ほぼ2年ぶりに投稿します。以前「震災復興は所得税増税で」と訴えた私も、「震災復興税・消費税増税」と負担増に音を上げつつも、「自分で訴えた限りは収入は社会に還元しなければ」と自戒する今日この頃です(苦笑)。
さて4月6日付の一般投稿欄で、櫻井氏が「京都府知事選午後8時の当確報道に開票作業への疑問」を呈しておられたので、地元民としての感想を述べます。
1)私の今回京都府知事選へのスタンス
尾崎候補に対しては、私は同業者としてその能力や業績を高く評価するものであります。しかし「小児科医不足が社会問題化している折に、落選確実な選挙に立候補させて貴重な診療時間を奪うのは賛成できない」という立場から、(昨夏参院選では共産党候補に投票しましたが)今回は白紙投票しました。
2)午後8時当確報道
開票作業に関しては、貴方の指摘されるような「1社の独占」という問題点は確かにあるでしょう。そして「開票のあり方に対して、有権者は厳しい眼を向けねばならない」とは思います。しかし今回の革新陣営は、「82年以後事実上の非共産対共産一騎打ち」の9回の選挙の中で、「投票率・革新陣営得票数・得票率」の3指標で最低最悪(得票数は昨夏の参院選選挙区にすら及ばず、70年蜷川氏の3分の1程度)の結果でした。「開票不正(むろんその可能性も全く否定はできませんが)が敗因」とは到底いえないでしょう。革新陣営の活力の低下(以前はしつこいほどかかってきた電話も今回は全くかかってこず。街頭宣伝や宣伝カーもほとんど見られませんでした)が、最大の敗因でしょう。午後8時当確報道は、やる前から結果の判った選挙であった上に、「事前世論調査・出口調査」の結果を加味してのものでした。
3)報道の在り方
開票番組がショー化する中で、有権者の「早く結果を知りたい」という要望に応えるべく、「少しでも他局より早く当確報道を出したい」という報道機関間の過熱競争が、「開票結果を待たずに、世論調査と出口調査の結果を加味して早々と当確報道を打つ」ということに?がったのでしょう。「報道機関は、当てもののような当確早打ち競争に力を入れるより、選挙の争点報道にこそ力を入れるべき」という批判は確かにあります。しかしこの点では、地元紙京都新聞は「今回知事選は争点のない選挙で京都府知事選史上最低投票率すら予想されているが、消費税8%増税後の最初の大型地方選である。京都府民が投票率を高めてその意思を示すなら、国政にも大きな影響を与えられるはず」と、(ある意味争点を作り出し得なかった尾崎陣営以上に)争点づくりを提起してきました。また各党に対しても、「蜷川府政で京都は遅れたなどと40年近い昔の前任者に自らの失政の責任転嫁する自公与党、いまだに昔の革新府政時代はよかったとしか言えない共産党(社民に至っては影すらなし)、国政では野党でありながら老人政党化した共産党の幻影に怯えて対立候補すら立てられない民主党(維新・みんなもこの点では同罪)、何故各党とも過去のことしか言えないのか?何故京都の未来を語れないのか?」と、厳しく断罪しました。選挙後報道でも、「尾崎陣営の総括集会で、昨夏の参院選勝利は敵失によるものであり今回のような身内で小さくまとまった闘い方では最早限界との発言があった。共産陣営の公開集会で自省的な発言や指導部の闘争方針への批判が聞かれるのは稀であり、それだけ同党の危機感が感じられた」と報道していました。私は、以上の京都新聞の今回報道姿勢は高く評価します。
4)候補者選定
蜷川以後は、杉村・川口両京大教授が職を擲って立候補されました。しかし以後は、弁護士・退職教員・婦人団体幹部・医師と何れも「身内の民主団体関係者」ばかりでした。かつての蜷川氏に限らず、美濃部・黒田・長洲・本山・奥田・前川らの社共共闘革新知事・政令指定都市市長は、皆学者出身でした。こうした学者候補を現在求められない原因は多々あるでしょうが、「日本共産党員シンパの大学教授がほぼ皆無になった」ことが大きな理由だと思います。むろん日本共産党の「不」名誉のために言っておけば、「かつて日本共産党員や民青同盟員だった」大学教授は少なからず存在します。しかし彼ら(すなわち後に教授になるような優秀な人間)の多くは、党民青機関の官僚的硬直指導に反発して脱退していったのでした。最早現在に至っては、「かつて組織の一員であった」自覚すらなく、当然の如く「日本共産党に何ぞ目もくれていない」のが現実であります。
5)事前予測・出口調査の是非
たしかに出口調査の中間結果が各陣営に流れたりすれば、悪用される可能性はあります。現に、接戦だった1996年・2008年京都市長選では、「中間結果で危機感を持った保守陣営が投票動員した結果辛勝した」とまで言われました。ただしこれを禁止するとなると、「報道の自由」との兼合いで難しい問題でしょう。ただしこれまた、「事前予測・出口調査は日本共産党潰しが目的」とまでは言い過ぎでしょう。昨夏の都議選では、日本共産党の苦戦が予測されたにもかかわらず、マスコミ事前予測は「日本共産党議席倍増」でした。実際開票結果はマスコミ事前予測通りだった訳であり、(大部分が接戦の結果の下位当選であっただけに)その予想の正確さには眼を見張らされたものでした。むろんこの躍進が、引続く参院選東京選挙区日本共産党議席奪還に?がったのはいうまでもありません。最後に、出口調査に関しては「日本共産党支持者は正直に応えてくれない」というのはマスコミ関係者では定評があり、昨夏参院選では(下位で接戦だったこともあり)在阪各局とも「開票最終盤まで日本共産党候補に当確を打たなかった」ことを付け加えておきます。
結論的に言えば(失礼な表現をお許し下さい)、「午後8時当確報道は(事の是非は別次元の問題として)マスコミの努力の結果」というのが私の結論です。