まず、今回の地震の被害者にお見舞い申し上げると共に、人命救助がなされ早 期の復興がなされることを願っている。
櫻井氏が言う所の「政策全体の構造」とはアメリカ軍への思いやり予算のよう
である。
思いやり予算は、2010年で1881億円余りで、社会保障費が約29兆円
で年に1兆円ずつ増加する現状からして、桁の違う問題であり、「思いやり予
算」をゼロにしても社会保障費を賄うことが到底できないことは誰にでもわかる
話である。
次に櫻井氏は、消費税率が引き上げられれば、不況や失業で苦しめられている
労働者などの民衆の生活苦が増大するという見解のようだが、全く論拠のない話
である。
生活保護では、消費税率引き上げの場合、その負担分は生活保護基準の引き上
げる措置が通常とられる。
宮本太郎教授が座長となり、日本を代表する社会保障学者を集め昨年12月に
まとめた「社会保障改革に関する有識者検討会報告」でも、消費税引き上げに関
する低所得者への負担増に関しては、低所得者向けの社会保障の施策の拡充で生
活困難の増大を防ぐことができるという結論を出している。
同時に上記の報告では、日本の社会保障を維持し、発展させるためには消費税
の増税は不可欠というのが、結論である。
宮本教授をはじめとして、日本を代表する社会保障学者は社会保障の維持・拡
充のためには消費税の増税が必要と結論付けている。
共産党の消費税増税反対も櫻井氏の見解も、宮本教授のような日本の社会保障
学者の主流的見解と大きくかけ離れている。
共産党の、そして櫻井氏の「消費税増税に反対し、社会保障の財源は大丈夫」
となんの財政的根拠を示さずの主張は、知的水準の高い国民の離反を招こう。
だから無責任な主張を繰り返す共産党は、この間議席数を大幅に減らし続け、
党員も若手がほとんど入らず、党員の平均年齢が高齢化し、老人政党化している
ではないか。
昔からの共産党の消費税反対と社会保障拡充の主張は、矛盾にみちなものだっ
たと考える。すなわち財源論なき福祉拡充論であり、実現可能性が全く欠落した
福祉論といえよう。
最後に、櫻井氏が宮本教授も参加する「社会保障改革に関する集中検討会」の
報告が民主党政権により無視され、店晒しになるという確信をお持ちのようだ
が、そもそも管政権がはじめから宮本教授の見解を無視・店晒しするつもりな
ら、なぜ宮本太郎教授を政府の重要な委員に起用するのか、をお答えいただきた
い。
小泉政権のときは、竹中平蔵などの新自由主義者を政府の委員として重用し、
実際の政策に彼らの見解を多く反映させたではないのか。