スカンジナビアン様への返事が遅れました。
最初に私はあなたがかつてマルクスボーイだったという事についてですがなん
だか私のことを言われているようで苦笑をしたのを思い出しま す。
確かに私は資本論を今再び4巻まで読むことにかかっていますからマルクス
オールドボーイでしょう。だが、年のせいか非常に困難な読書です。だ からマ
ルクス主義者からなんておこがましい言い方はできません。
ジニ係数についてはあまり知らなかったのであなたの文章やインターネッ
ト検索で調べていました。なるほどジニ係数は不平等さ を客観的に分析・比較
する方法の一つでありますが、問題が残りました。
ジニ係数が高いという事は貧富の差が小さいということなのでしょうが、それ
がブルジョアジーからの富の再配分の結果かという問題で す。
たとえばタイという国はジニ係数が高い、つまり貧富の差が大きいのですが、
地方によって開きがあります。この点では一国を平均的に見ることが出 来ませ
ん。
この貧富の差が地方問題を別として何から出て来ているのかということを考え
て見ます。ブルジョアジーの富の再配分が少ないから か。
そうではなくて、タイの資本主義が非常に遅れていて、生産力が低いのが理由
だと思います。
Aの国では、Bの国の資本と同量の資本を投下したとして、固定資本(土地、
工場、機械など)の比率が可変資本(賃金)よりも大きいとします。B の国で
は固定資本の比率が非常に低く、可変資本の比率が非常に高いとします。すると
Aの国の資本家の利潤率は低く、Bの国の利潤率はAの国よりも 高くなりま
す。そこで剰余価値が双方とも同じならば、Aの国の資本家よりもBの国の資本
家の方が同量の資本で大きな利潤が得られます。これがタイ での貧富の差が大
きい、ジニ係数が高い理由ではないのでしょうか。日本の工業は固定資本に大き
な投資をしているので利潤率が低く、決して資本家が 富を再配分しているとは
いえないと思います。だがこの仮定には問題もあります。日本とタイの剰余価値
は非常な差があることです。近代化された工場 での労働者の生産力が非常に高
いために現実には日本の資本家の方がはるかに利潤を上げているし剰余価値率が
はるかに高いということで す。
一体、欲の塊である資本家が自分から利潤を国民にばら撒く事などありえませ
ん。ただ税金負担が大きいとしても、その税金は資本家のために使われ るので
すから、間接的な投資と考える事ができます。又、利潤を生み出すのは剰余価値
以外にないのですから、労働者から搾取した金で税金が支払わ れ、福祉にも回
されているのです。全部労働者の金なのではないでしょうか。
そこでさらに福祉を少し考えます。義務教育という福祉は労働者の育成に必要
なもので資本家に還元されます。医療福祉は健康な労働者を資本が必要 なので
機械の修理と同じです。年金や生活保護はすべて商品を買うために使われるから
資本家に還元されます。しかも生活保護と義務教育以外の福祉は 掛け金を取ら
れ、さながら税金と同じ内容になっています。
したがってジニ係数が低くなることによって貧しい人々が救われる事はないと
考えます。
ざっと考えてこうなのですが、間違っていたらご指摘下さい。はなはだ自信のな
い投稿ですので。