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川崎市長選は終わり。 投票率は 32.82%だった。
福田 紀彦 当選
(みんなの党支持)142,672 票 得票率 38.8%
秀嶋 善雄
(自公民支持) 139,814 票 得票率 38.0%
君嶋千佳子
(共産支持) 85,475 票 得票率 23.2%
前回の市長選では、
有権者数 1108441
阿部孝夫(連合支持) 145688 13.14%
福田紀彦(民主支持) 117456 10.59%
原 修一(自民支持) 66462 5.99%
岡本 一(共産支持) 60698 5.46%
前々回の岡本氏と阿部氏の一騎打ちだった。
阿部孝夫氏 229021票 21.96%
岡本 一氏 137767票 13.21%
前回は四人立候補、前々回は二人の立候補。いちがいに支持率が多い少ないか
は一応の目安であろう。今回、自公民の
推薦を受け、自民党神奈川県連会長の菅官房長官が自ら川崎市役所?に乗り込ん
で、すでに地元の中ではうちうちでこの
ひとを、と決まっていたものを否 定して、トップダウンで天下りの候補者を擁
立した。
選挙後に、東京新聞は自公民相乗りにそれぞれの関係者に困惑が生じているこ
とを、2003年参院選神奈川選挙区の
川崎地域の得票と今回の市長選と関連させて取り上げていた。10月31日の東
京新聞川崎版に掲載されていた。
参院選川崎市内の投票率55.02%
参院選松沢成文氏川崎市内の得票数 126708
川崎市長選の投票率 32.82%
福田紀彦氏 142672
増減 15964
同様に
畑野君枝氏 80613
君嶋千佳子氏 85475
増減 4862
ところが自民党は違う。
島村 大氏 173546
秀嶋善雄氏=自民・民主・公明推薦
139814
増減 -33732
参院神奈川選挙区で当選した民主現職と公明新人の得票数もあわせると、計算上
の目減りはなんと、20万票近くにふく
らんだ。
共産から推薦を承けた君嶋千佳子氏。参院選神奈川選挙区で次点で惜敗した畑野
君枝氏の得票数を五千票弱上回った。 日
本共産党神奈川県委員会の岡田正彦書記長は、 「参院選で党が前進した流れ
は、その後も進展している」と、手応えを強
調した。
自公民相乗りの副作用が歴然と表れた。
2
「川崎民主市政をつくる会」擁立の君嶋ちか子さんは、当選はできなかったが、
保育児待機問題や中学給食などの政策は
他の2候補も同様に政策に入れていた。
何よりも自公民三党が当選するのを、福田氏の当選あってのことだが、阻止しえ
た。私は川崎市民だが、自民党本部と名
乗る二人の女性から二度も投票以来の電話を受けた。10月25日午前11時
22分と10月26日の昼間の12時28
分、両方とも03(4570)0266である。勧誘の女性達は、
「安倍政権にとっても川崎市長選は重大な影響があります」
「秀嶋善雄さんが市長になれば、安倍総理と秀嶋さんとで川崎市民の皆さんに とっても有益な政治をお届けすることをお 約束いたします。」
選挙後に菅官房長官は、地方と国政とは無関係だと発言しているが、言論の
誠意のない官房長官と口先だけの軽いおし
ゃべり安倍総裁とは、似たもの同士である。
今回、日本共産党は建設一般労組や建設土建労組、婦人団体、市民団体、医
療労組など多彩な市民団体と協定を結び
、「民主市政をつくる会」の運営に参加した。私のじかに見ていた範囲で言う
と、大変なことは最初から最後まで請け負
っていたのが日本共産党であった。無党派層の最多は福田紀彦氏に流れたそうだ
が、実際に川崎の君嶋ちか子候補陣営の
選挙運動を見たものは、いかにいきいきと積極的に取り組んでいたか。
候補者の君嶋ちか子さんは、選挙が終わってこう肉筆で執筆したものを発表し
た。それを見ながら転記する。
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「川崎市長選挙では、多くのみなさんからご支援いただき、85,475票(2 3.23%)を確保することが、できま したが、当選には至りませんでした。支援してくださったすべてのみなさんに、 心より感謝を申しあげます。
私は「大型開発優先をやめ、市民のくらし最優先に」と「阿部市政の転換」を 訴えてきました。この訴えが、「待機児 童解消を」「ブラック企業を何とかして」「特養ホームを増やして」と、大きな 共感をよび、12年間の阿部市政に審判 が下るという結果へとつながりました。この選挙で訴えた公約実現のため、市民 のみなさんと力を合わせて、よりよい川 崎市政をめざして全力をつくしてまいります。 君嶋ちか子」
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君嶋さんは市長になることはかなわな かったが、その人格と行動から川崎 市民の感動を感じさせた。日本共産党川 崎市議団団長で中原区選出の市古てるみさんは、ご自身のブログでこう声明を出 した。そして日本共産党委員会と市議団 長の連名で声明を出した。ここでは、ブログでのご発言を掲載させていただく。
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「川崎市長選挙で、君嶋ちか子さんが大健闘!! 2013年10月28日
選挙中、公園などではどこもおかあさんたちと子育ての会話が弾みました。
気さくな人柄で、いつも笑顔を絶やさない、それでいて政策能力にすぐれたすば らしい候補者でした。
最終盤にはアメリカに住んでいる娘さんもお母さんの応援にかけつけ、宣伝の 先頭にたち、家族ならではの街頭演説もあ りました。
中原区は君嶋ちか子さんの地元として、たくさんの方々が奮起し、「川崎で初 めての女性市長で、市民にやさしい市政を 」と創意工夫した取組みで戦いました。
しかし、結果は残念ながら福田氏が新しい川崎の市長として選ばれる結果になり ました。
福田氏は「市民派市長」を標榜しながら、公開討論の場でも、凍結している高速 川崎縦貫道路の工事再開、臨海部の開発 促進、さらなるメリハリのある行財政改革など事実上阿部市政の継続をいい、新 たに習熟度別学級編成など教育改革の推 進を掲げました。
教科書問題、教育委員会への対応など、子どもたちを不幸にさせることは絶対 にゆるしてはならない、と思っています。 その意味でも教育行政への監視と広範な市民運動を構築、広げていくことが必要 です。
同時に市長選では、私たちがずっと要求してきた中学校給食の実現、保育園の 待機児ゼロ、子どもの医療費の年齢拡充は 大きな争点になりました。君嶋ちか子候補には、子育て世代の多くのみなさんか ら大きな期待がよせられました。 この願 いの確実な実現に向けて運動を強めていきましょう。
いずれにせよ、自民、公明、民主、連合に押された候補者は、力関係からみれ ば盤石な体制であったにもかかわらず(日 本共産党との参議院選挙時の力関係でみれば1対6)、当選にいたりませんでし た。
私たちが地域に入っても、阿部行革への批判、もうこんな市民いじめの市政は やめてほしい、必要な職員も減らしすぎと いう声は大きなものでした 同時に安倍政権の暴走にたいする不安もたくさんで ました。「消費税のあげる前に、つぶれて しまう。原材料、燃料、公共料金もあがって利益がまったくあがらない」(うど ん製造業、クリーニング店)「そのうえ、 年金は下がる。国保は上がる。やっていられない」などなどでした。
阿部市長も「私がやってきたことが失敗だったと市民が判断したもの」と話し たということです。「国家秘密保護法」な ど国政で悪行をつづける3党相乗りにも批判が出たのではないでしょうか。
心休まる暇はありません。安倍政権の暴走に抗し、市民の切実な要望である君 嶋ちか子さんの公約を実現するためにも、 市民の運動と連携していきます。」
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また、川崎民主市政をつくる会は今回の選挙の君嶋候補の最大の土台である が、以下のような声明を出した。
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「市長選挙の結果について
2013年10月28日 川崎民主市政をつくる会
10月27日投・開票で行われた川崎市長選挙で「川崎民主市政をつくる会」が擁立 した君嶋ちか孑候補は85,475票(23.23%) を獲得しましたが当選には至りませんでした。
君嶋候補を支持してくださったすべての方々、また君嶋候補の勝利のために日 夜奮闘してくださった「民主市政をつくる 会」の構成団体・個人のみなさん、推薦していただいたすべての組織のみなさん に心より感謝を申し上げます。
君嶋候補は、12年間の阿部市 政によって進められてきた福祉切り捨て、開発優 先の市政を批判し、その転換をと訴えて きました。こうした君嶋候補の阿部市政批判は、多くの市民の共感を呼ぴ、子育 て政策を含めた他候補の政策へも影響を 与え、阿部市政の継承を掲げる自民・公明・民主・「連合」推薦の秀嶋候補を追 い詰める結果となりました。
また立候補表明から4カ月という時間的制約の下、他候補と互角のたたかいを進 められたのは、君嶋候補が訴えた安倍暴 走政治への批判と阿部市政批判とが市民的共感を得た結果と考えます。
私たち「川崎民主市政をつくる会」は、これら論戦に確信を持ち選挙戦で訴え た公約実現のため、君嶋さんを先頭に市民 の皆さんと力を合'せ、引き続きより良い川崎市政をめざし奮闘する決意で す。」
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3
国民的共同をめざす、という視点からすると、君嶋候補を支援する陣営の内部
では、熱く燃えた充実感のある選挙闘争
だった。構成団体はどこも熱心に、台風の中でも意気軒昂で献身的な実践を目の
当たりにした。最終日の川崎駅と駅地下
街アゼリアとをロングラン街頭演説と制限時間以後の創意工夫のこもったプレゼ
ンテーションと「いまこそ市政にあたた
かい女性市長を」のカラフルでイラストの入った横断幕がいくつも用意されア
ピールしていた。
たとえ当選は出来なかったけれど、阿部市政直系の天下り候補の市長実現を、
間接的に阻止しえたこと。きめ細かな地
域の小ブロックごとの地域政策や川崎市改善の計画を綿密につくりあげ、今後も
市議会を通じて、川崎市政改善の実現プ
ログラムをつ くりあげた。市議会議員選挙をめざして各地区ごとに、各議員・
議員候補ごとに市長選で培った地域住民と
のつながりを大切にして持続的な地域改善の回路を保持し発展させることが大切
だろう。
さらに、統一戦線という点では、小泉純一郎新自由主義改革やアベノミクスに
よる格差拡大の悪政のなかで、追いやら
れている広範な国民各階層との連携が必要だろう。保守ではあって、軍国主義化
を憂い、経済の民主的保護を望む保守層
との提携も、川崎型統一戦線の課題となろう。