12月17日の新聞朝刊は、福島原発「低温収束」宣言を政府が公式発表したこと をつたえた。 また、子どもたちの健康保障のための親たちの出来る限りの人権回復措置として、 裁判所に原告が起こしていた「ふくしま集団疎開」裁判は12月16日、福島地裁郡山 支部(清水響裁判長)により「却下」された。そのことが速報として友人からつたえら れてきた。
これらの相次ぐニュースによって、政府や裁判所など、この国家の支配統治機構 は、福島原発事故の被害者である民衆に対して、決定的な棄民化政策で全面的に 動き出したことを鮮明に知らしめた。
福島原発事故は、海水を通じて太平洋全域に、空の季節風によってアジア、世 界全域にさえ被害を広げている。なによりもわが国の東北地域のみならず、日本中 の国民にもじわじわと内部被曝など拡大している。政府の棄民化政策とは、これか ら顕在化する国民全体にも及ぶ普遍性をもっている。
献身的な現場指揮を執り続けた福島原発所長は、胃がんにより現場から去り入院 した。現場作業員が、集団でノロウイルス感染による集団食中毒発生という今朝12 月17日のニュースは、ヒロシマやナガサキでの被爆者の胃腸障害を想起させる。 吉田原発所長の胃がん入院にしても、集団食中毒にしても、直接は原発事故とはつ ながらない、という二つの政府報道とマスコミの大本営的報道は、専門家の所見を知 ると、かなり白々しく感ぜられる。ほとんど素人である私でも、数々のこれはおかしい という事態が連なると、これではだめだろうという疑惑と諦念とが蓄積していく。
どんなに悲観的でも、事実のもつ重みを知らないで、破滅の淵に立たされるよりは、 たとえ自らが破滅していくない明日がやってくることを自覚して、重い事実の前で自ら ができる可能な抵抗を示しながら、深淵に挑んでいきたい。