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一般投稿欄

“日本に福祉国家を”さんへ

2011/11/19 クマさん

 党員用投稿欄11月6日「消費税は“社会福祉破壊税”です」という、私の投稿内容についての貴方の意見を党員用投稿欄で拝見しました。貴方は私に質問をしていますので次にお答えをします。ただし、

◇貴方には申し訳ありませんが、私は当ブログ「さざ波通信」において党員以外の人との討論をするつもりは全くありません。最初にそれをお断りしておきます。

 ご承知の通り、日本共産党は2000年以降の国政選挙8回で大敗北を続け、新聞「赤旗」発行危機の事態にまで立ち至っています。10年余の運動は失敗し、それまで築いてきた日本の革命運動の土台を掘り崩す事態を生んでいます。左翼運動の失敗は支配階級を利し、人々には損失となるばかりであり、社会の進歩に何一つプラスになりません。
 資本主義世界が閉塞し、日本では自民党が政権の座から再度引きずり降ろされる時代に、90年代末まで運動を前進させていた日本共産党が役に立たなくなった。それどころか、日本の革新運動をだいなしにしています。

 物事にはすべて原因があります。
 すでに10余年前、日本共産党の運動が必ず失敗するだろうことは、当「さざ波通信」も明確に指摘していました。その通りになり――「全党の活動の基本方針を決めた綱領がまちがっていれば、かならず党活動は破たんし、混乱します」(新入党員用「基本過程」1984年版)という事態が現実になったのです。

 私が当ブログに投稿させてもらっているのは、全くそのような党内問題のために行っている行為です。そのことから当ブログにおいて、どんな問題であれ党外の人と討論する意味が私にはないのです。ですから私はこれまで党員用投稿欄以外にはコメントを出していません。
 貴方からは長いコメントをいただきましたが、そのようにご理解下さい。ただ今回は何かの縁でしょうから、貴方の質問への答えと、コメントを記しておきます。

◇質問への答え

 「福祉国家論」が理論的に破綻しているという論拠は何かを示して、という質問ですが、
 それは、すでに私の投稿でその理論名を示しあります。ケネス・ジョセフ・アロー(1973年アメリカ経済学会会長)がノーベル経済学賞を受けた理論「一般不可能性定理」によって「福祉国家論」は世界の舞台で破綻しています。ぜひ学んで下さい。

 以下、貴方の投稿内容へのコメントです、

◇貴方の誤解について

* 私は、「『福祉国家論』は『革新3目標』とは正面から敵対する理論です」と言いましたが「反動理論」だとは言っていません。それは貴方が付け足した言葉です。

* (福祉国家と基本法研究会)「新たな福祉国家を展望する」は、貴方のいうような「福祉国家推進を主張」するものとは趣が違い、日本国憲法が明確に定めた社会保障制度の確立は国の義務である、その発展方向を探究している延長の内容にあるものです。――そのように、「福祉国家」という用語が、保守勢力の側からも労働運動の側からもとり上げられ論じられています。だから私は「福祉国家論」=「反動理論」だとは言いません。「福祉国家」については「論」にも当たらない様々な用いられ方がしているからです。

* 日本共産党が当面資本主義の枠内での革命を主張していることについて、貴方は、ソ連・東ヨーロッパの社会主義崩壊の後に選択したと述べていますが、全くの間違いです。

 日本共産党は1961年綱領確定し、「日本の当面する革命は、アメリカ帝国主義と日本独占資本の支配という2つの敵に反対する反帝反独占の民主主義革命」であるとしています。“反帝国主義も反独占資本主義”いずれも一般民主主義の要求・課題であり社会主義の課題ではなく、全く資本主義体制の枠内での革命です。日本の社会主義を実現するためにはまずその「2つの敵」の支配を打倒する方針を掲げたのです。

* ソ連崩壊によって日本「共産党内でも社会主義ははるかかなた先の課題に追いやられ」と貴方は言っていますが、それも間違いです。

 科学的社会主義の革命運動論では、発達した資本主義国での革命について――古くはエンゲルスによって、議会政治が発達した資本主義国では辛抱強く言論戦になることを述べ、レーニンによっては、ロシアのような遅れた国(生産力が弱く、文盲も9割のような状態)での革命をはじめることは容易だがそれ以後の社会建設は困難が待ち構えることを述べ(実際に壊れましたが)、西ヨーロッパのように発達している国での革命は困難だがそ以後の社会主義建設は全く容易であるとして述べ――日本共産党も、綱領確定の時から、1970年第11回大会、1990年第19回大会等々事あるごとに、高度に発達した資本主義国での革命条件の問題を論じ、どんなに政治や社会の矛盾が深まろうとも革命勢力の結集・その主体的条件が前進しなければ革命はできないと、、、「赤旗」日刊紙発行危機のようではもう無理ですが、、、そのように革命の時期を巡る捉え方の問題は全く明確であり、ソ連崩壊でその運動方向が変わったことはありません。貴方の勉強不足です。

* 貴方が賛成する「ヨーロッパのようにルールある資本主義の実現」という課題は、革命以前でも達成できる課題ではあります。が、それでも現在の日本共産党のその方針は運動の役に立ちません――問題があります。
 第一に、「ルールある資本主義」など意味のない用語を用いているからです。資本主義のルールとは何かと言えば、資本家階級による生産手段の所有と国家支配でありその発達です。イギリスの資本主義、スウェーデンの資本主義、アメリカ、日本の資本主義でありそれはみんな「資本主義のルール」であり、その国の歴史と条件によって現れ方が違っているだけでの話で、社会は抽象的に存在することはできないとうだけの話であり、言葉を変えて言えば、各国の姿が“資本主義のルール”そのものです。
 その現れているルールを変えたければ、ただ闘争してルールを変える以外に方法はありません。
 そのための正しい本来の日本共産党の政策は、「大企業の民主的規制」の実現という方針です。
 大企業はその本性とシステムから自分から、貴方の望む「ルール」など徹底的に攻撃します。国民の強大な革新的運動とその代表・国会議員のたたかいによってのみ「ルール」改訂の実現が可能となります。
 第二に、貴方のいう「福祉の充実した北欧などヨーロッパ」ということであれば、――現在の日本では、まずは、沖縄をはじめ米軍基地を撤去させ、日米軍事同盟を廃棄し日本が独立国にならなければなりません。「ルール」づくりに直接関与しているアメリカの介入をまず排除しなければなりません。そして貴方のいう“スウェーデンのような社会政策”を実現しようとしたら、アメリカに従属・庇護の下で金の亡者と化している多国籍企業・金融独占の日本独占資本がどんなに抵抗しようが、彼らにそれを認めさせる力が国民の側に備わっていなければ、それは「絵に描いた餅にしか」ならないのです。
 スウェーデン王国は、非軍事同盟・中立、何よりも比例代表制選挙制度の下で、労組組織率75%以上、消費者組合50%世帯加入、公的オンブズマン制度など――長い歴史的に積み上げられた国民の民主主義の力と運動が、その法をつくり守り、監視し、現在の公的制度を実現してきたのです。財源政策も含めて、その社会政策を実現するというのはそのように国民の運動が決定するのです。
 「ヨーロッパのように」などというからには、そうした北欧の運動の経過に学ぼうというならまだしも、出来合いの表面のシステムを上げてうらやましそうにしているだけの情けない話です。だから、かつての日本共産党は、将来のビジョンについて他国にモデルは求めず、それは国民の積み重ねでつくり上げるものとして青写真も描かなかったのです。ただ、党綱領と「自由と民主主義の宣言」において、その目指す方向と課題を明確にしていました。

 日本は、世界最高の長寿国です。
 戦後日本は、国民主権、平和憲法、基本的人権と社会保障制度の確立、議会制民主主義、地方自治――日本国憲法に守られ励まされ、戦前からの義務教育による国民の知的力、工業生産など高度な技術的潜在力、また生み出す財力を、軍事ではなく平和・民需産業に効率的に注ぎこみ、対米従属の下で高度な経済発展を生み出した。そこには平和憲法とその運動が寄与していたのです。
 左翼運動は革新的国民運動を前進させ、労組組織率28%(現在18%)も左翼労組・総評が力を持ち、70年代半ばには社会党・共産党の革新統一による革新自治体は全国半数に迫る前進をかちとり福祉行政の充実を広げていきました、、、日本は、歴史的な安保闘争の高揚の中で61年皆保険制度、皆年金制度導入、“福祉6法で社会福祉国家の体裁を整えた”とまで言われ、その後、70年代には、老人医療無料化に始まるいっそうの発展をかちとっていたのです。
 その国民の運動に敵対する米日反動陣営は総力を挙げていどみ、反共キャンペーン、社共分断、労組の右翼的再編成に着手し、1980年には日本社会党は共産党との友党関係を破棄し「社公合意」を結び、、、今日に至る日本政治の反動的再編が開始されたのです。
 戦後、日本の社会保障制度の後退がその時から始まっていますが、貴方は調べてみればスグ解ることです。
 古今東西 社会保障の発展は、労働者階級の雇用主の搾取に反対する闘争、国民の生存権の保障を要求するたたかいによってのみ発展し、資本主義社会の下では運動が弱まればたちどころに後退する運命にあるものです。

 そのように、貴方のいう日本の「福祉国家」の方向は何も目新しいものではなく、日本ではすでに1960年代に広く方向がとらえられていたものであり、(福祉国家と基本法研究会)「新たな福祉国家を展望する」運動はその延長に位置付けられるものです。

 貴方はケインズのことを肯定的に述べていますが、、、例えば「完全雇用」の政策もケインズの理論にそったものです。1929年世界大恐慌で大量の失業者が生まれ、労働者の運動を恐れた独占資本が活用、、、資本主義は失業者を生み出し貧困を生みだします。スウェーデンや北欧もそれをさけることはできません。――そのように、資本主義の枠内では失業・福祉問題が常に問題となり、資本主義の枠内での解決を可能と主張するための理論が登場し続けるのです。ケインズの理論は「修正資本主義論」の拠り所として代表的なものであり(それも参考にした1930年代スウェーデン型社会経済方式の挑戦が開始ともいわれる)、資本主義の永続性への幻想を与え続けています。が、新自由主義者はそれにも毒づく“強欲”なだけであって、本質的にはそれらは互いに社会主義運動に敵対している理論です。
 “福祉国家”の用語が立場様々に使用されてきていますが、貴方には、それがどのような意味で使用されているのか吟味する必要があると思います。――いずれにしろ、今は日本の国民運動が弱いというだけの話であり、「ヨーロッパのように」なりたいなどと言う頼りない政党や人々に対してきっと、日本国憲法は涙し、真の革新運動の伝統も涙するでしょう。
 貴方の望む社会保障の真の解決は、「各人の発展が万人の自由な発展の条件である連合体」(共産党宣言)である社会主義社会でしか実現できません。

* 貴方の言う「スウェーデン・・消費税25%の国ですが、消費税収が貧困を緩和するために社会保障財源として使われており」の記述以下の捉え方も、数字データ―も正しくありません。

・消費税は、書籍や新聞などは6%、食料品、交通費、ホテル代などは12%、それ以外が25%です。
・年金や児童手当は国、医療(病院・診療所)は県、介護や保育や高校までの教育や住宅などはコミューンが実施し、その財源は、国庫補助を配して所得税(高額所得は国)全額が地方財源になっています。
・貴方の貧困率のデータ―がどこのものか解りませんが違います。失業率も日本と大差ありません。最近のOECD統計では可処分所得貧困率では5.17%(日本13.5%)、勤労世代貧困率16.2%(日本16.2%)であり調査項目によって如何様にも数字は出ます。加えて言えば、人口が日本の14分の1でありながら刑法犯罪が100万件(日本170万件)も発生し強盗件数は日本の100倍の数字、自殺率も1970年代から暫時増加し2000年2,51%(10万人当たり)と日本と大差ありません。

* スウェーデンでは「福祉」という用語は「百科事典」にも、政策用語にも存在しないそうです。該当する項目は「社会政策」、「国民が日常的に支障を来さぬように備える政治」と解説されていると、、、スウェーデンを福祉国家などとは、大変迷惑な話のようです。
 「福祉」という貧困が発生する社会システムを前提とした“施し、恵み”その慈善行為は罪滅ぼしで天国への近道と教義したカトリシズム、それを嫌うプロテスタント(ルーテル派新教)のスウェーデン王国に、社会保障権を実現した当時のソ連邦の影響、そこに社会民主党が主導した近代民主主義の運動が加わり社会政策としての「公的主義」がつくり出されたのです。「福祉」が死語の国とか。

◇国際比較――単純にデータ―を運用できない問題

 かつて、スウェーデン外務省が「国際比較は無理」としていたことを見ました。
・各国の税法がまちまち、制度が一元化されていないこと
・課税対象の所得や資産の定義、範囲も不揃いであること
・課税控除枠が千差万別なあげく課税金額が違っている
そして、
・政策選択は国民の務め、出来不出来は自業自得、他国と比較するのは無意味である
・自国の法律や制度は完成度を上げればいいだけの話
・社会保障は国内問題、政治家や政府関係者が国民相手に他国の数字を公表してあれこれいう性質の問題でない
・OECDの比較、また、GDPとの社会保障費比較は妥当性に欠ける。

 1/3が公務員の国・スウェーデン、大学まで教育関係費は全額無料、年金所得は最低でも13万円(月)以上、全国民は医療費、介護費は全て無料、生命保険もガン保険も介護保険も何のことか国民は知らない国、、、、そんな国の消費税と日本の消費税と比べるなどアホらしいことなのです。

◇消費税に関する貴方のコメントは、日本国憲法による社会保障制度の確立の立場からして、徹頭徹尾間違っています。

 経済評論家の森永卓郎さんは、消費税を社会保障財源にあてる議論には大きなインチキが2つある、と言っています。
 1つ目のインチキは、消費税という逆進的な税制によって社会保障を賄おうと考えている点である。財務省の試算で、年収146万円の人は消費税負担率が収入の3.7%を占め、年収2135万円の人は1.4%と、倍以上の税負担である。そもそも根本の思想が間違っている。
 2つ目のインチキは、厚生年金、雇用保険、健康保険が労使折半だったが、社会保険の支払いを消費税に移行すると企業の側の負担がゼロになる。今後は100%労働者が社会保障を負担するということになる。
 「お人良しの国民は『財源が足りないから消費税をあげるのも仕方ない』『日本の将来はみんなで負担しなくてはならない』と思わされてしまっている。」

 氏は、財源の基本は累進課税であり日本の税法の連続性の上で生み出す重要性を解き、提案を述べて、「最良のもの考えるのは政治家の仕事である。」といっています。

 貴方は、日本の「財政破綻」「異常な借金」を言うが、ナゼ、何のためにそのように立ち至ったかについて何一つ述べていない、また、共産党が財源政策を持たないと言っているがその調べた形跡がない、また、貴方が最初上げた中央社会保障推進協議会とその傘下団体はすべて消費税廃止を課題としている団体です。それらの団体の名誉のために

 消費税は国の財源に入れば、それは「色」が付いていないので、社会保障とも軍事とも大企業・資産家優遇のための使途かも誰も解りません。――だから、スウェーデンの国民は税金の使途を徹底的にチェックしているそうです。貴方のコメントでは全くそれをしていません。

 貴方が私の投稿に1回コメントしたので、民主主義の精神で、私も1回コメントしました。
 冒頭述べましたように、私は党員以外の討論は致しませんのでよろしくお願いします。