大阪市長選を直前にして、共産党市議から無所属で立候補表明していた候補が、
出馬を辞退した。
大阪市長選には、大阪府知事の橋下徹氏が、府知事を退職して出馬、という異例
のケースで、現職の市長に対抗して事実上の選挙戦が始まっていた。
私は、橋下徹氏の本質は大衆迎合政治家と思っているが、東日本大震災と福島 原発事故後の不安と暗い心情の世相のなかで、橋下氏が独裁政治家のスタンス から強権政治を志向しはじめようとしていると見ている。
大阪府知事が大阪市長となり、「大阪都」をつくり、という構想だけなら、まだしも、橋下氏の教育行政は、歴史修正主義教科書運動を進める団体を上回る教育の全体主義化を促す危険な策動である。教育基本法改定により、憲法の外堀を埋めた反動改憲勢力は、もはや内堀をも埋め、一気に憲法改悪へと突き進んでいる。
そのような情勢下で、橋下徹氏が大阪で進めようとしている政治姿勢には、かつ
ては仲が良かったといわれる現職の大阪市長でさえ、懸念を表明している。
もし共産党系列の勢力が、三番目の候補を立てたままなら、橋下氏圧勝はほぼ
間違いなかった。いや、今でさえ橋下氏は多くの支持者がいる。日本共産党が懸念
する世論の声に耳を傾けて、共産党推薦の候補者を取り下げたことで、現職市長と
前府知事との一騎打ちという選挙戦がおこなわれるだろう。
今回の日本共産党の決断を、私は英断と評価する。