福島民報は、福島知事選の序盤戦についてこう記した。
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新人6人が立候補した知事選について、福島民報社は10日、電話世論調査の結果に、これまでの取材を加味し、序盤情勢を探った。前副知事で無職の内堀雅雄候補(50)が県内全域で優位に戦いを進めている。回答した八割以上が知事選に関心を持っているが、まだ投票する候補者を決めていない人も多く、各陣営の今後の戦術が選挙戦の行方を左右するとみられる。
今期限りで退任する佐藤雄平知事の後継候補となる内堀候補は、自民、民主、公明、維新、社民各党の支援や、多くの業界団体の後押しを受け、郡・市単位に設けた選対組織を動かし、各地で先行している。
現県政の復興政策の見直しを訴えている元岩手県宮古市長で医師の熊坂義裕候補(62)は共産、新党改革両党の支援を受けて草の根的な運動を続け、出身地の福島市を中心に郡山、いわき両市などの都市部で支持を広げつつある。
元双葉町長で無職の井戸川克隆候補(68)は浜通りの一部で健闘している。牧師の五十嵐義隆候補(36)、コンビニ店長の伊関明子候補(59)、会社役員の金子芳尚候補(58)は全域で浸透し切れていない。
支持政党別では、内堀候補が自民、民主の支持層を手堅くまとめ、維新、公明の支持層にも浸透している。熊坂候補は共産、社民などの支持層に食い込んでいる。
男女・年代別でも、内堀候補は男女差なく全ての年齢層でリードしている。熊坂候補は男性や50代、60代からの支持が比較的目立つ。
知事選に対する関心度を聞いたところ、「大いに関心がある」が約五割、「ある程度関心がある」が三割強を占めた。有権者の関心は高いが、投票先を決めていない人が多く、各陣営は政策や公約の浸透などに力を入れるとみられる。 ------------------------------
民主・社民・連合の推す候補に自公が相乗りしたのだから、最初から内堀候補が優勢なのはある程度はじめから予想されたことだ。くまさか候補と井戸川候補の統一も告示日を過ぎたので、よほどのことがないかぎり、一本化はないと見ている。私は反原発派の二人の候補の共闘的競争を提案したが、今のところそういうかたちにはなっていない。選挙戦が進み、これからどう動くか。
むしろ私はいわき市の無所属市民派市議の佐藤和良さんのような動きに、新鮮な気持ちを覚えた。佐藤氏は、くまさか候補を応援しているが、そういうこととは別に、原発事故問題の医療的側面に関心をもち以下のような講演会を応援している。
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佐藤 和良
9時間前 ?
明日です。黒部信一講演会「被曝後のこれからを考える 子供の健康と被曝について」10月12日(日)開演13:30終了16:30。いわき市文化センター。参加費:無料
[黒部信一講演会「被曝後のこれからを考える 子供の健康と被曝について」] http://t.co/qZ2rn9Tvli
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黒部信一講演会「被曝後のこれからを考える 子供の健康と被曝について」
2014年 09月 29日
NPO法人いわき放射能市民測定室から黒部信一講演会「被曝後のこれからを考える 子供の健康と被曝について」の案内。
黒部信一 講演会
被曝後のこれからを考える 子供の健康と被曝について
原発事故から3年半が過ぎました。放射能は今も大量に放出され、大気や海洋を汚染し続けています。ますます厳しい状況下に暮らす私たちは、被曝の影響から身を守るために、なにを学び、実践すべきなのでしょうか。低線量被曝を続ける子どもたちの健康を最優先に守るため、長年に渡り、内部被曝の影響から子どもを守る取り組みをされて来た、小児科医の黒部信一先生をお招きし、お話をして頂きたいと思います。
講演会の後には、トークセッションの場を設け、原発事故からの、子どもたちが置かれている状況を振り返りながら、私たちは今、子どもたちの未来のためになにをすべきなのかということを、多くの市民のみなさんと考え、話し合いたいと思います。
未来の子どもたちの健康と幸せを願うみなさんのお越しを、心より、お待ちしております。
トークゲスト 菊池純子・佐藤和良・鈴木さおり
2014年10月12日(日) 開場13:00 開演13:30 終了16:30
場所:いわき市文化センター
いわき市いわき市平字堂根町1-4
アクセス:最寄駅 JR常磐線いわき駅 徒歩10分 駐車場:69台
参加費:無料
主催:NPO法人いわき放射能市民測定室
問い合わせ:電話/Fax 0246-92-2526
Eメール tarachine@bz04.plala.or.jp
プロフィール
●黒部信一
1941年生まれ 、中学(普通部)より慶應生、1960年医学部入学。
1966年慶應義塾大学医学部卒、41青年医師連合慶應支部長、小児科医師連合慶應支部長、小児科学会評議員、同学会規約改正委員を務める。
卒業後、青医連運動に加わり、研修協約闘争に敗北。1967年慶應病院小児科に入局。1968年国立埼玉病院小児科に勤務。1982年同病院小児科医長。1984年吹上共立診療所所長。2010年11月より堀ノ内病院勤務。現在に到る。
その間、小中学生のインフルエンザワクチン廃止運動(成功)、BCG反対運動(小中学生は廃止、今は乳児早期だけとなる)、日本脳炎ワクチン反対運動、森永ヒ素ミルク中毒のこどもを守る会を支え、東京森永告発に参加し、森永製品ボイコット運動をし、「光協会」という被害者救済機関を作ることで森永側と和解。また未熟児網膜症被害者の原告側鑑定と証人になり、一部勝訴したものの最高裁で敗訴。医療過誤訴訟では原告側の鑑定人と証人になり、今も続く。
医療でのX線撮影のずさんさから、医療被曝低減運動を起こし、小中学校の胸部X線検診廃止運動に成功。その縁から、チェルノブイリ子ども基金に誘われ、現地にも2回訪問。今は顧問となる。今年の3月11日の原発事故後、日本の子どもも救済しようと、「未来の福島こども基金」代表。特に内部被曝の防止を目指し、飲食品の放射能測定所を支援。測定を開始し、10月からはホールボディカウンターも稼働予定。
小児科医としては、大学での研究を拒否し、臨床ひと筋できて、総合小児科を目指し、こどもの病気全般(外科治療を除く)の小児医療をしてきました。また、診療所開業後、一般内科、心療内科(精神科ではない)を勉強し、催眠療法も手掛ける。
「未来の福島こども基金」代表、「チェルノブイリ子ども基金」顧問。
著書に「原発・放射能 子どもが危ない 」「院長先生のここがまちがい小児医療 」などがある。
●菊地純子
1949年生まれ。1971年国際基督教大学教養学部卒業、1975年東京教育大学文学文学部修士課程卒業。1981年筑波大学大学院歴史人類学研究科博士課程終了。ドイツテュービンゲン大学文学部で古代オリエント学、神学部で旧約学を学ぶ。テュービンゲ大学研究助手、筑波大学講師を経て、現在青山学院助詞短期大学、明治学院大学、日本キリスト教会神学校講師。日本キリスト教協議会ドイツ委員会委員長。
2011年3月の東日本大震災後、被災地の人々と同じ場所に立ち、同じ目線で支援を考え実行している。子どもを守り育てる母親の存在の大きさからママカフェの必要性を強く感じ、応援する活動を積極的に行っている。
●佐藤和良
原発事故子ども・被災者支援法推進自治体議員連盟」共同代表
「福島原発訴訟団」副団長
いわき市議会議員
1953年福島県いわき市楢葉町(福島第二原発立地町)生まれ。
1988年から脱原発福島ネットワークに参加。2004年からいわき市議会議員。福島 原発の安全性問題などについて、20年以上前から東京電力との交渉を続けてきた。 著書に『東電原発犯罪─福島・新潟からの告発』(創史社)などがある。
【関連サイト】
*風のたより(個人ブログ)http://skazuyoshi.exblog.jp
*佐藤和良Facebook https://www.facebook.com/kazuyoshi.satou.9
*福島原発告訴団 http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp
●鈴木さおり
中学生と小学生の二人の子を持つ母親。仕事で 近所の小学生に勉強を教えるかたわら、PTA役員や地域活動への参加などを通し、社会全体で子ども達を育てる事の大切さを実感している。有志の母親達と 学校や幼稚園などの放射能空間線量測定を行い、行政に報告し 対応を求める活動をしている。
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このような自立的市民の自発的運動が、燎原の炎のように広がっていくことこそ、上からのお上意識で、自民党福島県連の判断さえおしつぶし、ただ和合わせのための「オール福島」の浅い捉え方で、原発再稼働の自公と反原発の社民が候補者を共同で出すという考えてみれば、上半身はライオンで下半身はカモシカのような統一性のない政策のうわべだけのめくらまし候補が出て、当選しそうな勢いなのだ。もっとも、当選したら、自民党はさっさと川内原発はじめ再稼働を「シュクシュク」と進めていくだろう。
しかし、自民党は参院選の時に「県内の原発全10基廃炉の実現」と公約に明記していたのだ。自民県連、県版公約を最終決定 県内原発の全基廃炉明記。このことを記したヤフーのアドレスは今では記事がありません、といつのまにか消し去っていて嗤えてしまう。自民党とは、政策の一貫性よりも、利害利益の追求においてで一貫性をもつ政党だということを改めて知る。
いまの自社公民候補にとって、彼ら自身が再稼働原発海外セールスが本音の自民党と、まがりなりにも口先だけでも県内原発十基すべて廃炉という政策とがどこで一致するのか、私は理解に苦しむ。原発建設を戦後一貫して進めてきた責任政党自由民主党と、原発事故勃発の時の政権党である民主党は、道義的にも福島県民にすまないと想わないのか。また、反原発運動を実際にになってきた社民党は、なぜ自民と共闘するのか、わけがわからない。
そんな中で新党改革の荒井代表は、くまさか候補が政党の色彩がつくことを配慮して推薦から自発的支持へと切り替えた。日本共産党も、連日沖縄県知事選のしんぶん赤旗の報道は目立つが、実際に活動してないのか、配慮してか、ほとんど福島の記事は見られない。それだけ「オール福島」路線を尊重して、深謀術策を考えているのだろうか。
福島県知事選で、市民運動が選挙のゆくえに重大な影響を及ぼす可能性がある。東京の本部から上意下達の指示を行う候補よりも、福島県内外の住民たちの意思と願いを運動に反映して運動を進めていく陣営が当選するかも知れない。ただ、その有力な候補であるくまさか陣営も井戸川陣営も、自分たちの支持者の周辺だけでなく、福島全県に小さな市民運動、住民運動を幾重にも重ねて、大きなうねりをつくりだすことだろう。
井戸川かつたか候補の公式サイトの言葉である。
「私は地獄を見続けています。
これ以上被曝者を
増やしてはなりません。」
このように絶望と隣り合わせでありながら、その失意や無気力で苦闘し続ける政治家こそ、福島原発事故で苦しむ県民の側に寄り添って福島県政を進めていくことだろう。私はくまさか氏も井戸川氏も二人ともそのような政治家であると信じることができる。 私自身はくまさか氏を支持して全国勝手連を賛同している。しかし選挙であいわかれても、井戸川かつたか氏とくまさか義裕氏とは敵対する候補ではない。二人が、実質は自民党中心の原発再稼働路線派の得票を少しずつひきはがして、被災県民のために働く自分たちの側に得票を増やしていくことだ。TPPは反対、原発は廃炉、消費税増税は慎重に、そう公約して当選した国会議員の顔に泥を塗りたくって平気な安倍自公政権の推す候補など、候補者が気の毒だ。信じろ、と強制されても、信じられる道理がない。
これからの選挙戦の課題はふたつ。
①ひとつひとつ福島県民の心と暮らしの糧になるような反原発運動を実際に行い県民不安の防波堤になること。
②自社公民候補の政策の矛盾をひとつひとつ建設的な具体案を示して論破していくこと。
さらに
③くまさか義裕候補と井戸川かつたか候補の共闘と連帯の場面を数多くつくりだし、「実質」原発推進路線とともに闘っていくこと。
全国勝手連は福島を応援し、新党改革、日本共産党は自主的支援を進めていく。皆さんは決して孤立してはいない。