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一般投稿欄

福島県知事選を闘う安倍政権の巧妙で奇っ怪な高等策略

2014/9/12 櫻井智志

 当初自民党県連は、元日銀福島支店長の鉢村健氏を擁立した。しかし、自民党本部は、滋賀県知事選、名護市議選の自民敗北にようやく危機感をもち、福島県連の意向を聞き入れず、自治省、総務省の官僚で副知事に出向していた内堀雅雄氏に目をつけた。

高等策略
①副知事だった内村氏には、民主党と社民党の福島県連、連合福島が出馬を要請していた。その内村氏に自民党本部は相乗りすることを決めて県連は承知した。これに与党の公明党がどのような形であれ、事実上自公の共闘を生かすと、自社公民の体制ができる。

②経産相になった小渕優子氏は、就任のインタビューで「私の考えは別として」と断り、政府閣僚の一員として安倍総理に従順であることを表明した。就任直後から何度も福島県に入り、素人ぽさは見えるが、県民にとって今までの事なかれ政府担当者と比べると、やや異質な印象をうける。福島県知事選にとって、小渕氏のイメージ効果を最大限に安倍総理は利用するだろう。

③内村氏の原発政策は、県内のすべての原発廃炉であるという。無理矢理全国の原発を再稼働させ、原発そのものを外国に売り歩く死の商人をしている安倍総理総裁をトップに仰ぐ自民党は、どこで政策をすりあわせるのか。あまりに選挙対策の小手先だけで済ませようとする卑怯な謀略としか言いようがない。そのような卑劣さを高等戦略と言うほど、政策理念も政策の論理も滅茶苦茶としか言いようがない。

④あれほど反原発を叫んでいた小泉・細川元総理は、なんら福島知事選にコミットしていない。都知事選であれだけ派手にアピールした大都市型イメージ戦の効果がないと見たのか、社民、民主が自民と相乗りした段階で、いかなる政治勢力が小泉・細川両氏と提携して県知事候補を擁立しえようか。あえてあげれば、小沢一郎氏と生活の党くらいなもので、小沢氏の民主党と合流して野党共闘をという路線は、今の段階では、全く現実性が薄い。

意見
 以上のような段階で、日本共産党は共闘を重視して、今まで他の政党との連携を工作しつつようすを見ていたと推測する。日本共産党は名護市議選でもトップ当選を果たした。沖縄県知事平和勢力のブレインであり、実践力でもある。反原発連合などの市民団体は、政党の中でも日本共産党への信頼は高いものがある。日本共産党、民主主義団体、市民団体、これらの渦の中から、どのような選挙戦になるのか。
 だが、福島県民は口先だけで耳障りのよいことを言うだけで、現実的具体的に復興の成果のない自公政権に疲れ切って希望はもっていない。さらに県民の中にも階層別に異なった実態がある。福島原発の収集作業にあたっている原発労働者は、「蟹工船」のような過酷な労働条件で、危険手当も下請け、第二次下請け、第三次下請けと下部に行くほど危険手当のネコババで直接放射能とむきあっている労働者の健康・労働条件は最悪の環境である。福島県民に希望をもたらす県政を実現する上で、政府政権が本当は最も問われているのだ。
 もう候補者を立てるのには時間もそれほど余裕はない。それでも、何度も県外から福島に入って復興にむけて励ましている人々や全国で反原発支援運動を実践している人々のちからは政治的にも非力ではない。

 今後、反原発市民団体と日本共産党や新社会党、緑の党など反内村・反安倍勢力の政治的力量を全国の民衆が応援し高めていくことがひとつの作戦となろう。