いま7月20日。明日の参院選の結果はわからない段階で書いている。
二つの問題が参院選の背景と実態にあると思える。
①二つの勢力の闘い
安倍自民党は、右翼街宣のビラと同質の自民党改憲草案を提起した。
この動向に維新の会やみんなの党が同調している。狭義の改憲勢力とは、
まず自民維新みんなの党をさしてよいだろう。
これに対する護憲勢力として、日本共産党、社民党、みどりの風、緑の
党、新社会党、社会大衆党があげられる。
このくくりに入らないのが公明党と民主党である。公明党は加憲と主張
している。現行憲法を自民党のようには改憲することに慎重である。ただ、
公明党は政権党として自民党とぎりぎりのところでは、同一の政治行動を
選択している。民主党は、前原・野田・岡田の諸氏は新自由主義勢力で
自民党の新自由主義と同一の基盤に立つ。一方民主党には政権交代の頃の
社会福祉や社会民主主義思潮をもつ勢力もある。ただ、民主党で政権交代
をになった勢力は、小沢一郎氏率いる生活の党に移った。小沢氏は、改憲
を主張し続けてきた政治家であるが、丁寧に見ると、いまの自民党の憲法
9条や96条の改憲には明確に反対している。自民党や維新の会のような
軍国主義的改憲にははっ きりと反対の立場である。小沢氏は、新自由主義
勢力ではない。さらに日米地位協定以来のアメリカ従属路線に対して、等
距離外交路線を対置したために、アメリカから徹底的に反発と失墜の策謀
に陥り、「人格破戒」攻撃のキャンペーンにさらされ続けた。このことを
自覚的に把握しているのは、共産党や社民党ではない。本人のお膝元の生
活の党の関係者や、外務省国際情報局長を務めた孫崎享氏や医師として社
会問題にも丁寧な発信を続けている色平哲郎氏など護憲リベラルな知識人
たちである。
公明党と民主党は護憲勢力とは言えない。生活の党は護憲勢力とみなす
ことができる。しかし小沢一郎氏は、次の三年後の参院選は衆参同時選挙
とみている。それまでに政界再編成し て、自民維新みんなの改憲勢力に対
抗しうるだけの勢力結集をはかっている。民主党と生活の党は、再編され
て護憲派と改憲派にわかれるだろう。
②インターネットと国民
今回から選挙にインターネットの使用が実現した。そのことに触れる前
に、アメリカCIAの職員だった人物の驚愕的な事実があきらかにされた。
アメリカCIAは、世界中の各国を、イギリスやフランス、ドイツなどの
ヨーロッパや日本もインターネットを使った情報を盗聴し続けていた。
もともとインターネットは、軍事技術から派生した。それが情報社会の
大衆化に伴い、あっという間に世界中に広がった。
マイクロソフト、マッキントッシュ、グーグル、フェィスブック、ツイ
ッター、グーグルなどすべてアメリカ発の巨大事業各社である。
パソコンを使った経験のあるかたは、パソコンを操作して、なにか故障
があり修理すると、個人情報 をマイクロソフト社などが収集するが決して
個人情報は悪用されるようなことはない、という断り書きを出している。
フェィスブックに私は文筆業として一貫している名前で登録した。しか
し、写真も掲載したので、なんらかの通報があったのか、本人を騙ってい
るとして強制退出された。参院選のための応援勝手連を試みていた私は、
各候補者の支援もままならぬので、戸籍上のきわめて私生活にのみ使うよ
うにしている本名で再入会した。たかがインターネットで名前ひとつさえ
管理し統制しているインターネット関連私企業にすべての個人情報を晒す
必要があるのか。必要があるのだ。アメリカは世界中の個人情報を隈無く
収集して、世界政治政策に使うからだ。
かつてグラム シは、今までのロシア革命頃までの社会運動を機動戦とし、
それに対して陣地戦を提起した。第二次大戦以降の歴史はついに21世紀
に入った。加藤哲郎氏は、インターネット情報を詳細に集め、国際的な視
野で政治や社会について実地踏査を踏まえて、「情報戦」概念を提起した。
インターネット技術がこれほどに広がった現在、加藤氏が提起した情報戦
概念は、アメリカCIA元職員の暴露により、ショッキングで明白な意義
をもつことがあきらかとなった。
ここまで元CIA職員と匿名で書いた。彼はアメリカCIAによって、
命を狙われる危機的な状況に置かれたのだろう。亡命先の国家の選択さえ
アメリカと他の世界各国との駆け引きが続いている。
以上のようなインターネットを使った選挙はどうか。
結論から言えば、自民党などたくさんの財源をもつ政党は、莫大な費用を
かけて、様々なインターネット駆使の機会を得て、なにかあった時の弁護
士費用なども含めて、平等な選挙とはなっていない。インターネット解禁
を楽観的には言えない。貧富の差はますます広がった。
私は二つの政党の応援のために、インターネット利用に立ち会ってきた。
ある労働者政党は、創意工夫をこらして、選挙運動とインターネットとを
連携させた。このような利用方法を開拓するなら、インターネット選挙解
禁はそれなりの意義が生まれる。
参院選が終わってから、もう一度触れたいことがある。それは、護憲勢 力の共闘の取り組みについてである。なお、衆院選の時に選挙開票業者の 「ムサシ」の実態について本澤二郎氏らが詳細に解明している。選挙予想、 出口調査、投票終了時刻の疑惑ある短縮化、開票業者の疑惑などがどうな ったかということである。