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「自由の女神」の悲嘆

2011/9/10 櫻井智志

 オバマ大統領が実現した時に、私はアフリカ系列の黒人初の大統領として、大いに期待した。だが、アメリカという国家は、ひとりの理想主義に燃える優秀な指導者ひとりではどうにもならないものだ。

 突然話がとぶが、芸能界を島田紳助氏が引退した。一説に、アメリカ政府は、旧ソ連の犯罪組織、イタリアのマフィア、メキシコの麻薬カルテル、日本のヤクザ組織をとりあげ、次のような対応をおこなっている。

(以下引用要約)

 8月25日にオバマ政権が日本の「ヤクザ」を国際的な犯罪組織として名指しし、アメリカの制裁対象として発表している。

 暴力団と関わりのある芸能人は、今回の事件に震え上がっている事だろう、吊るし上げられた島田紳助氏は、いわば「見せしめ」のような事例だったのではあるまいか。

 「ヤクザ制裁措置」は、7月25日、アメリカ国内でホルダー司法長官が発表したもの。大統領令に署名したオバマ自身が「同盟国と協調した対応を進める」と明言している。
 指定組織は4団体で、旧ソ連の犯罪組織、メキシコの麻薬カルテル、イタリアのマフィア等で、日本の「YAKUZA」がそこに列挙された形になる。理由としては、アメリカ国内での麻薬事件が社会深刻化している事やマネーロンダリングや武器売買が対象とされている。
 対応の内容としては、「経済制裁」。それら4団体を国際犯罪組織と位置付け、アメリカ国内における口座等の金融資産を凍結するというもの。そして、今回の事件とこのアメリカの措置が結びつく見逃せないポイントとして、この措置では「これらの犯罪組織の活動を支援している企業や個人の資産も凍結する」(NHK)としている事が挙げられる。

 7月下旬のアメリカは、デフォルト問題で議会が紛糾していた。「債務引き上げ問題」だ。債務が引き上げられなかった場合、国庫と歳入しか資産が残らなくなるアメリカが、予め少しでも多くの金融資産を確保しておこうとした、という話。アメリカは、国際犯罪という大義名分の下、関係各国の犯罪組織、および関連する個人からもお金を巻き上げる、といった荒業に出ていたとみられている。大義名分と「マネー」がリンクすれば、アメリカはそこに簡単に付け込んでくる。アメリカがそういう国である事に、誰であっても反論する事は難しい。

 7月下旬のこの措置発表は、日本の警察当局にも緊張感を与えた事だろう。取り締まり強化を通達されたという芸能事務所とて同様で、社会的影響力の強い芸能人を抱えているとすれば尚更だ。吉本興業としても苦肉の決断だった事と巷間ささやかれている。

(引用要約終わり)

 ことは、芸能界ばかりではない。日本社会の経済、銀行、産業、医療、保険など全面的にアメリカ支配がゆきわたっている。山岡淳一郎氏は、著書『国民皆保険が危ない』(平凡社新書)で、国際化という名の圧力で、日本の医療や世界に冠たる国民皆保険が、市場主義による自由化を推し進める「医療の国際化」が、国民皆保険を突き崩す「医療ツーリズム」として民主党政権の新成長戦略の柱とされていることに危機感を表明している。
 だが、アメリカ政府の国際社会を超一国覇権主義で支配してきたもくろみは、経済的市場からほころびつつある。国際的な金融市場でドルの威信は毎年低下のあえぎで、くすみはじめてきた。
 自由の女神。アメリカ社会の象徴は、嘆きで曇った憂いに満ちている。