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2月23日付の大方等さんの投稿への返答

2012/3/4 日本に福祉国家を

 北欧は理想として、日本の現実に即して将来の社会保障と財政問題を検討することが必要でしょう。
 前提として、北欧諸国と日本は多くの点で相違点があります。日本は財政赤字がギリシャやイタリアより酷い状況で先進国最悪の状況ですが、北欧諸国はどこも財政状況が健全です。
 また、北欧では日本ほど少子高齢化が進んでいません。特に合計特殊出生率では日本と北欧は大きな開きがあります。(日本の少子化状況が深刻であるとともに、人口の高齢化率も日本の方が高く、数少ない現役世代で、多くの高齢者を支えなければならなくなります。)
 消費税に関しても、スウェーデンでは社民党政権と労働組合LOブロックが1960年代に消費税(付加価値税)を導入し、福祉の拡充とともに税率を25%まで引き上げました。
 スウェーデンでは、政治的に左翼が消費税導入を推進しましたが、日本で1989年に消費税導入がなされましたが、その時は左翼の社会党や共産党が消費税導入反対の先頭に立ちました。

 著名な社会保障学者で政府の社会保障国民会議委員も歴任した権丈善一慶応大学教授によれば、日本の財政状況・人口構成を考慮すれば、日本には普通の国のように高福祉・高負担や中福祉・中負担という選択肢はなく、日本には低福祉・中負担か中福祉・高負担かという選択肢しか残されていないと主張されています。
 日本国民が、そして日本の革新勢力が消費税増税にことごとく反対をし、ここまで財政赤字を深刻化し、効果的な少子化対策をとれずに来た付けが、今まわってきているということでしょう。
 よく考えれば、日本で社会保障費が急増し財政赤字が拡大しているにもかかわらず、97年に消費税率3%から5%に引き上げて以来、日本の政治は約15年間も消費税引き上げから長期間逃げてきたと考えます。少子化対策でも最も重要だが金のかかる大学の学費問題のような子供の教育費問題から逃げてきており(日本共産党も大学学費軽減の具体的政策と財源は一切示していない。)、これでは少子化を止めるような対策も不可能です。
 権丈教授の見解では、消費税を20%まで税率を上げれば、そのうちで消費税5%分ぐらいは社会保障の拡充に回せると主張されています。
 私も今後、権丈教授の見解を詳しく検討したいと思うが、日本の財政状況と少子高齢化の現状を踏まえたうえで消費税問題も議論しなければならないでしょう。

 次に提言の戦略論に関してですが、国民新党を考えてください。国民新党は共産党と同程度の弱小勢力ですが、民主党と連立を組み、キャスティングボート勢力として郵政などの国民新党の主張を民主党に飲ませています。弱小勢力でも国民新党の動向が日本の政局に大きな影響を与えているのではないですか。

 最後に、スウェーデンは社会民主党という左翼政党が、消費税導入しそれも財源にして福祉国家建設を進めてきました。
 日本の場合、左翼の社会党や共産党が消費税増税反対の急先鋒となりました。1980年代ごろまでは共産党も社会党も、福祉国家論とは「社会主義的変革を妨げる修正主義理論」という反動理論として理解し、北欧などの福祉国家に敵対してきた歴史的経緯もあり、日本と北欧の政治状況と歴史的経緯は大きな差異があることは是非ご理解いただきたいと思います。