風来坊さんに
風来坊さんがあえて意図的に触れられない問題は、国の社会保障予算が
1990年度は約11兆円で、それが2011年度は約29兆円まで激増してお
り、この間、これからも社会保障予算が年に1兆円ずつ増えるという事実を述べ
られないことですね。
まず、社会保障費の激増という現実に目を向けないで消費税増税反対論を展開
されることは無意味と考えます。
2011年度予算では、歳出約92兆円で、そこから過去の借金の返済(国債
返済)が約21兆円で、92兆円-21兆円=71兆円であり、そこから地方交
付税17兆円を引けば、一般歳出が54兆円で、それに占める社会保障費29兆
円の割合が約54%になるという現実であり、それだけの歳出を賄うのに年に約
44兆円の国債発行(新たな借金)をしています。
風来坊さんの主張のように、消費税増税前にすべてを戻しても、導入前と今と
では社会保障予算の金額が絶対的に違うという事実を忘却されているようです。
風来坊さんは前回の投稿で、「さらに今回の消費税増税は、丸楠夫さんも指摘
しているように、労使折半の厚生年金、雇用保険、失業保険の企業負担分を無く
す前提で論議されている。消費税増税分を福祉に充てるとというのも大嘘だ。政
府は目的税化するつもりは無い。」と述べられていますが、私は厚生年金・健康
保険・失業保険の労使折半の保険料の使用者負担をなくす方向で政府・民主党が
検討しているという事実を確認できません。
風来坊さん、社会保険料の労使折半をなくす方向で検討されているという情報
源を是非お示しいただきたいと存じます。
もしそういう確かな情報なしに、推測で議論を進められたとすれば、消費税問
題の議論をすることが無意味になるのではないでしょうか。
風来坊さんは、前回の投稿で「消費税導入以来なされて来た事の反対の事をす
れば、良いのではないだろうか。法人税を元に戻す、所得税の累進課税を元に戻
す、証券取引の優遇処置の撤廃、配当所得の総合課税化、物品税、飲食税の復活
等ではどうだろう。」と主張されていますが、私は前回の投稿の12月18日付
で、日本の財政のプライマリーバランスが約23兆円の赤字と述べましたが、今
後借金を増やさないためには将来的にプライマリーバランスの黒字化・均衡化が
必要で、それには約23兆円以上の税収増や歳出削減が必要と述べました。当
然、23兆プラス社会保障費の増加年1兆円×達成の要する年数ということとな
ります。
風来坊さんの主張される財政的措置をすべて実現したとして、いくらの財源が
捻出されるのか、それで約23兆円の税の増収が図れ、プライマリーバランスを
黒字化できるのか、等を具体的に検討することが消費税増税に代わる財源問題の
議論では必要であり、風来坊さんが主張される政策による具体的な捻出可能な財
源・金額をお示しいただきたいと存じます。
財源議論とは抽象的議論ではなく、具体的金額・数字の議論であり、消費税増 税以外の方法で今後増加する社会保障費を賄い、今の日本の財政赤字を解消でき る具体的数字の提起を望むものです。そうでないと対案としての説得性はありま せん。
丸さんへの防衛問題への回答
ここでは、自衛隊の災害救助隊としての機能と軍事機能とにわけて論じたいと
思います。自衛隊員約23万人の人件費・食糧費などが防衛費全体の44.8%
を占めています。また、災害救助に活躍したトラック・ヘリコプター・ジープや
艦船などの装備品の費用も災害救助隊として必要であり、日本のような地震国・
台風がよく訪れるような国(伊勢湾台風では大量の犠牲者を出した)では、現状の
自衛隊の担う災害救助隊機能は必要でしょうし、国民の間で異論もないことで
しょう。
私は、共産党が現在自衛隊が担う災害救助隊機能をどうするのか、自衛隊とは
別に災害救助隊を創設すべきと考えるのか、明確な指針なく、軍事費を削ればか
り主張しているのが問題と考えます。
自衛隊の軍事機能に関しては、国民の間でも議論が分かれるでしょうが、隣国
に北朝鮮が存在します。最近も休戦状態にある韓国の島に砲撃を一方的に加え
る、日本に対してもかつて拉致事件も起こす、北朝鮮の工作船が日本の領海侵犯
を行い、日本の巡視船と銃撃戦まで起こすような危険な国です。また金正日氏急
死後、北朝鮮情勢がどう推移するのかも不透明な状況です。
北朝鮮は、ノドン・テホドンなど弾道ミサイルを保有し、核開発も進めていま
す。北朝鮮のミサイルが日本に向け発射された場合、自衛隊がそれを迎撃し日本
国内への被害を最小限とする装備を自衛隊が持つことは必要と考える国民も多い
ことでしょう。
自衛隊は、弾道ミサイルへの迎撃能力のある地対空ミサイルのパトリオットを
保有しています。高価なパトリオットが必要かどうか、対北朝鮮に関する防衛を
どうするのかに関しては、共産党も国民的議論をすればよいのではないでしょうか。
日本国憲法では、軍事力の保有は禁じられており、北朝鮮の発射したミサイル
を迎撃する兵器を保有することも憲法違反で、たとえ核ミサイルが東京に着弾
し、広島原爆並みの被害を出しても、なすがままに任せるというのが共産党の主
張かもしれませんね。
共産党は、自衛隊の災害救助機能、北朝鮮が軍事的に日本を攻撃した場合の対 応など、議論を避けているように思います。
正面から、共産党はこれらの問題に関しても論じるべきだし、日本の軍事費削 減の是非は日本での災害救助隊をどうするのか、対北朝鮮への防衛政策をどうす るのか、の方向性を議論する中で論じるべきではないでしょうか。