①問題の所在
問題の所在はなにか。簡単にまとめると、参院選を七月に控えて、護憲政党の現状をうれいた市民団体が、護憲政党と市民に呼びかけて、再建のための足がかりを築こうという集会を呼びかけた。その集会への参加要請を受けた日本共産党が、集会に参加をことわる返答をした。そのような内容である。
②集会実行委員会への小生の手紙
③日本共産党の見解
④集会実行委員会の呼びかけ
⑤小生の感想
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②「4/14とめよう壊憲!護憲結集!討論集会」集会実行委員会への小生の手紙
4月14日の集会まで、もう四日です。準備にも時間はわずかとなりました。 佐藤三郎さんはじめ実行委員の皆さん、心身をすり減らす激務に感謝して います。委員会からの集会の案内のメールが来ないことで、共産党の参加 問題が紆余曲折をたどっている様子がうかがわれます。
護憲で統一した候補を出そうという民衆の意思は、今回に到る実行委員会 の取り組みで、明白です。参院選で、維新の会とみんなの党が候補の統一 について政党協定を結びました。自民党と公明党は、すでに統一協定は何 度も実行済みです。維新の会の橋下代表は本日9日に自民党安倍総裁と 党首会談を行いました。その先には参院で改憲啓力議席三分の二を目指し ています。
東京都小平市長選では、民主・社民・共産・生活クラブ東京・新社会の統一 候補が、自民・公明・維新・みんなの推す候補をやぶり当選しました。 首都東京の都知事選では、それぞれの政党はばらばらとなります。しかし、 そのすぐ後に迫った参院選で政党の協力があるかないかは大きな士気の 違いを生みます。
政党には政党のそれぞれの事情や方針もあることでしょう。しかし、改憲と 軍国主義の政治勢力が「活き活きと」「我が物顔で」「縦横無尽に」ふるまっ ている政界で、民衆の側が今後どういう方向性に動いていくかは、4/14 のような護憲共同の取り組みの如何にかかっています。
佐藤三郎氏と実行委員会のご奮闘に感謝し、期待してやみません。
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③日本共産党の見解
「4/14神戸討論集会」 建設的な意見交換とは無縁 共産党 実行委に不参加の回答 日本共産党中央委員会は3月29日、4月14日に神戸市内で予定されている「とめよう壊憲!護憲結集!討論集会」の実行委員会代表にあてて、同「集会」への参加要請に応じられないとする全文次のような回答を送りました。
「4/14とめよう壊憲!護憲結集!討論集会」への参加案内を頂きました。「4月14日・神戸市勤労会館で開催される集会」での「忌愕(きたん)のない意見交換」に参加をとのことですが、以下の理由で、日本共産党は、この「集会」には参加しません。
案内文書によれば、この集会では、広原盛明氏(都市計画・まちづくり研究者)が「講師」として60分の「提言」をおこない、参加を要請されている四つの政党(日本共産党・社民党・新社会党・緑 の党日本)がそれぞれ15分発言した後、「フロアー討論」「集会まとめ」をそれぞれ60分、10分でおこなうというのが、「集会」の内容です。
案内文書は、「集会」で特別の時間を与えられて話す広原講師について、「革新政党の不振と衰退は目を覆うばかりだ」などの表題もあげて氏の「精力的な発言」に言及し、「私たちは、広原提言に多くの示唆を受け…」などとのべたうえで、「講師紹介」では、広原氏のブログから次のような一節を紹介しています。
―(「革新政党」が総選挙で)歴史的な惨敗・大敗を喫した…にもかかわらず選挙総括が現実を直視したものになっておらず、その体質に絶望に近い気持ちを抱かざるを得ない…/選挙総括にはいわば政党の未来がかかっているのであ り、キチンとした総括ができない政党には「未来がない」と言っても過言ではない…。
そのブログでは、広原氏はさらに次のようにも言っています。
―“護憲戦略”を再構築する…ためのまず第一歩として…公開討論会形式にして革新政党の選挙総括や参院選方針の問題点を有権者の間で広く議論する、「外部第三者委員会」といった形で党外に選挙総括を依頼し、党独自の題点を探り出す…。
政党が正規の機関で決定した総括や方針を、公開討論で変えさせようなどというのは、政党の自主的活動への不当な介入、干渉に他なりません。今度の「集会」はこの「広原提言」を受けて、広原氏を「講師」に、政党代表と「忌揮のない意見交換」をおこなおうというものになっています。このよう な「集会」が憲法改悪阻止の国民的共同を広げるための建設的な意見交換の場になりえないことは明白です。
いま、護憲を掲げる政党や市民にとって必要なことは、思想・信条・党派の違いを超えて、憲法改悪反対の国民多数派の結集、改憲派を圧倒する世論形成に全力を尽くすことです。日本共産党は、そうした確固とした方針のもとに奮闘していることを申し添えます。
(「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年3月31日付掲載)
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④集会実行委員会の呼びかけ
~今こそ、みんなの知恵を結集しよう~
とめよう壊憲! 護憲結集! 討論集会
と き 2013年4月14日(日)13時30分~16時30分
ところ 神戸市勤労会館 405/406号(JR三宮駅東5分)
問題提起 広原 盛明 さん(元京都府立大学学長) 60分
護憲政党の発言(60分) 社民党:服部良一さん(前衆議院議員)
新社会党:松枝佳宏さん(委員長)
緑の党:長谷川羽衣子さん(共同代表) 共産党(再度参加要請中)
質疑、フロアー討論 (60分)
資料代 700円
ご存知のように、昨年末の総選挙で自民党が圧勝し、他の憲法改正を目指す政党を合わせると、実に議席の3/4に近い348議席が改憲派で占められる結果となりました。7月の参議院選で改憲派が2/3以上の議席を獲得すれば、憲法の改変がすぐさま現実のものとなります。
自民党が昨年示した憲法改正案は、戦後の国民主権・平和・人権尊重をうたった現憲法のありかたを根底から変えて、「憲法は、国家権力を拘束・制限する」という立憲主義(憲法の本質)を否定し、憲法を国民統制の道具に作り変えてしまおうとする「壊憲」そのものです。
1928年の選挙では、2.6%の得票だったナチスが、30年には18.3%に。その時16もの政党が乱立し、失業・生活苦・混乱する政治に不満を募らせた国民は、ヒットラーの演説に引き寄せられました。33年3月の選挙の43.9%で全権を掌握したヒットラーは、わずか3年で92.2%を得票、後は戦争と破滅への道へとなだれ込みました。この30年代のドイツ情勢が今の日本と重なり、鳥肌の立つ思いがします。
「このままでは大変なことに…」と思いながら、「どうしたらよいか…」「時間がない…」「結局あかんのでは…」と一人で悩んでいる人は少なくありません。参院選までもう数か月、またその後には憲法を守る正念場となる国民投票を迎えるでしょう。今こそ、護憲・平和・生活擁護で一致する、思想・信条・党派の違いを超えた人々が、これまでの運動の課題にも率直に向き合い、未来志向の協働でこの危機を乗り越えることが求められています。そのために、私たちは何をすべきで、何が求められているのかを、皆さんと知恵を出し合い、開かれた討論の中から探る、そんな討論集会を開催します。ぜひご参加下さい。
賛同 / 佐藤三郎(憲法の改悪に反対する元教職員ひょうごネットワーク共同代表) 赤松 竜(神戸市) 粟原富夫(神戸市議) 井奥雅樹(元高砂市議) 池田 清(松蔭女子大学) 石川豊子(西宮市) 石塚 健(元教職員ひょうごネット共同代表) 李敬宰(高槻むくげの会) 石田加代(神戸市) 市村善之(神戸市) 井上 力(元神戸市議) 井上由紀子(神戸市) 色平哲郎(内科医・長野県) 岩野政樹(尼崎市) 岩村義雄(神戸国際キリスト教会牧師) 太田光征(「平和への結集」を目ざす市民の風代表) 大西誠司(北神戸9条の会) 大野貞枝(芦屋市) 大橋真司(静岡市) 恩田怜(元神戸市議) 梶原義行(神戸市) 片岡 隆(芦屋「九条の会」) 加納花枝(I女性会議ひょうご ) 河内謙策(弁護士アピールを支持する市民の会) 川辺比呂子(明石市) 北上哲仁(川西市議) 木下達雄(平和憲法を広げる兵庫県民会議・阪神代表) 木村 修(マブイ・シネコープ代表) 黒田達雄(長田9条の会・建築士) 小林るみ子(神戸市議) 下司正彦(憲法を生かす須磨区の会) 紅林 進(東京都) 神戸YWCA平和活動部 小谷美智子(神戸市) 小寺山三左子(芦屋市) 小寺山康雄(ポポロ) 後藤玲子(弁護士) 酒井 一(尼崎市議) 櫻井幡雄(すまはまの会) 櫻井智志(神奈川県・社会思想史研究者) 佐野修吉(神戸市) 嶋谷数博(高砂市) 市民社会フォーラム 塩谷裕子(吹田市) 下薗紀一郎(福岡市) 新原三恵子(神戸市) 菅野逸雄(加古川市) 菅野 博 (加古川市) 陶山喜代子(守口市) 高島 仟(元神戸交通労働組合委員長) 高田富三(神戸再生フォーラム) 高橋精巧(神戸市) 高橋秀典(日朝ネット) 竹田雅博(神戸市) 竹山清明(京都橘大学) 田坂富士雄(神戸市) 田島 隆 田中和恵(千葉市) 田中慶子(千葉市) 田中敏夫(神戸市) 田原利継(和歌山市)チェイス洋子(西宮市) 坪谷令子(明石市) 寺尾光身(埼玉県) 寺沢京子(神戸YWCA平和活動部代表) 出口俊一(兵庫県震災復興研究センター) 東條健司(多井畑9条の会) 中島 淳(神戸芝居カーニバル実行委員会事務局長) 中島秀男(憲法を生かす会・垂水) 中田作成(新しい神戸をつくる市民の会) 永岡浩一(神戸市) 長瀬春代(箕面市) 中村典子(兵庫県被曝2世の会) 南條恵津子(西宮市 ) 中山弘樹(組合役員・東京) 難波希美子(大阪府能勢町) 丹羽良子(栃木県佐野市) 野村修身(東京都) 萩尾健太(弁護士・東京) 浜田守彦(ブログ「ひこばば」主宰) 原 和美(9プラス25改憲阻止市民の会世話人代表) 半澤惠子(伊丹市) 東本高志(ブログみずき~「草の根通信」の志を継いで~主宰・大分県) 久木義雄(浦安市) 飛田雄一(神戸学生青年センター館長) 広畑貞昭(尼崎市) 古田裕子(川西市) 古谷 仁(元宝塚市議) 「平和への結集」を目ざす市民の風 前川繁代(金沢市) 前田純一(堺市) 前田辰一(芦屋市議) 増田 紘(多聞/神陵台9条の会) 松尾満子(育児おばあ) 松上辰之(尼崎市) 松原秀臣(名古屋市) 松本 誠(市民まちづくり研究所代表・明石市) 三原啓史(音楽9条の会・池田市) 村井雅清(被災地NGO恊働センター代表) 村岡到(参院選選挙協力を望む会・東京都) 村上真平(農民/三重県) 室田正則(姫路市) 毛利正道(弁護士・長野県) 守田基師子(話し方コンサルタント) 森村啓一(高槻市) 森本克則(神戸市) 谷中進吾(神戸市) 柳田勘次(元兵庫県総評副議長) 山崎 貢(憲法を生かす北区の会) 矢野 宏(新聞うずみ火代表・大阪市) 山田吉則(大津市) 山本智映(松江市) 山本幹夫(大阪市) 吉岡治子(神戸市) 吉田 収(米国) 吉田俊弘(憲法を生 かす会・灘) よつや薫(西宮市議) 若嶋秀明(明石市) 〔計117 4/5 現在〕
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⑤小生の感想
批判は簡単なことだ。しかし、現在の政治情勢のもとで、「なにをなすべきか」が国民ひとりひとりに問われている。個人にも集団にも。私は、原発事故後から都議選に至るまで、日本共産党が市民運動の高まりに共闘する姿勢をひそかに共感をもって見てきた。
今度は市民運動ではなく、政党の出番だ。昨年2012年12月に行われた総選挙の結果、安倍自公政権が発足した。その政治は、極めて危険な反動政治である。しかしそれでは国民の批判をかう。安倍自公政権は、同時に国民の支持を獲得するための最大限のカモフラージュと高等戦術を駆使した。疲弊しきった国民の心に一時的でも潤うようなおべっかや公約をうちあげた。そして公約は政権発足後にじょじょに公約を破りつづけている。典型 的なのがTPPである。大手マスコミを使って、国民の意識をコントロールし続けている。東京新聞、琉球新報、琉球タイムス、日刊ゲンダイなどを除く新聞は、それぞれの記者には良心的な記者も多いと信ずるが、新聞社としての報道姿勢は政府に翼賛的な報道姿勢に終始している。
インターネットでも、大手マスコミが報道しない真実の記事が伝えられてきたが、参院選からインターネットを解禁することが国会で決まったのと同時に、インターネットへの規制による変質は十分予想される。安部晋三氏や麻生太郎氏、橋下徹氏などはフェィスブックを上手に利用して、一部の熱狂的なファンも獲得している。
こうして書いている現在は4月13日である。明日の神戸で行われる「4/14とめよう壊 憲!護憲結集!討論集会」に日本共産党が参加するかしないかは、決定的なことはわからない。しかし、日本共産党の回答は明確に不参加を表明しているし、前日段階でも動きは見られないので、ほぼ参加しないと思われる。
保守政党は利権が一致すればどんなに主義主張が違っても歩調をあわせる。左翼政党の中でも日本共産党は、党の綱領・政策・方針と異なれば、よほどでないと、他の政党や政治団体と共闘することはない。
だけれども、それでよいのだろうか。中国の尖閣列島問題、韓国の竹島問題、朝鮮民主主義人民共和国のミサイル弾道発射問題。あっという間に日本をめぐる外交情勢は、安倍政権前後から大きく変わろうとしている。それに対応するためと称して、国内の治安体制や防空体 制などが敷かれ、国民の自由を制限する法律が相次いで制定されている。
憲法改定、九条改定、九六条改訂と国会でも騒然としつつある。しかし、それらの憲法と関わる日常生活の監視と管理のコントロールはほぼ完璧に近いほど完成しつつある。
4/14とめよう壊憲!護憲結集!討論集会が行われた後に、今回の集会についてその内容を吟味して論じる必要がある。