文科省は小六と中三を対象にした全国学力テストの結果を公表することにした。 1950年代広範に、学力テストが全国でおこなわれることに、全国「学テ」反対闘争が全国各地で激しく闘われた。当時は分裂する前の日教組に結集する全国の教師と行政との間で学力テスト実施をするしないで、警官隊も導入された。
学力テストを再開するときに、成績公表はしないという前提のもとに始まった。
しかし、静岡県知事など何人かの首長などが先取りするような言動があって、今回かなり唐突に結果公表となった。
多くのマスコミや識者が指摘しているように、公開によっておこる弊害はかなりマイナスのものとなろう。今まで公表前からこの学力テストに伴い、成績の悪い子どもを休ませたり、教師が答えを暗示したり、問題点は起きてきた。
全国すべて結果公表、順位の都道府県市町村別に順位を出すことは、学習塾・予備校など受験教育産業の論理と変わらない。こでは、「点数があがる」「よい点数をとる」ことに特化した畸形的な「教育」がおこなわれる。
さらに教育問題としてすでに学校独自では問題解決が成立しがたい「いじめ」とそれに伴う学生・生徒・児童の「自死」が頻発してきた。優秀な成績を示す部活運動部では学生野球、バスケット、柔道など指導にあたる大人による暴力が体罰として頻発し、部活内部で上意下達の暴力も起きてきた。
学校教育現場のいまの荒廃した状況を、さらに悪化させることは間違いないと思われる。
ドイツではシュタイナー教育という創造的人格的な教育がおこなわれ、日本にも導入された。北欧の考える教育も、国際的な試験結果をもとに、上位を占めるスウェーデンのような教育への試みが試された。
日本全国各地にいる教育を真剣に考えて実践している関係者達。教育委員会、教師、学校、教育研究会、教育サークル。さまざまなまともな取り組みを進めているひとびとは保革無関係に全国各地で真剣に取り組んできた。
そんな努力を無にするような全国学力テストの成績順位得点公開は、学校を悪くすることはあっても、よくするとは考えられない。そうだろう。文科省は、教育をよくするために学テ公開するわけではない。
学力テストによって、いじめや体罰で荒廃した教育状況をさらに悪化させるだろう。安倍政権の政策は、わずかの富裕層と圧倒的な貧者とに階層分化させる。その結果、国民の人心が荒廃すれば、やがて荒れた土壌に親自衛隊、親軍国主義的風潮はあっという間に広がっていく。
安倍政権の教育政策は、一部の超エリート養成策と民衆の子弟の親軍事大国化の予備軍や「傭兵」を準備している。秘密保護法、盗聴法、国民総背番号化、次々に続いている政策は、一貫して日本の軍事大国化と連関する憲法の解釈改憲と条文改憲とに一直線に連動化したものである。