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一般投稿欄

東日本大地震と東京都知事選

2011/3/13 櫻井 智志

 三月十一日に起きた「東北太平洋沖地震」は、観測史上最悪のM8.8の激震 であった。そればかりでなく、津波と土砂流による被害は、東北各地で、町ごと 取り残されたり、壊滅的な打撃を受けたりするなど、悲惨な様相を呈している。 さらに、福島県の原子力発電所は、第一、第二発電所で、非常事態に至った。爆 発事故は、なんとか人心を乱すまいとする政府高官の必死の記者会見での言葉の 裏側に、アメリカ・スリーマイル島発電所やかつての旧ソ連のチェルノブイリ発 電所に匹敵する容易ならざる事態であることを感じさせられている。なにより も、世界各地の反応やマスコミ報道が、実態を証している。きょう三月十三日、 福島県では一六〇人が被爆したことをTBSテレビで報道した。また、福島第三 発電所も、停止事故が起きている。
 この東日本大地震の直前に、いままであいまいな進退の出処を示していた石原 慎太郎氏が、正式に出馬を表明した。

 石原氏が今回の大地震のような非常事態が起きたときに、どのような陣頭指揮 をとるか。私には、9月1日の総合防災訓練でさえ、治安出動など軍事訓練なみ の訓練に変質させてしまった石原氏は、日本を管理国家、軍事国家にむかう管理 社会化をいっそう推進するであろうことを非常に懸念する。強い者、冨める者を 優先する石原都政は、非常事態のような危機管理において、さらに事態を悪化さ せるように思えてならない。

 日本は、高度経済成長政策の破綻以後、もう世界に冠たる経済大国ではない。 私は、もはや日本は大国主義を捨てるべきだと思う。経済大国ではなくとも、日 本に居住するすべての民衆が、安心して暮らせる国家に転換すべきときだ。一流 でなく、三流で充分ではないか。そのように転換した時に、何が見えてくるだろ うか。教育における修学保障、医療における低額医療負担、福祉における安心で きる保障の拡充。

 日本の経済的資源的財産は、それほど裕福な状態にはない。本土にある資源や 経済的実情に対応した、身のためにあった経済生活をベースに据えるときだ。こ の十二年間、石原慎太郎都知事のもとに、勇者劣敗、競争原理、弱肉強食の剥き 出しの生存競争が激化した。石原都政は、20世紀の古い政治である。限られた 資源のもとに、人心の荒廃から生活の安心による人心安定を第一に考えるべき時 代なのだ。

 こうして見ていくと、都知事選に出馬表明している石原氏、松沢氏、渡辺氏の 三氏がほぼ同列の新自由主義政策の線上にあることで一致している。それと真逆 なのが小池晃氏ただひとりである。首都東京を、日本中のシンボルと唱えるな ら、日本を平和福祉社会として建設していく上で、日本共産党政策委員長を歴任 された小池氏こそが、その実現にふさわしい人間的資質と政治的手腕を備えてい る候補者だと考える。

 大震災に被災された皆さんをお見舞いし、回復を深く願ってやまない。