まず、私は07年の赤旗の記事は持っていません。桜さんが引用された赤旗の07年の記事が2004年の経済産業省のデーターとしても、経産省の資料が何年の国際比較のデータかは一切桜さんは述べられていません。
今は私の手元に今財務省のホームページで公表中の財務省の「税制について考えてみよう」という資料がありますが、社会保険料事業主負担と法人所得税の負担の対国民所得比の国際比較のデーターは2008年度のものであり、国際比較する際はずいぶん前のデータに基づき省庁の資料も作成されることがよくあります。(外国のデーターは入手に時間がかかるという事情でしょ)。
また、赤旗は故意か過失かは分からないが、データーの取り違えがあったかもしれませんね。
私の2月11日付けの丸氏への反論でも書きましたが、赤旗でも丸氏の主張のように97年の消費税増税により景気が悪化し、所得税・法人税収の減収があったと盛んに書いていますが、赤旗には89年の消費税導入の際に所得税や法人税収が増加したこと、97年当時は不良債権問題が深刻な経済問題であったということは一切述べず、消費税増税が税収減を引き起こしたと一面的に決めつけているというペテン行為をしています。
私の印象では、赤旗は一般紙ではしないような、都合の悪い事実の隠ぺいや事実の歪曲が日常茶飯事だと考えます。
赤旗の記事を信頼しすぎることも大変危険だと最近つくづく感じます。
私の手元には、財務省の「税制について考えてみよう」があり、それでは2008年の段階の主要各国の社会保険料の事業主負担と法人税収の合計の対国民所得比のデーターが存在するのみで、それではフランスが18.5%・スウェーデン15.6% ・日本12.5%・ドイツ11.1%・イギリス9.4%・アメリカ6.3%という数字があるのみです。(以前の私の投稿では対GDP比と載せていましたが、正確には国民所得比の誤りで、謹んで訂正させていただきます。)
この話題でこれ以上議論しても、赤旗のデーターの信ぴょう性も確認できず(桜氏は経済産業省の元データーを確認したのではない)無意味だと考え、これ以上の議論はしないこととします。
次に大方さんは対案として共産党が2月7日に発表した『消費税大増税ストップ! 社会保障充実、財政危機打開の提言』(以下提言と表記する)に関して触れられていますが、私も検討しましたが内容的に民主党や自民党などが飲める案では到底なく、実現するには共産党は中心勢力として政権に参加することが必要不可決な条件と考えます。確かな野党という共産党のスタンスで、この提言をどう実現するのか共産党の戦略論が全くありませんね。今の共産党の勢力では、近いうちに政権参加する可能性はゼロパーセントでしょう。所詮、この提言は実現するめどのない絵に描いた餅になることが明白だと考えます。
次に提言は一応数字は出していますが、どういう計算でそういう数字が出てきたのか、まったく不明確なままです。学校の数学でも答えも大事ですが、それに至る方程式も重要で、通常テストには式と答えを書くようになっています。計算方程式が赤旗にかけない分量なら、共産党のホームページに掲載するとか、新日本出版から本を出すなど方法はいくらでもあるはずです。
具体的には「提言」の第1段階で、「特別養護老人ホームを増設し、待機者をゼロにする」と前文で書いていますが、具体的な所要財源の見積もりでは、介護分野で特養待機者解消・利用料引下げ・保険料減免の三つで所要財源1.5兆円と見積もっていますが、これでは特養待機者解消のためどれだけのサービス量・何か所の特養ホームを新設するつもりなのかも皆目わかりません。「提言」では特養待機者は40万人いると書いていますが、待機者解消のためには100人定員の特養ホーム4000か所の新設が必要になるはずですが、1.5兆円の財源で何か所の特養ホームができると共産党が試算しているのか「提言」をいくら読んでもわかりません。
また「提言」では、高齢化などによる社会保障予算の自然増分として3.2兆円を見込んでいますが、いま日本の社会保障費は1年間で1兆円以上の自然増があり、共産党の「提言」では3年しか持ちませんね。3年以降は、社会保障費の自然増をどうするつもりなんでしょうね。
次に学費問題で、前文では第2段階として「あわせて高校とともに大学の学費引下げ・無償化に向かうなど、教育・研究の抜本的な充実をすすめます。」と書いていますが、「提言」では、それに必要な財源の数字を一切出していませんね。
共産党としてヨーロッパのような低水準の大学学費(フランス・ドイツは年間学費2万円・北欧は無償)は消費税引き上げないと実現できないと認めたようなものですね。
共産党として「提言」の数字を出すにいたった計算方程式は、いまだに一切提起されておらず、まじめに計算して出したものか、適当に数字だけ出したものかすら評価できません。
大方さんは共産党の「提言」を対案として評価されているようですが、対案というにはあまりにもお粗末ではないでしょうか。今の共産党は政権には程遠い政治的勢力で、それを実現する戦略論なしのプランは、一般マスコミにも完全に無視されています。