残念ながら、スエーデンの改善率53%の比較実例がありませんので、 その代りにベルギーの改善率48%の比較実例を示します。
95年 ベルギー
当初分配(一次分配) 再分配(二次分配)後
0,53 0,27
そこで、比較のための実例を示しましょう。
日本の実情に例えてみるために、日本のGDP500兆円 を用いて、その国民所得(GDP=国民総所得から減価償却分=損耗分 を差し引いた部分。 1国の分配可能な総原資)を考えてそれを実額で 当てはめてみました。
国民所得としては、95年当時の日本の国民所得はGDPの約78%でし たが、今現在は約70%内外であり、95年当時のスエーデンもGDPの71% ですので、おおよそ70%とし、実額で350兆円と計算しています。
つまり、分配の総原資を350兆円として計算してみました。 (なお、実際の分配の総原資は約300兆円ではないか、というデータも ありますが、ここでは、便宜的に国民所得の350兆円を使用しました。)
ジニ指数0,536 09年 タイ
最高分位 58,6% 205,1兆円
第4分位 19,1% 66,8兆円
第3分位 11,4% 40、0兆円
第2分位 7,0% 24,5兆円
最低分位 3,9% 13,7兆円
08年ウクライナ ジニ指数 0,275
最高分位 36,8% 128,8兆円
第4分位 22,4% 78兆円
第3分位 17,8% 62,3兆円
第2分位 13,7% 48,0兆円
最低分位 9,3% 32,6兆円
(以上、世界国勢図会 22年度版 p448
グラフからの読み取り値のため、多少の誤差が
あります。)
上記は、あくまで参考例に過ぎませんが、おおよその
傾向・イメージがつかめるかと思います。
それでは、上記2国を各分位ごとに+-の%と実額を 当てはめてみましょう。
最高分位 -21,8% -76,7兆円
第4分位 +3,2% +11,2兆円
第3分位 +6,3% +22,3兆円
第4分位 +6,7% +23,5兆円
最低分位 +5,4% +18,9兆円
これは、あくまでも、異なる2国間の比較ですから、ベルギー の実際とは異なるでしょうが、おおよそのイメージ・傾向をつかむ ための参考例です。
イメージしやすくするために、日本のGDP500兆円に当てはめたわけです。
(実際には国民所得350兆円を当てはめました。)
グラフからの読み取り値ですので少し誤差があります。
では、改善率22%の日本はどうでしょうか?
95年当時の日本のジニ指数
当初分配(一次分配)時 再分配(二次分配)後
0,34 0,27
そこで、ジニ指数0,34の08年ポーランドの例を示しましょう。
最高分位 41,8% 146、3兆円
第4分位 22,1% 77,4兆円
第3分位 16,4% 57,4兆円
第2分位 12,0% 42,0兆円
最低分位 7,7% 27,0兆円
このジニ指数0,34のポーランドとジニ指数0,27のウクライナの 2国間の所得を分位ごとに+-の%と実額で比較してみましょう。
最高分位 -5% -17,9兆円
第4分位 +0,3% +0,6兆円
第3分位 +1,4% +4,9兆円
第2分位 +1,7% +6、0兆円
最低分位 +1,6% +5,6兆円
以上、計算上は多少の誤差がありますが、おおよその傾向をイメージ できるのではないでしょうか。
日本の社会保障・福祉及び教育投資がいかに貧弱であるかが、よく分かります。
スエーデンの場合は95年当時で改善率53%でベルギーの48%よりも、もっと 改善率が高いのですから、富裕層から貧困層への富の再分配(二次分配)が強力に 実行されていることがイメージできると思います。
なお、教育に対する公的投資(公的支出)額の対GDP比のデータがありますので、示します。
日本 3,4% スエーデン 6,7% その差3,3% 実額 16,5兆円
(実額は日本のGDP500兆円に当てはめた。08年度)
以上、世界国勢図会22年版 p457~459より