短い文なので、先に全文を掲載させていただき、論点に触れたい。
-------------------------------
山本太郎を語る桜井氏の投稿へ
2013/11/29 町の灯
大分ネタが古くなりましたが、対象の中身は現在のことだと思い敢えて投稿し ます。
①太郎を大分勇敢・勇気とあげますが、そうでしょうか?
歴史・政治・階級・君主制・憲法改悪を企む安倍政権の動向との関係を見れ ば、いかにも太郎は、天皇を高きに見て天 皇の力に依存しようとしているかがわ かると思います。利用主義だとか、そう じゃないというのと異次元で。要するに わかってないのですこの歴史的社会を。太郎が何をしようがいいですが、私たち が目をしっかり持つことが必要ではない でしょうか?
②同時に他面で、天皇皇后が、民主的だ、人権感覚に優れている、とも評してい ますが、人格主義に重きをおきすぎでは ないでしょうか。
安倍改憲案との関係で、多数をカサに元首化にいこうとしています。個人的性 格やさしさだとか・見る感覚など問題と されなく、階級的視点から支配者は利用 しようとします。今までもそうだし、 これからもそれを拒否するような天皇皇后 ではないでしょう。
これらを考慮に入れても桜井氏は、是としますか?
----------------------------------
①について
山本太郎氏が立候補する前から、氏が政治家としての無理解な部分があるという
ことは話題となっていました。私は、東
京都知事選、脱原発1000万人アクション集会などで、実際に彼の言動を見て
きました。はっきり言えば、私は山本太
郎氏の出演した映画をレンタルDVDで見て、「軽佻浮薄」というニュアンスで
見ていました。しかし、都知事選立候補
者擁立運動グループ「私が東京を変える」の2回目の集会で、発起人の今井一氏
の働きかけで、スカイプで九州と東京を結
ぶコミュニケーションで、今井氏が、「会場では上原公子さんが推薦した宇都宮
健児さんが候補者に決まりそうですが、
山本さんはどうされますか?」という質問に彼は「立候補者が決まりそうなら、
私も応援します 」と発言しました。脱原
発集会でも、多少タレント風の軽さはありましたが、力強く脱原発の意志を述
べ、会場の17万人を勇気づけました。
当選したときも、日本テレビの選挙報道番組で、山本氏がキャスターの宮根氏に
「いまCM中ですか、オンライン中です
か?」と絶えず確認していたのに、原発・・としゃべりはじめると、いきなりさ
えぎってCMという事態が何度もありま
した。
山本太郎氏は、知識人や左翼インテリのようには「わかっていない」のかも知れ
ない。しかし、彼には脱原発の酷さを全
身で受けとめて、その感性を実践につなぐ勇気があります。そのことを孫崎享氏
や色平哲郎氏は理論的に直観し、「孫崎
享のつぶやき」や色平さんのツイッター、フェィスブックで何度も強調したので
ある。
山本太郎氏の女性スキャンダルなどが毎週週刊誌を埋め尽くしたが、園遊会以
降、園遊会時の行動を華々しく批判してい
た週刊誌も、十分に効果があったのか、いまはほとんど掲載されていないよう
だ。
山本氏は当選後、実ははじめての国会で、自分はこういうことがなにもわかって
いないし、党派もひとりなので、不安も
ある。先輩方に教えてもらいながら、国会で福島原発で苦しむ被害者や労働者の
ために力を尽くしたい」と述べていたの
である。
それらの事情を理解しないで、全政党が山本氏への批判を国会で一致した。日本
共産党は、議員辞職についてはさすがそ
こまでは必要ない、と見解を表した。それにしても、不安な山本氏をより政治家
として育てようと尽力した「先輩」政治
家がいなかったのか。孤独感と焦燥感のはざまで、でも福島原発を・・・・と煩
悶した心の動きが、あの行動となったと
私には思える。戦前の天皇主権と戦後の国民主権とを比較して、山本氏がとんで
もない勘違いをおかしている、という批
判は正当なのだが、その経緯を考えようとする動きがない。実は、このことが、
多数派政権与党にしばられて、国会で国
民の代弁者としてあいつぐ戦時立法的な治安法案を相次いで連発する自公政権の
先頭で薄ら笑いをうかべる安倍 総理や石
破幹事長の詭弁を批判しきる力強い意思のこめられた政治行動が皆無に近い状況
と無縁ではない。山本氏は見事に潰され
た。その実態を無視して、天皇主権と国民主権の相違をもとに山本太郎を批判し
てなんの閉塞状況が開拓されようか。本
当に危険な存在とはなになのか、国会議員は目をこらすべきではなかったろう
か。
①の資料として
町の灯さんが御批判された私の文を再掲する。前述の文と照らし合わせてほし
い。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
たったひとりの意思表示に国会全会派一致で非難
櫻井智志
私は「山本太郎氏の勇気」についてその意義を書いた。状況がさらに発展した ので、あえて補足する。その内に山本氏 への懲罰が国会においてなんらかのニュアンスの違いはあっても出てくる情勢 だ。
山本太郎参院議員は、福島原発事故がおきて自らの職業もなげうって脱原発運 動に身を投じた。その真剣さが東京選挙 区の多くの有権者の支持を集めた。その結果が参院当選だった。
国会は全会一致で山本氏に対する批判で一致した。そのニュースを見て、日本 共産党もか?と思った。夜のニュースで 、志位委員長が明治憲法下の天皇主権と現憲法下での国民主権とは全く異なる。 その違いもわきまえずに、山本氏がとっ た行動は批判のそしりを免れないという論理的な批判だった。自民党で閣僚の下 村文科大臣は、何回も「山本太郎氏は辞 任すべきだ」と言葉を強めた。維新の会の橋本徹氏、自民党の小泉信次郎氏、民 主党の松原仁氏など全政党が一致して山 本太郎氏を非難し批判し辞職もちらつかける。
少しおかしくはないか。
国会議員が全会一致で批判している相手とは何か。軍国主義でも憲法改定でも TPPでもない。やまもとたろう、その七 文字である。その山本氏は何をしたか。
福島原発の被害者の窮状と被曝しながら労働している現場労働者の惨状を山本氏 ら国民は憂いている、それを天皇陛下に 伝えたい。パフォーマンスとか時代錯誤とかなんとでも批判はしうる余地はあ る。けれども、原発事故の現状を救え、と 感じている国民世論を感じ取って山本太郎氏は行動した。国会議員が全会一致で 批判するほどのことか。国会全員でまと もに国民生活の窮状をわかっていたら、今少し対応があるだろう。
自らは国会議員の安定して一定の裕福な生活を送っている国会の全議員より も、福島原発の硬直して救済が進まない情 勢に、山本太郎氏が未熟や自己PRと言われてもしかたのない愚直さは感じられ るけれど。それでも国会の全議員よりも 山本太郎氏の志をよしとするものである。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
②について
天皇制をめぐる問題で、町の灯さんのご指摘は私でもほぼ理解できる。
私は天皇制について三行では書けない。やさしいとか性格とかそんなことを言っ
ているのではない。自由民権運動期の五
日市憲法草案をわざわざ指摘して、それを讃える皇后美智子妃の言動を少し調べ
たら、教条的な天皇制論で済ますことは
できまい。戦前に吉野源三郎・山本有三が編集した新潮社の小国民文庫にも以前
言い及んで、「戦争体制下で言論も自由
でなかった時代に、これらの書物を子どもたちのために送り出した編集者の並々
ならぬ苦労を思うと、かけがえのない文
化と思う。」
こういった発言を汲み取ることのできないたぐいのひととは、私は話しもしたく
ない。
なお、私は貧困の中で七人の子どもたちを育てあげ、58歳で病死した亡母の旧姓
をペンネームで偲んで「櫻井」を名乗っ
ているので、「桜井智志」とは私のことではない。もっとも物事の重要な細部を
無視するひとほど、レッテルにとらわれ
ず感受する人間的情感に欠けることは言わずもがなではあるが・・・
なお、私は天皇制については、もっときちんとした学習を積んでから論じたいの
で中途半端な論述を避けた。天皇制論議
についての基本的な骨格は私にもあるが、歴史的過程・実体的実態・本質的構造
そして現象的問題点。それらの資料をそ
ろえてから後でないと、暇つぶしの知恵の輪ゲームをするほどの時間は私に残さ
れていないからである。
現在の最大の日本社会の問題は、反動的軍国主義の跳梁であり、直接の天皇制論
議はその後になろう。しかも最初の難問
題は、下手をすると民主主義の壊滅的崩壊に至る危険に充ち満ちている。