審査会とは一体なになのか。構成メンバー の氏名は開示されているのか。今回の小沢一郎に関わる 一連の執拗な再三再四にわたるこの団体による小沢追い 落としのバッシングは、私のような幼稚で単純な庶民で も、徹底的な小沢つぶしであることが見抜ける。

 特捜部長および大阪地検の動きも検察審査会の動きも 私には自分が生まれる前後の、戦後のあいづく謀略事件 を想起する。三鷹、松川、帝銀事件などなどあいつぐ戦 後直後の謀略は、容疑者はほとんど無罪か断定的ではな く冤罪の疑いが晴れぬままだった。ただひとつ、容易に 庶民でさえうすうす感づいたのは、アメリカ合衆国中央 情報部=CIAの関与である。現代の事件も、アメリカ 政府のなんかの関わりが全くないと断言できようか。

 鈴木宗男氏、佐藤優氏など次々に政治家や官僚が犯罪 による実刑を受けた。だが、果たして彼らは本当に有罪 だったのか。小沢一郎氏のことを、私は長く金権政治家 で汚職腐敗にまみれていると思ってきた。それが、民主 党の政権交代にまつわる一連の小沢氏の具体的な言動を インターネットや一部マスコミの報道によってより詳細 に知るにつれて、簡単に小沢氏金権腐敗政治家と思いこ んできた自分の定見のなさを感じている。

 せっかく日本共産党のように、自公政権を打倒した国 民のちからを讃えても、その中枢の役割を果たした小沢 氏を「金権腐敗」と決めつけて、自民党などの反動勢力 と一緒になって騒いでいて、官僚亡国からの政治家主導 や政権交代による対米従属脱皮や等距離外交樹立などか なわない。まして、沖縄からの米軍と米軍基地との離脱 を実現させることもかなうまい。

 こんごの「小沢氏政治力減退」裁判の動静を厳しく見 つめ続けたい。同時に、いま日本に渦巻く数々の政治的 現象の本質を見極めるように努力したい。