0.はじめに
こんばんは。「保守」派の地域経済分科会です。今回は、大都市ではなく、農村と中都市の中間に住むものとしての視点から愚見を述べて見ます。そして、「保守」ではありますが、広島の平和教育を僅かながら御手伝いさせていただき、今も平和活動は御手伝いさせて頂いているものとして。
1.ドイツの脱原発ーー時代遅れ日本
ドイツが先週末、脱原発方針を決定致しました。アメリカが事実上新規増設が凍結され、フランスもすでに高速増殖炉を凍結。スウェーデンも脱原発を決定し、もはや脱原発は先進国において世界的流れとなっています。
当然です。原発は、ある意味、アメリカの大会社に都合がよい経済体制の象徴でもあります。
日本は地球温暖化対策と称して原発増設を推進しています。なんという愚行でしょう。そして今度はアジアにも原発を輸出しようとしています。
残念ながら原子力は人間の手におえるものではないでしょう。ちょっとでも間違いがあったらアウトです。で、ちょっとした間違いはいつでもどこでも起こり得ます。ですからできれば、最初から使わないほうが望ましい。
推進派は、原発なしでは経済が立ち行かないと言うでしょう。しかし、デンマークをみれば、エネルギー消費を押えながらしかも再生可能エネルギーを増やしつつ、経済成長も達成しているのです。(内橋克人、「共生の大地」など参照)
2.行き詰まる従来型開発行政・産業政策と今後
がすでに、資源・エネルギー多消費型経済は行き詰まっています。産業と言う面から考えても重厚長大型産業は、伸びは期待できないでしょう。
ゴミ問題一つ、どうにもならなくなっている。豊島を始めとする問題が次々起こっています。ああいう公害問題は起こってからでは遅い。いくら補償しても最初から起こさんほうがいいに決まってます。おこさないことが第一です。
街作り、村づくりのあり方が問題です。資源・エネルギー多消費型の町にするか、それともそうではなく、資源はあまり使わず、しかし住みやすさは追求されるような町にするか。自民党政治か、そうでない政治にするか。
前者を追求すれば工業団地などの大型開発を行い、大会社を誘致することで雇用を確保する。また、郊外の大型店を野放しにし、車社会を推進する。中小業者がつぶれようとお構いなし。温暖化ガスは出し放題。エネルギーや水はどんどん過疎地から持ってくれば良いと言う考えに基づきます。
後者なら、大会社には頼らず、地域の資源や文化を活かし、主に地域のニーズに応えるような産業を中核とする。大型店の規制を適正に行い、中心市街地に開発を誘導し、コンパクトな街にする。そうすることで公共交通も成り立ちやすくする。車社会を押え、エネルギー消費を押える。町全体としてエネルギー消費を押える戦略を考える。農山漁村との関係も収奪ではなく交流とする。
今の自民党政治は、ぶっちゃけていえば、農村からは無限に水や電気を持ってきて都市に持ち込み、大量生産大量消費の後はゴミを再び農山村に戻す。そのかわりごめんね、ということで、地方交付税交付金を還流します。
3.民主党的考えも危険
しかし、ここ数年は「都市型」と称して、田舎に税金を使うのはけしからんとか、そういう類の意見が増えてきました。
新自由主義者や旧新進党あたりがそうです。今の民主党が近いです。公共事業反対、整備新幹線反対。正論ですが、危険を含んでいます。
多くの大都市住民は、原発を地方に押し付けている事を忘れ、地方交付税交付金をへらせだとか、そういう意見がマスコミまかり通るようになりました。
はっきりいって、これは、なんら自民党とレベルは変わらない。いや、都市と農村の間の構造問題が分かっていないだけ自民党より認識がない。
これは、また不況も関係してきます。すなわち、不況で社会全体で分配する富が減ったので、上層都市住民と農山村の間で利益分配争いが起きているとも見れます。
むかし経済成長率高かりし頃は、農村も都市の高級官僚、銀行、ゼネコン全て満足させられたのですが今はそうはいきません。誰かの利益を図れば誰かの利益を減らさねばならない。
規制緩和とか行革とか称して、山間部からの公共交通の撤退などが既に新自由主義者の中曽根内閣から始まり、橋本内閣にいたって傾向は酷くなっています。そして、その理論的支柱として近代経済学者が動員されているます。
ともかく、新自由主義者、民主党らは、具体的地域振興策もないまま都市住民の認識不足に便乗して農村を見捨てようとしている。相変わらず原発や産業廃棄物は農村に押し付け知らぬ顔でしょう。それと引き換えに認識不足の都市住民から支持を得るという按配です。
自民党、公明党は旧来のばらまきを繰り返すのみ。自民党のやっている路線では農山村に産業が根付かないので、せっかく注入した御金もそとの大会社に還流してしまいます。「ざる経済」です。そして都市住民は不満を持ち、結局不毛な論争になってしまう。これでは都市も農村も幸せになれません。
4.日本共産党に期待する――新たなモデルを
自民党的ばらまきでもない、民主党的都市住民に迎合するだけの小さな政府論でもない、新たなビジョンが必要です。
それは経済、環境、交通、都市などさまざまな分野にわたる総合的変革を必要とします。
一言で言えば競争・対立から、協調・共存型の経済への転換です。都市も農村も幸せになれる方向。さらにいえばこの構図は南北間にもあてはまります。
それは地域がそれぞれの固有の資源に基づいて地域のニーズに応えるような産業をつくっていくことです。その枠内でいいいみで競争していくのはよいと思います。
決して大会社に対して各地域が「美人競争」をやって無理なダイエット(たとえば労働条件の緩和や環境破壊など)をするという土俵での競争には陥ってはなりません。
一方、自民党のように中央官僚が介在して都市から地方へ金を還流するのもおかしい。
これでは対等の関係とは言えません。むしろいったんすべて財源を地方に移した上で、各自治体が豊かさに応じて中央政府に分担金を出すと言う方向がのぞましいとわたしは愚考いたします。
中央官僚もキャリア制度は止めにして地方からの出向者で構成しても良い。これくらいの大胆な改革は高級官僚や銀行に頼っていない日本共産党が伸びて自民党が慌てるという場合しかできないでしょう(無論、日本共産党は今回は天下を取れないというわけで)。