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ITビジネスの勘違い

2000/6/19 日本人でありたい、40代、広告制作

 日本政府はITを21世紀の根幹に置いてと言う発言をしています。それは必要でしょう。ただし、最も最初に着手しなければならないことは、国民投票の実施だと思います。独り1票の重みを全く同じとした、完全な国民投票をITで実現すると言うならば、賛成します。
 仕事上、ITについて研究し、その実現を企業等とやっておりますが、これは、国民個々に対しては確実に損失であって、得られる利益などありません。中小小売店を無店舗の大企業が潰し、町を、コンビニとファミレスしか無い世界に変えていく構想でしかないのです。NHKのデジタル・ハイビジョンにしろインターネットにしろ、基本的に、個々の個人の利益には殆どならない。私どもは仕事ですからコンピューターも使います、インターネットも使います、デジタルカメラも使います。しかし本当に一般人の人がこれを必要とするのでしょうか? 今までただで得られた情報にお金を払う必要があるのでしょうか、それを必要としない人も、税金として支払う必要があるのでしょうか?
 日本政府は、欧米は、欧米はと競争心をゆさぶっています。私は仕事上、イタリアに本拠地を持っています。彼らはコンピューターなど自分の家に持ち込みませんよ、家は幸せに家族で過ごし、食事し、子孫を作る神聖な場所なのです。人間本来にかせされた活動は本来それなのでは無かったでしょうか? 日本の経済力から見ればイタリアは落ちぶれた国です、しかし、一人一人の生活水準は日本の10倍近く高いと思ってます。それはイタリア共産党勢力の強さから来てると思っています。イタリアと日本の決定的な格差と言う事を書きましょう。
 税金、消費税20%、所得税47%です。一般人の月刊収入は基準は10万円台の手取りが常識です。住宅地は、ミラノ、ローマ中心部が月10万円位ですから一般人は住めません、しかし、各駅に無料駐車場が広大に有り、地域住民や家族単位1台の車でそこまで行ってみんなバラバラに地下鉄とかで出勤します。郊外に職が有る人は、家族を送ってから職場に向かいます。運悪く無料駐車場が得られなくいと、1時間50円の有料駐車場か、多少の危険は有りますが路上に止めて出勤します。
 食費は、材料費としては日本の30%以下です、遺伝子操作の食料はEUが禁止してるので有りません。少なくともイタリア内の消費分は自国で生産しています。
 就業時間はだいたい9時・5時で、昼休みが2時間以上有り、夏の休暇は2ヶ月有ります(有給です)。昼休みが2時間以上有るので、みんな家に帰ります、家で家族と共に食事をします。
 土日は休みですので遊びに行きます。交通費は鉄道も、高速道路も日本の10分の1の値段で、美味しい食事を求めて、かなり遠くまで遊びに行きます。日曜日は、仕事をしてはいけない日ですからトラックは走りません、道路工事もありません。(日本の集中して日曜日の工事するのとは大違いです。トラックを走らせるには自治体の許可が必要です。)
 買い物は近所の中小小売店が集まった町に行きます、買えなくても、それを見ているだけで、恋人たちは満足し未来を語り合います。
 こうゆう生活が、豊かな生活って言うのでは無いですか?  今この無理矢理成長させようとする、日本の産業優先行政が腹立たしいのが現実です。
 IT産業のために、今自分が仕事してるのも事実ですが、どんどん矛盾に捕らわれてます。それを政府が後押ししている・・・もっと矛盾です。本来やるべき事は、電子機器の値段を下げる事でなく、野菜や食い物の値段を下げ、下がった生活保障でも食える状態を作ることが先決でしょう、今後IT化することで人件費は人数要らなくなる事も含んで楽になります(企業は)・・・高度な教育も要らないでしょう・・・そうゆう物を作ってます。・・・営業のマニュアルを全自動化する様な物・・・失業者が出ることを確信した作業です。たった一個の企業ですらこれです、全国規模でこれを実現した時に、一個人の生活が今より良くなるとは思えません。ただでもイタリアより数段、貧乏にしか思えない現状からまた悪化するのです。
 日本はGNPが第2位で有るなんて俄に信じられません。それこそ大本営発表程度に聞いています。本当に欧米並に正確に計った場合とんでもない数値になるでしょう。
 失業率も・・イタリアでは、専業主婦は「失業者」です、フリーターも「失業者」です、つまり特定に会社に通わず、正規な労働者として登録されず、社会保障を得てる人間は基本的に「失業者」なのですが・・・日本の統計はいかに? そこを含んで計算したら失業率20%台って言ってるヨーロッパ諸国に適いますか?
 いい加減な数字あわせの適当な発表にはうんざりです。もうかって居るのは企業だけです。
 その昔、日本人がみんな企業に所属し、日本人=企業の人であった時代ならば、企業支援=国民支援はなりたつと思いますが、現状はそんなことはない、ブルーカラーの獲得で、大企業はみな海外に出てしまった。何故か・・賃金が高いからです。なぜ賃金が高いのか・・・物価が異常に高いからです。

 もう一つ書きます。
 政府の好きな欧米比較ですが・・・欧米では、普通の人が仕事を辞めて隠居しようと思う金額は3000万円位です。3000万円貯めれば、もう死ぬまで苦労しないで生きていけます。アメリカ人は、自給自足出来る程度の農場を買うそうです。後は(これでも残る)多少株とか為替とかを商売でやって儲かるとボーナスにするそうです。この時点で子供が自立してれば・・って事ですけどね。
 イタリア人は、中心となる町の中に、貸せる部屋を買います、だいたい千500万円位です、これ1個が毎月5万円位稼いでくれます、これを2個買えれば食いぶちは死ぬまで確保できる訳です。多少残して、300万円位有れば、田舎に一軒家を買います。ここは将来の住処となります。
 元気なうちは町の家の片一方に済んで活動し、もう子供も大きくなったとなれば田舎に引っ込んで旨い食い物三昧で生活する訳です。田舎の物価は日本の比率なら5分の1以下ですから。
 これが、政府の好きな、欧米人の普通の人の勝利条件で・・・だいたい80%位の人はかないます。その上で雀の涙程度の年金も来ますし。
 さて、日本人の普通の人の人生勝利条件とは・・・
 私も、政府の言う、普通所得と言う層よりは上の給料をもらってますが、ちょっとぴんとこない。日本で老後20年間遊んで暮らすのに必要な金額は結局いくらか? ちょっと旅行に行けば20万円も吹っ飛び、旨いと言える食事をすると1万円吹っ飛ぶ国で、気持ちよく生き、その後の物価変動に耐えられる収入がいくらなのかって事ですね。
 そうゆう勝利基準を設定し、具体化する人たちがいないで、うだうだやっていたら、子どもは迷います。指示する方も迷ってますから。
 日本が欧米と同程度の物価で有れば、日本人は普通35歳程度で勝利基準の貯蓄を持っているはずです、悪くて40歳半ばだと思ってます。
 現在私は42歳ですが、勝利基準に達してるとは思ってない。いつになったら達して、安楽な生活に入れるかの目処も立たない。
 一個解っているのは、日本を捨てて、イタリアに行けば、いますぐ勝利基準に達してる事です。アメリカでも達してると言われました。
 悲しいことは・・・このまま日本政府がIT技術とかで不毛な政策を続けるならば、たぶんこれで一稼ぎして日本を出ていく事を、同じ事業をやってる皆が考えている事です。日本が荒廃した子どもの教育環境しか持たず、企業優先に税金を使い、農作物の自給率を下げ続けて、高物価を維持し続けるならば・・・もう日本には住めないと思っています。
 つまるところ、勝ち逃げ、持ち逃げですが・・・将来の年金普及額毎月3万円台で、どうやって生きろと言うのでしょう。夫婦で6万円・・・これで、他の国ならぎりぎり生きていけます、日本では無理です。イタリア人の主食、大麦は1KG、35円なんですよ・・・これで1週間分の食費です。後は贅沢に材料買えば良いだけです。普通に家で食事するだけならば、月間食費が2万円を切る・・・
 日本人の中流意識ってのは、我々広告屋ですから良く知ってます。しかし、欧米基準から見たら、貧民、難民以下です。
 中国ともおつき合い有りますが、彼らの一般人にも及びません。彼らは55歳すぎて、働く必要も、家の心配もありませんから。
 公人の、無謀な発言とかそうゆう上げ足取りとかで無く、本当に国民の立場に立てば、そんな状況では無いのです。
 子どもが荒れてるって、この辺考えれば当たり前です。教育要綱の改訂が問題でなく、教育要綱を守ってない教育委員会の廃絶か断罪の方が必要でしょう。日本国憲法も間違ってません、それを守ってない人々の問題です、たぶん政治家も含んで。
 問題は、日本国=企業と言う考え方の根本の部分なのではないでしょうか?
 首相の言うITと言う言葉を聞く毎に、税金で上げた衛星、税金でぼこぼこ穴を掘って光ファイバーを通す風景が目に浮かびます。それは食えない。使ってる人に、日本企業への献金、アメリカ企業への献金を要求してるだけにすぎない、それへの太鼓持ちにしか見えないのです。
 私自身、広告屋ですから、太鼓持ちです。政府丸ごと太鼓持ちって言うのが同業者としてよく解ります。
 それを感じる毎に悲しくなる毎日です。
 唯一の救いの可能性は・・・この政府と企業が無理矢理作っちゃうであろうIT装備の中で「国民投票」を組み込みましょう。もうそれしか無いです。
 はっきり言って、政府が言う程度NHKが言う程度のIT化なんかフランスやイタリアは10年以上前からあります。全然進んでません。偉そうな事を言ってるなあ位、単純にアメリカに献金したいからインターネットを使ってるにすぎない。
 首相の旧語復活的な口調ならば、太鼓持ち以前に、売国奴って言う言葉の方が出てきます。(広告コピーに使えませんけど)
 一体、この欧米に比較して10倍も高い(イタリア比較だと20倍かもしれない)交通費とかで得られた税収はどこにいってるのでしょうか?企業が本来払うべき、膨大な額の税収はどこに行ってるのでしょうか? そうゆう部分を後回しにして、国民からの税金話って言うのにも呆れます。その辺がちゃんと考慮され、生活保障されるなら、私は、欧米並の税制でもかまいません。
 中小企業の社長である部分から言えば、ろくすっぽ消費税を納入しろと言ってこない国、5%も国民から取ってるのに・・・3000万円以下の売り上げならそのままポケットに入れても良いって言う税制はまるっきり解せません。
 同じように、大企業も払ってないとしたら、政府ぐるみの陰謀でしかないでしょう。例え半分だったとしても・・・税金と名を変えた、単なる企業補助以外の何者でもない。もっと巧妙な方法で動いてるであろう事もうすうす解ります。
 一体この国は、何を基準に生きているのか大変矛盾に感じている今日このごろとなってます。