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福祉国家をさんの驚くべき無データの消費税論について

2011/12/25 大方等 50代 自営業

 ちょっと、信じがたい主張が日本に福祉国家をさんからなされているようです。 全くの横レスになりますが、まるで消費税が打ち出の小槌であるかのような前提 で話をされています。

 要するに福祉国家をさんの12月18日付の投稿の核心部分は

・・・差額が71兆円ー48兆円=23兆円の赤字となっており、1年間で23兆円累積債務が増える状況である。・・・

 ここは、まあ、いいでしょう。 ですが、その解決策として、一貫して唱えられておられる消費税増税の見通しとなると、途端に信じがたい無データ、、無検証のまるで打ち出の小槌とでも言いたくなるような主張をされています。

・・・消費税の増税でこの額を賄うためには、今消費税収が5%で10兆円であり、税率2%がおよそ2兆円にあたる。・・・

 う~~ん、私の記憶では、確か、消費税収は11兆円だったように思いますが、、、まあ、次に行きましょう。

・・・消費税率を、フランス19,6%・ドイツ19,0%並みに引き上げれば、30兆円近い増収となり、食料品などへの軽減税率の導入や社会保障費の自然増を勘案してもプライマリーバランスの黒字化は不可能ではない。・・・

 この部分が驚くべき、無データ、無検証による暴論(消費税=打ち出の小槌論)に見えるのですよ。そんな、馬鹿げたことが一体全体あり得るのでしょうかね??

 食糧費をはじめ各種軽減税率や非課税、ゼロ税率などがその独仏などの欧州諸国で 一体どの程度の規模で実施されているのかをご存じなのでしょうか?

 その肝心の部分が全く無データ、無検証では、福祉国家をさんの御主張の肝心要の部分=消費税増税による税収増加見込みそのものが成り立たない暴論であることがご本人にも分かってらっしゃらない、ということにはなりませんか??

 また。理念的な部分での反論を風来坊さんはじめ、さまざまな方がなされておりますが、いずれも具体的なデータに基づく反論のようには見えません。(間違っていたらすみません)

 ですから、議論がすれ違って、真相がよく見えてこないように思います。

 では、なにも消費税率19,6%や19%の独仏などと遠慮しないで、思い切って消費税率25%のスエーデンの例を見てみましょうか。

 福祉国家をさんの御主張では、1%2兆円なのですから、40兆円もの増収ですよね。しめて50兆円の消費税収入となるわけですから、食料品への軽減税率や社会保障の自然増を勘案してもプライマリーバランスの黒字化は不可能ではない、、、となるハズですよね。

 では実際はどうでしょうか??

 少々古いですが、1998年当時のスエーデンの財政状況や社会保障給付のデータがあります。
 出典は大阪社会保障推進協議会オランダスエーデン視察団報告記「オランダの奇跡、スエーデンの挑戦に学ぶ」です。 でも、データ自体はOECDのものがほとんどです。(この出典に記憶がある方もおられるでしょうが。 かつて議論に何度も使いましたから)

 1998年の租税社会保障負担の対GDP比は

 1位 スエーデン   52%     消費税率 25%
 5位 仏       45,2%    同   20,6%
16位 独       37,0%    同   16,0%

 に対して
25位 米国      28,9%    同     0% 27位 日本      28,4%    同     5%(当時も今も日本のGDPは約500兆円)

 となっております。
 日本とスエーデンとは税収全体(つまり租税+社会保障負担)の差額はGDP比で23,6%もあったのです。
 1998年当時も現在もGDPはおおよそ500兆円でそう大きく変わらないですから、仮にスエーデン並みに25%=40兆円増収ですか?にしたところで、それはGDP比8%ですから、とても、スエーデンの高福祉には追いつけないことが分かります。 即ち、ここで一つのポイントとして、日本に福祉国家をさんが、日本に福祉国家を展望され るなら、安易な消費税=福祉目的税化の推進に走られないようにご忠告申し上げます。

 次に、では、実際のスエーデンの財政状況をデータによって検証しましょうか。

 同じく1998年のデータです。 対GDP比52%の税収全体の内訳です。(%で示します)

                    日本のGDP500兆に換算した額
所得税課税 400131(単位百万クローネ) 40,9%   106兆3千億円
社会保険料 344461           28,8%    74兆9千億円
給与支払総額労働力課税 46972       4,8%    12兆8千億
資産課税        36798       3,8%     9兆9千億円
財サービス課税     21182      13,5%    35兆1千億円
内付加価値税      79135       8,1%    21兆円
その他          1296       0,1%     2千6百億円

 という構成になっています。 スエーデンの租税社会保障負担額の対GDP比は2005年でも約50%ですから、データが古いとはいえ、おおよその傾向は分かるでしょう。

 つまり、スエーデンのような25%もの高税率の付加価値税(消費税)にしたところで、 実際の税収は21兆円にしかならないのですよ。

 いいですか、福祉国家をさんの言を再録しますね。

・・・消費税率をフランス19,6%ドイツ19,0%並みに引き上げれば、(スエーデン並みに25%に引き上げれば)、30兆円近い増収となり=合計40兆円の消費税収入(40兆円近い増収となり=合計50兆円の消費税収)、食料品への軽減税率の導入や社会保障費の自然増を勘案してもプライマリーバランスの黒字化は不可能ではない・・・・

(=や( )は私が付けました)
 という御主張がいかに実際のデータに基づかない驚くべき暴論かがお分かりになるのではないでしょうか? 

 実際のデータに基づけば、1998年の計算値ですが、スエーデンの25%の高税率の消費税ですら21兆円にしかなりませんから、11兆円程の税収増にしかならないわけですよ。

 まあ、軽減税枠や非課税枠をずっとうんと縮小して消費税率を19%程度に上げるという御主張なら、それは、確かにおっしゃる通りにはなるでしょうけど。

 しかし、欧州で実際に実施されている消費税、それも世界最高税率の25%のスエーデンにしたところで、ぜいぜい日本の5%の倍程度の税収でしかないのですよ。

 つまり、所詮、消費税という形での大衆課税にはそもそも限界があるのですよ。
 国家の経済への破壊的影響があまりに大きいのですよ。

 所詮、消費税なんぞは財政・福祉の端役でしかありえません。

 消費税で財政再建を!などとは到底無理な話です。 ましてや、消費税で福祉を!なんぞは全く噴飯ものの議論です。 (福祉って100兆円規模の話ですから。)

 30兆円の税収増ですか?現状10兆円と合わせて合計40兆円の消費税収ですか、、、。

 税率25%のスエーデンですら、21兆円ですからねえ、、、。(1998年当時のデータですけど)まあ、食料品への軽減税率や非課税枠を福祉国家をさんがおっしゃるように独仏そしてスエーデン並みにそろえるとしたなら、税率50%くらい必要でしょうけどねえ、、、、。

 税率50%の消費税ならば、確かに、30兆円近い増収になるでしょう。

 それなら、プライマリーバランスは黒字化するでしょう、、、??????

 プライマリーバランスが黒字化する前に、日本経済が破滅的な状況に陥るでしょうね。

      

 以上、日本に福祉国家をさんをはじめ諸兄のお叱りの言葉をお待ちしています。