こんばんは。
日本共産党中央の「転換」への失望があいついでいますね。一般投稿欄でのジェルジェモルダさま、大塩兵七郎さま、、党員投稿欄でのBCGさま、焦りの御気持ちはわかります。編集部のみなさまも、安易な政権入りには批判的でいらっしゃいます。これは御気持ち当然です。第2の村山になってはいけないのは当然です。
1.絶望してはいけない
しかし、絶望してはいけません。まして選挙で棄権すれば、公明党=自民党ラインのおもうつぼです。彼らはますます、効率優先主義の経済政策を推し進めて行くでしょう。
すなわち、アメリカ的剥き出しの資本主義(実は、アメリカでは政府の福祉は貧困だが、NGOなどの活動は盛んですので、一概に決め付けられないが)を国内では推進し、一方で口先では環境保護をいうでしょうが、ゼネコンのため道路特定財源などは維持する。また盗聴法などで国民の監視を強める。(また、天皇陛下を悪用して)社会的矛盾を覆い隠すため「家族の価値」を強調する。(これはレーガンやサッチャーが行った手口です)無論、彼らが進めた無制限な市場経済化こそ「家族」を解体し、地域社会を衰退させ、環境を破壊する。結局むしろ余計な行政コストがかかる事になります。悪徳業者を野放しにした結果、ご存知の惨状となった豊島など、市場経済原理主義が招いたコストがいかに大きいかの事例は枚挙に暇がありません。
そもそも、市場経済化とは、いままで地域社会や助け合い、また入会などの取り決めでやってきたのを政府と市場が奪ってしまうことですから財政膨張はあたりまえですが。96年ごろから私は繰り返し言ってきた事ですが。
http://www.geocities.co.jp/WallStreet/6002/ECO/NPO.html
ほか。
2.改めて言う。日本共産党は経済政策転換に絞って天下構想強調を
いまの日本共産党に+アルファでわたしが期待したいのは、もっと明確に、世界レベルの南北問題や人権問題に配慮したいや、それらがGDPよりは上位に来るような、経済の仕組みを、社会の仕組みを打ち出す事です。
途上国の人を苦しめて、あるいは、環境を破壊して、あるいは国内的には労働者の人権を切り下げて、中小企業を潰して何の経済活性化でしょうか? こういう疑問は国民の多くが持っています。共産主義でもない、資本主義でもない。内橋克人さんの議論あたりも参考にされるとよいと思います。
天皇反対などを持ち出すと「兵力」分散となってしまい得策ではありません。国内の残業とかそういう問題と、世界レベルの貧困、飢餓、女性差別などを併せて考える事。今度の世界女性会議も「赤旗」などでもっと取り上げるべきです。
しかし、自民党ではそれは期待できませんから。公明党も理念としては掲げていますが残念ながら自民と組んでいて駄目です。民主も鳩山氏は御金持ちですから、どうでしょう。やはり日本共産党が一定の勢力を保っていてこそ、世界をも変えて行く事ができると思います。私が同党を支持するかは別として。
3、天皇陛下と現実問題の関連は薄い
ただ、南北問題が解決する事、差別がなくなることを求める人は多いはずですが、多くが、日の丸、君が代を容認する人と重なり合っていると思います。日の丸君が代や天皇陛下が象徴としていらっしゃることと、南北問題や貧困問題、地球環境問題の解決は両立し得るもの(というか次元の違う問題)です。それに例えば昭和天皇の御言葉でカブトガニの保護が始まったと言う例もあります。共和制のアメリカより王制のスウェーデンのほうがはるかに平等追求型社会です。
ただ、陛下を悪用して、たとえば経済問題、社会保障問題、教育問題などから目を逸らさせるような策略には徹底抗戦すべきです。森総理の発言など論外です。お父さんが残業で帰れずにこどもとろくに対話できない状況を放置して、何が教育勅語でしょう。何が神の国でしょう。一番迷惑しているのは陛下でしょう。
そして、天皇制反対を日本共産党が叫ぶ事自体が自民を利するだけです。不破委員長の選択は正しい。現状、国民のすくなからぬ部分は経済効率至上主義で、環境を破壊し、途上国の人権、さらには国内のサラリーマンや中小零細企業の人々の尊厳を傷付けるような形での経済成長には疑問をもっています。一方で、彼らは、天皇陛下には一定の尊敬をしており、日の丸君が代も容認している。また少年法適用年齢は引き下げるべきだとも考えている。こういう状況で、天皇反対などと叫べば、「経済政策は共産党支持だが、天皇制や少年法改正は賛成」という人の反発を買ってしまうだけです。彼らが棄権すれば、自民が得をするだけです。
繰り返します。経済政策で、地球環境や、人権を経済の上位に持ってくることが守られれば、天皇陛下がどうこうで、日本共産党支持をやめてしまうことは、与党を利するだけと愚考いたします。
4.補論――アメリカ=全面的に駄目か?
ここらは、党員投稿でタケルさまと編集部様のあいだで議論が活発にされておりますが、党員ではなくむしろ死刑制度や天皇制からは「保守」の私から愚見を述べさせていただきます。
結論からいえば、そんなに悪い体制ならとっくの昔につぶれています。ですから、それなりの意義をもった体制と言えます。
アメリカは経済システムだけを見れば、政府の福祉は充実していません。医療保険も確立していなかった。環境意識も、車社会のせいか、欧州より低い。それでも日本が見習うべき点は大いにあります。一つはコミュニティーレベルでの規制。
大店法緩和は、アメリカの圧力もあって行なわれましたがアメリカ国内ではなんのことはない、街作りの視点から適切な規制が各自治体で工夫されているところも多い。さらにNGOの力。非政府・非営利セクターが、人々の多様なニーズにこたえています。それは雇用も生み出し、日本では1%に満たない非営利セクターの雇用がアメリカでは12%近くあります。
日本の自民党や高級官僚は、アメリカの剥き出しの資本主義の部分だけ取り上げて、日本もこうなるべきだと声高に叫んでいます。自分らに都合の悪い部分、NGOがさかんとか、直接民主主義の伝統とか、多様な規制とか、そういうのは無視しています。規制緩和の発祥の地でもありますが、またそれに対抗するだけの力を内部に持っている、そういう意味では日本より健全といえなくもないと愚考致します。ただ、日本は、アメリカの悪いところは見習わず、良いところは見習えばよい。それだけでしょう。
アメリカンリベラリズムの自分に都合が言いとこだけとりだしてくる自民党や高級官僚さらには自由党や民主党の右派の策略には注意すべきです。彼らは日本国民に剥き出しの資本主義を押し付ける一方、アメリカにある規制とか直接民主主義とかは阻止する。そして好き勝手放題するつもりです。またアメリカにはへいこら頭をさげる。農業・環境などでは国際的大企業のいいなり。アメリカでは実はいろいろ環境保護運動も盛んで、例えば環境汚染で銀行まで処罰するスーパーファンド法などもあるのにです。
ですから、ほんとうのアメリカは自民党が言っているのとは違う、という文脈でアメリカを例に出すのはかまいません。ただ不破発言はちと言葉足らずの感はありますが。しかしあまりそういう不破さんの発言の細かいところにこだわってはいる場合でもないでしょう。むしろ、どうしたら、環境が守れ、日本国民も途上国の人も老若男女問わず、そこそこ尊厳が守れるような暮らしができる社会になるか、そこに力を集中すべきときでしょう。