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一般投稿欄

大方等さん(1月28日付け)の投稿への反論

2012/2/4 日本に福祉国家を

 まず大方さんは桜さんの投稿を引用され、

「 桜さんから福祉国家をさんへのデータに基づく反論が提出されました。
 その内容は、日本とスエーデンの企業負担の差についてです。(対GDP比、日 本のGDPはおおよそ500兆円)
 日本 8% 40兆円 に対し、スエーデン14,6%73兆円となり、企業 負担をスエーデン並みにすれば、それだけで、33兆円の税収増となるわけで す。」と述べられています。

 そもそも法人税は企業の利潤に課税される税であり、桜さんのデーターが何年 のデーターかはわかりませんが、その時期の日本企業は業績が悪く赤字決算をす る企業が多いのに対し、スウェーデンは景気がよくスウェーデン企業は黒字決算 をする企業が多く、法人税収が日本よりスウェーデンが格段に多かったかもしれ ませんね。
 私の1月28日付の投稿で、決算予想でパナソニック4,2000億円・ソ ニー900億円の赤字予想と書きましたが、それは秋の時点の決算予想でした が、最近の決算予想ではパナソニック7,800億円・ソニー2,200億円の 赤字と下方訂正されています。シャープも2,900億円の赤字予想が公表され ています。これらの景気の良い時には多くの法人税を納税していた企業の法人税 はゼロとなります。法人税は企業が利益を上げてこそ課税される税です。
 法人税収は、いくら法人税率が高くとも企業の業績が悪く、上のように日本を 代表する大企業が赤字決算をすれば法人税収は激減するものであり、前回の桜さ んの投稿へのコメントでも書いたように、法人税収と企業負担の社会保険料の対 GDP比を単純に比較しても意味がないと理解します。

 次にスウェーデンの高度な福祉国家の税負担の問題で、以前私が書いた付加価 値税収と均一負担の地方所得税が大きなウエイトを占めると述べましたが、それ に対して大方さんより反論がありました。
 スウェーデンの国・地方の財政収入の構造を見てみたいと思います。
2000年決算ベース                    総税収に占め る割合%
国地方の総税収              7807億クローネ
国税                   4469  〃      57
国の個人所得税(累進課税)         503  〃       6
法人所得税                 772  〃      10
付加価値税収(消費税)          1829  〃      23
地方所得税(個人への均一税)       3338  〃      43
藤井威『福祉国家実現に向けての戦略』ミネルヴァ書房、2011年、116ページ
 (著者は、財務官僚を長年務め予算編成に携わった後、元スウェーデン大使。)

 上記の数字のようにスウェーデンの国・地方の総税収に占める国税の付加価値 税収と地方所得税(住民の所得に31.44%の均一課税)の割合が66%を占 めるのに対し、国税の個人所得税(累進税制)は6%・法人所得税は10%を占 めるに過ぎません。

 上記のようにスウェーデン福祉国家を支える主な税が、地方所得税と付加価値 税であることは明らかです。
 スウェーデンの税制は、大方さんの言われるように非民主的かもしれません が、社会保障給付など歳出を通じて所得再分配をおこない、下記のように相対的 貧困率を大幅に軽減し、世界で最も平等な国・貧困の少ない国となっています。

    市場所得段階での    所得再分配により減少する   可処分所得 による
    相対的貧困率%     相対的貧困率         相対的貧困 率%

スウェーデン  23.6      18.3         5.3
フランス    30.7      23.6         7.1
英国      26.3      18.0         8.3
ドイツ     33.6      22.6        11.0
日本      26.9      12.0        14.9
アメリカ    26.3       9.2        17.1
2000年代半ば  前掲書80ページ 元データ― OECD

税制だけで判断するのではなく、社会保障給付など歳出のあり方も含め、それ ぞれの国が貧困率をどれだけ軽減したのか判断されるべきでしょう。
スウェーデンは、負担は国民みんなが負担するという形で、分配・給付を厚く し、低所得者・貧困者の割合を世界最低限に抑えているといえるでしょう。

共産党は消費税増税に反対し、それの財源は大企業と富裕層の応分の負担と将 来的に応能負担の税制に変えると言っていますが、赤旗をいくら読んでも上記の 措置でいくらの財源が出てくるのか、具体的数字を一切出しませんね。
 これでは共産党の消費税増税反対論は、妥当性の検討すらできないと、検討に も値しない議論だと思います。
 もし責任のある態度で消費税増税論に反対するなら、対案として具体的財源を 数字で出すべきではないでしょうか。もし共産党が主張する大企業や富裕層への 応分の負担と応能負担の税制への変更でいくらの財源が出るのか具体的数字を出 しているなら教えていただきたいと存じます。