桜さんから福祉国家をさんへのデータに基づく反論が提出されました。
その内容は、日本とスエーデンの企業負担の差についてです。(対GDP比、日本のGDPはおおよそ500兆円)
日本 8% 40兆円 に対し、スエーデン14,6%73兆円となり、企業負担をスエーデン並みにすれば、それだけで、33兆円の税収増となるわけです。
福祉国家を さんが主張される、プライマリーバランスの確保に必要な23兆円を、それだけで、他の誰にも増税することなく達成し、なお、10兆円程余ることになります。
何のことはない、日本の巨額の赤字国債累積は、本来、企業が負担すべき税負担・社会保障負担、、その未負担分の総計そのものだった、と言うことでもあります。
それならば、企業に負担させるのが筋でしょう。
福祉国家をさんが、消費税のみに注目し30兆円近い消費増税を主張され、反対ならば、反論を!と言われておられることを、非情に奇異な御主張と感じ、データで検証しましょう、と私が持つデータを提出してきましたが、その成果が早速こうして得られたことについてうれしく思います。
桜さん、貴重なデータをありがとうございました。
では、私からも新たなデータを提出しましょう。
福祉国家をさん曰く
>スエーデンの税制では、国税の所得税は高額所得者のみですが、地方税 (県税・市税)が所得に関係なく、31,44%課税され、それがスエーデンの自 治体が担う福祉や教育や医療を支える財源となっています。
上記ご紹介は所謂、フラット税制というものの亜種でしょうが、フラット税制 というものは、低所得者へのとてつもない負担を強いる税制(高所得者に圧倒的 に有利)として有名です。
したがって、普通は累進課税が採用されているわけです。(民主的課税制度)
因みに、消費税は逆累進課税であり、そういう面ではフラット税制よりも、なお、
一層、反民主的な税制なわけです。
この点が、消費税に反対する主要な論点でもあります。
福祉国家をさんの御主張では、スエーデンの高福祉は、反民主的なフラット 税制(地方税)ともっと反民主的な25%もの消費税によって支えられている かのような印象を受けます。
しかし、実態はかなり違うように感じます。
では、私が持っているデータを紹介しましょう。
竹崎孜氏・元在スエーデン外務省専門調査員、ストックホルム大学客員教授、 著「貧困にあええぐ国ニッポンと貧困をなくした国スエーデン」p92より、
所得税率一覧表(地方税と所得税は所得税に一本化されている、とした上で)
14000kr 23,8%
16000kr 25,0
18000kr 25,9
20000kr 26,6
24000kr 27,7
26000kr 28,1
30000kr 30,5
36000kr 34,3
40000kr 36,1
46000kr 38,9
以上、2007年現在、08年は減税が検討されている、とのこと。
また、上記からローン利子控除があり。
さらに、公的給付金が税金控除後に支払われる。
(児童手当金や住宅手当金や年金など)
こうした給付金は一定額であることが多い(日本の子供手当を見よ) ので、低所得層は払う税よりも受け取る給付金の方が大きくなる、と 言うこともある(年金)し、実際の税負担率はもっと低くなる。
一例、p98
女性・単身、子供有の場合、
収入164300kr ー税金65200kr +給付金合計104400kr
=203500kr
つまり、税金<給付金となる。
さらに、教育や子供の医療費は無償となっている。
貧困にあえぐ日本の母子家庭とはずいぶん様相が違っている。
反民主的フラット税制+もっと反民主的25%消費税で高福祉 というのとはずいぶん違うような気がします。
スエーデンの企業負担について、桜さんから2007年のデータが提出されていますが、少々古いデータですが、実は、私が提出したはじめのデータからも、計算できますので、紹介します。 もう少し詳しく紹介すれば良かっただけですので。
1998年 スエーデンにおける租税・社会保障負担の内訳
対GDP比を追記し、さらに日本のGDP500兆への換算値を追記します。
日本のGDPについては、98年当時も現在もおおよそ500兆円のまま、ほと
んど停滞しています。(こんな国は紛争地、内戦地以外では世界中で実にたった一か国、日本だけです。)
98年のスエーデンの租税社会保障負担は対GDP比52%でした。(260兆円、日本換算)
1、所得課税 40.9% 21,3% 106,3兆円
1)個人 35,2% 18,3% 91,5兆円
2)企業 5,7% 2,96% 14,8兆円
2、社会保険料 28,8% 15,0% 74,9兆円 1)被用者本人 5,8% 3,01% 15,1兆円 2)使用者 22,6% 11,75% 58,8兆円 3)自営業者 0,4% 0,2% 1兆円
3、給与・労働力
課税 4,8% 2,5% 12,5兆円
4、資産課税 3,8% 1,98% 9,9兆円/p>
5、財・サービス
課税 21,6% 11,23% 56,1兆円
その内
1)付加価値税 13,5% 7,02% 35,1兆円
2)その他 8,1% 4,21% 21,1兆円
6、その他 0,1% 0,052% 0,26兆円
合計 100% 52% 260兆円
SKr(スエーデンクローネ)での総額は、9794億5300万Krです。
以上から、企業負担は、企業の所得課税と社会保障負担費の合計だけで、28,3% 対GDP比14,71%となり、桜さんが提出された07年のデータとほとんど変わらないことが分かります。
実際には、固定資産税がこれに加わりますので、もう少し大きい数値となるでしょうけど。
14,71%ですと、73,6兆円の企業負担をスエーデン企業は負担している ことになるわけです。
98年の日本の租税社会保障負担合計額は対GDP比28,4%ですから142兆円となり、企業負担がスエーデン並みなら、総額の実に半分以上は企業が負担している計算になるわけです。
それだけの重い負担・社会責任をスエーデン企業は負っている(支払っている) と言うことになります。
日本とは大違いなわけです。
福祉国家をさんは、プライマリーバランスを取るには、毎年23兆円不足して いる、それを、何とかするには、消費税増税しかない、とおっしゃいますが、 (消費税で30兆円近い増税を見込むのだそうですが)なんのことはない、日本の企業が今まで、ずっと、逃れ続けてきた、社会責任を果たせば、すぐにでもプライマリーバランス程度の問題は解決し、さらに10兆円ほど余ってしまうのです。 それが日本の政治家にはできない、しない。
皆こぞって、マスコミまでもが消費税増税しかない!と主張する。
そういうところが、スエーデンと日本の決定的な違いでしょう。
また、そうした主張に与する議論が巷でもなされ、この板でも福祉国家をさんからなされているわけです。
なお、私は旧HNはスカンジナビアンと言いまして、HNからもお分かりかと思いますが、北欧諸国や蘭の成功に学ぼう、という立場です。(欠点も多々ありますが)
そういう立場ですから、ずっと昔から、北欧の高福祉は25%もの消費税で支えられている、だの、ひどいのになると、北欧の高福祉は武器輸出で支えられている、だのという中傷・誹謗に具体的なデータで反論してきました。
ですから、消費税増税と高福祉社会構築については、もうずいぶん以前から、言わば、言い古した、使い古した、というような実感を持って、議論を眺めている次第です。