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石原発言の本質

2000/4/15 まっぺん

 私の掲示板に掲載したのとほぼ同文ですが、ぜひとも「さざ波通信」読者諸氏にも読んでいただきたく投稿しました。「三国人」発言の真意はただの失言ではなくもっと深い意味がある事を強調したいと思います。
 資本主義は労働者階級全体の大きな後退にも支えられて、いまやその凶暴な本性をむき出しにしてきています。金融のグローバリゼーション化の圧力は各国政府の政策から規制を次々に取り去って新自由主義政策へと向かわせています。その上に立ってより収益性の高い、より有利な経営方法を求めて企業は国際的な再配置を繰り返しています。各国間の経済的格差はこの資本の戦略に最大限に利用されます。原材料や輸送手段ばかりでなく、より安い労働力を求めて開発途上国の労働者を劣悪な労働条件で雇用する。これは相対的に先進国労働者の失業率アップとして跳ね返ってくるばかりでなく、主に先進国労働者階級がこれまで闘い取ってきた労働条件の改善をも後退させる働きをします。すでに賃金の実質低下と福祉切り下げは我が国でも着々と実行されています。「外国の安い労働力が我が国の労働者の生活を脅かしている」ことになる。これはきわめて切実な問題で す。
 しかし開発途上国の労働者も劣悪条件での雇用から抜け出すことができる訳ではない。かれらは先進国労働者に比較して「条件が劣悪」だから職にありつけるのです。しかし失業も多く、国家の貧困はそのまま多くの貧困者を生みだしています。彼らがその為、先進諸国にあこがれ“一攫千金”を夢見て出稼ぎにやって来るのは無理もない事です。ところが入国や滞在には色々な規制があって労働ビザは一般的にはごく一部のエリート商社マンや高度な技術者にしか与えられない。最下層の外国人ははじめから「合法的な金儲け」の道から排除されているのです。つまり外国人下層階級からみれば、先進国は外国にどんどん商品を輸出して利益を得ているくせに自分達の利益を維持しておくためには外国人を国内に受け入れようとはしないように見えるのです。
 つまりこうして労働者をそれぞれの「国家」の枠に縛り付け、同じ労働者・貧困者同士を民族的に分断し対立させておくことは資本にとって経済的にも政治的にも有利な事なのです。したがって「民族主義」「民族排外主義」は資本主義的利益に合致し、それに奉仕するものとなるということです。ドイツのネオナチやアメリカのKKKなどがスローガンとする「我々の職を奪う外国人労働者は出て行け!」という主張は、まさにこれに乗ったものです。石原の外国人敵視発言の真意はここにある。彼は資本の忠実なイヌであり、労働者の団結を阻止しようとしているのだということをはっきり意識するべきだと思う! これをただ「うっかり差別的発言をしてしまったのだ」と収拾するのはみずから階級的敗北を求めるようなものです。今、強く抗議したからといって「ヒステリックな糾弾」でも「言葉狩り」でもなんでもない。どんどん抗議しましょう。
 庶民のなかにも浸透している民族排外性にそのまま迎合するべきではありません。上記で説明したように民族的排外主義は結局、労働者全体の首をしめる役割しかはたさないからです。日本政府の民族的エゴイズムによる「不法滞在」攻撃にもかかわらず外国からやってくる多くの下層労働者は、それぞれ本国に残してきた貧しい家族がいるでしょう。共産主義的な連帯のまなざしはぜひともこれらの外国の友人達の家族にも向けてほしいと思います。「プロレタリア国際主義」とはお題目ではなく、実践の中で試されると私は思っているし“プチブル”的な私でもせめてプロレタリア国際主義の感性だけは見失わないようにしようと思います。以上のように考えますがいかがでしょうか?