2014年の年末に実施された「アベノミックス」解散総選挙では、共産党は13議席増の21議席を獲得した。この結果について共産党は国民の共感と期待の表れとして総括している。しかし今回の選挙結果が共産党のいうような「自共対決」状況を表しているのか甚だ疑問である。今回、共産党は自民党を上回る293人を小選挙区に候補者を立てました。しかしその結果は沖縄での赤嶺議員一人だけです。小選挙区では共産党候補と与党候補の一騎うちとなった選挙区もありましたが、ほとんどダブルスコアーで敗退しています。
小選挙区の投票結果を分析すると、野党第一党の民主党に共産党候補者の得票を加えれば50議席強の選挙区では自民党候補が敗退し野党系候補が当選していたという事実です。かりに、野党統一候補が実現できていれば、自民党に絶対安定多数の291議席をとらせることを阻止できたはずですし、自公の合わせて三分の二議席も阻止できたのです。
比例区での得票数では自民党33.1%、民主党18.3%、維新の党15.7%、公明党13.7%、共産党は11.4%です。この結果からみても、共産党がいうような「自共対決」の現実化というのは程遠いのでは。小選挙区の全選挙区に候補者を擁立したことは少なからず比例区でのアピールにつながったと思われますが、それでさえも、比例区の投票結果は第5位の11.4%でしかなかったのです。この得票率は民主党政権が国民の期待を裏切って、選挙民の信任を喪失している状況下、野党票が共産党に流れたこともあるでしょう。ただ現状では自公政権に代わる野党政権の展望がもてないその結果がこんどの選挙結果ではないでしょうか。
この先、共産党が言うような「自共対決」の政治状況がつくりだされるとは到底考えられません。原発阻止、集団的自衛権の拡大阻止、秘密保護法廃案、格差をもたらす非正規社員の拡大阻止等々、共産党自身の掲げる政策には、民主党、社民党、生活の党などと連携の可能な政党があります。それらの党との連携を強化し現実の自民党一強の政治状況を変える政策を打ち出す必要があります。沖縄での小選挙区で自民党候補者ゼロの状況を作りえたこの教訓を全選挙区に拡大してもらいたい。そしてその責任は前衛党である共産党自身にあるのだということを自覚してもらいたい。
それと、共産党自身の問題として、今までの安保政策が今のように中国が覇権国家へのみちを進めている状況下で可能かどうかも検討しなければなりません。中国共産党の現在の政策について社会主義の観点からの公開批判が必要です。
国際共産主義運動はレーニン自身が公開批判を機関紙で展開していました。公開批判は「内政干渉」ではなく、論争を通じて問題点、課題を全人民のまえに明らかにしていくことができるのです。その過程で日本共産党と中国共産党との違いも国民に理解されるのです。