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一般投稿欄

沖縄と福島をめぐる日本国民論

2014/9/22 櫻井智志

◆沖縄をめぐって

 私はアメリカの権力が、リンカーン以来の議会制民主主義やルーサーキング牧師の非暴力主義などの民主主義的伝統があると思っている。
 芝田進午氏は『人間の権利 アメリカ革命と現代』(大月文庫1977年)で、ジェファーソンの起草した独立宣言以来のフランス革命など人権思想の伝統にあると述べている。同時にアメリカには先住民を虐殺し西へ西へと侵略と虐殺を続けてきた悪しき伝統がある。これがリンカーンを暗殺し、キング牧師を暗殺し、現在の軍産複合体の基盤の潮流と感じている。

 オバマ大統領は前大統領の共和党のブッシュの経済破綻を任期中には収束できないと、民主的ジャーナリストは最初から危惧したが、現実のものとなった。オバマ政府は安倍晋三に失望を公言していた。その安倍をこうものさばらせているものは、アメリカ軍産複合体の仕業と私は考えている。

 沖縄は、安倍政府と闘いアメリカ軍産複合体とも闘っている。しかし、沖縄県民は日本国政府と本土の国民をものりこえている。本土ヤマトンチューに対する失望はそうとうなものであることを、「世界若者ウチナンチュー連合会代表」の玉元三奈美さんの東京新聞9月21日朝刊の『あの人に迫る』インタビュー12面一面全体の記事を使った力作によって知った。

 玉元さんたちは、その失望さえものりこえて、世界にちらばる沖縄県にルーツがあるウチナーンチョをたぐりよせ、交流拠点とした「平和な島」を取り戻すために奮闘している。「沖縄のジャンネダルク」とも称される玉元さんらは、琉球大数理学科在学中に、「世界若者ウチナーンチュ連合会」七カ国八支部をまとめた。「世界若者ウチナーンチュ大会ブラジル」を成功させ、翌年には北米大会を開催。今年の夏にヨーロッパ大会も開催し、来年夏にフィリピンでアジア大会開催を予定している。2016年夏には世界大会の五回目を沖縄で開くそうである。沖縄の方言を継承する「しまくとぅば連絡協議会」事務局次長を担っているそうだ。こういう若者を輩出している沖縄県民は、アメリカに屈しないととも に、日本政府をみやぶり、本土国民に依存どころか醒めた目でしっかりとした認識をもっているといえよう。

 私たち以上に、沖縄県民の実践は国際的なレベルにあるものと認識した。

◆福島県知事選をめぐって
福島県知事選の告示は、十月九日である。

自民党は、民主自公・連合とくんで相乗りのオール福島体制を敷いた。反原発派は熊坂義裕氏に続いて井戸川克隆氏が立候補したことで、分裂した。熊坂氏であれ、井戸川氏であれ、どちらが当選しても天と地がひっくりかえるほどの差はない。

けれど、最初民主・社民がかついだ候補には脱原発と言いながら、自公の相乗りを許したことで、完全な原発再稼働・海外原発セールスの安倍政権の思い通りにしだいに変質させられていくことはかなり確率的に高い。井戸川氏も熊坂氏も、自らはおそらく正しいだろう。

 だが、反動オール福島の体制下ではそうとう勝利は困難になっていくのに、そのうえ反原発派同士の批判のとばしあい、正統派争いの主張を見ていて県民はどう思うか。正しいことと、選挙で当選することとは次元が異なる。正しいことを実現するためには、どれだけ多くの共鳴を集めていくかだ。はっきりと言わせてもらう。熊坂氏も井戸川氏もこんな状況下で出馬して、福島県知事を自公民社の相乗り候補に当選をみすみす許したなら、沖縄県知事選さえまさかの逆点差で敗戦もありうる。

 求められているのは、自分の主張が正しいかではなく、いかにして安倍専制政権がまかりとおるのを阻止することなのだ。やはり日本の民衆は分裂され統治されていくことを自らに委ねてしまうのか。