ヒゲー戸田兄のいつもながら真摯で大局的な立場にたった発言を共感をもって読んでいます。国労問題と全労連ならびに共産党の動向について、HPの限界はありますが、可能な範囲で兄ならびに読者にお知らせします。利敵行為にならないように注意を払って書き込むつもりです。なにしろこのHPは共産党中央の監視はもちろん公安も、さらに「国鉄改革」で積極的な役割を果たした某セクトも熱心に見ています。その点で、地方や労組を特定できないように抽象的な表現になりますが、あしからず。
国労と4党合意の問題で共産党の(赤旗)の歯切れが悪いのは、ご指摘のとおり国労内の統一戦線派である革同(巷でいう共産党系)の動向の影響があるからです。当初は革同全体ではなかったようですが、最近では総意であるようです。ご存じのように、国労内で革同の影響がもっとも強いのは、JR西日本で、国労そのものは全労連
には加盟していませんが、西日本では近畿地本を中心に全労連系の府県労連に加入しているところは多いですし、そのことが間接的に全労連に影響を与えてきたことは、否定できません。しかし一方では、全労連内の当事者である争議団を抱える建交労鉄道本部(全動労)は、この間まったくのブレがなかったかといえばウソになりますが、基本的には4党合意の問題点、とりわけJRを免罪する和解案には同意できないことを各方面で明らかにしています。
こうした点をふまえて、この間の全労連の国鉄問題に対する態度を時系列にみてください。
全労連HPでほほ理解できます。
http://www2.aik.co.jp/~union/doc/taikai/index.html 参照。
特に問題となったのは、5月30日の全労連国鉄闘争本部事務局長の談話です。読めばおわかりのように、国労と同じ立場で4党合意は肯定しており、せいぜいJRが全動労に提示していないことを問題にしているにすぎません。以下紹介します。
【談話】 1、047名のJR不採用問題での与党・社民党の合意について 2000年5月30日
全国労働組合総連合国鉄闘争本部 事務局長 尾張部 伸勝
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- 本日、自民党など与党3党と社民党が国会内で会談し、1,047名のJR不採用問題打開の「枠組み」を確認した。国労も同席した。
- 合意した「枠組み」は、(1)与党3党と社民党は、人道的観点から「枠組み」で、本問題の速やかな解決のため努力することを確認する。(2)国労がJRに法的責任がないことを認める。全国大会(臨時)において決定する。(3)国労の全国大会の決定を受けて、「雇用」「訴訟取り下げ」「和解金」の3項目について、以下の手順で実施する。(1)与党からJR各社に、国労のエリア本部等との話し合いを開始し、人道的観点から国労組合員の雇用の場確保などを検討してほしい旨の要請を行う。(2)社民党から国労に対し、少なくともJR発足時における国鉄改革関連の訴訟について、全国大会後速やかに取り下げるよう求める。(3)与党と社民党の間で、和解金の位置付け、額、支払い手法等について検討を行う。(4)与党および社民党は、上記方針に基づき、本問題の解決に向け、お互いに協力していくものとする。となっている。
- 全労連国鉄闘争本部は、本日の与党と社民党の合意が、13年におよぶ1,047名問題の解決にむけての動きとして重視する。これが、早期解決に向けた全国570を超す自治体意見書、日本政府の責任で早期解決を求めたILO勧告など、内外の世論の高まりが背景にあってのことは明らかである。
しかし、打開の「枠組み」は国鉄闘争の本質に関わる重大な問題を含んでおり、当該労働組合である建交労鉄道本部および全動労争議団の意向はもとより全労連幹事会とも協議して対応していくものとする。- この間、全労連国鉄闘争本部は政府・運輸省に対して、ILO中間勧告にもとづいて早期に建交労鉄道本部との解決に向けた協議の場を設定するようもとめてきたが、今日に至るも実現していない。新たな状況が生まれたもとで、早期に実現をもとめる。
これにはさすがに全労連内部でも異論があり、軌道修正し従来の方針を確認したのが、以下の6月16日の全労連事務局長談話です。
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【談話】
国鉄闘争の現局面について 2000年6月16日
全国労働組合総連合 事務局長 坂内 三夫
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- 国鉄闘争は13年余にわたる不屈のたたかいで、国内での解決を求める世論や画期的ともいえるILO勧告にみられるような国際世論をもつくりだし、昨年の7会派の申し入れに対する野中官房長官のコメントのように、政府をして「解決ずみ」という対応を許さず、今日に至っている。
- 5月30日に与党3党と社民党による「不採用問題の打開にむけて」の合意が発表された。この枠組みは国労に対して示されたものであるが、「JRに法的責任がないことを認める」など、国鉄闘争の基本にかかわる重大な問題を含んでいる。
- 全労連はこの間、ILO勧告でも指摘されているように、政府の責任でJRと当該組織の交渉テーブルづくりと話し合い解決を要求してきた。しかし、今日に至るも政府は誠意ある態度を示していないし、「政治の場」からのアプローチもおこなわれてきていない。
- 我々の運動にも重要な影響を与えるであろう国労などの動きに注視しつつも、全労連としては、これまで確認してきた基本方針・基本要求を堅持し、すでに予定している大衆行動の成功や世論の結集にむけ、全力をあげ、政府・JRとの交渉テーブルの実現をめざしていっそう奮闘するものである。
以後も、全労連内では一部の単産・地方組織で突き上げる声が続き、全労連大会当日には運動強化を求める補強発言(中には事実上修正案のような)があいつぎ、中間答弁を以下のようにしました。
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全労連大会での全労連事務局長中間答弁
全労連の国鉄闘争方針には、いささかのゆらぎもなく、基本方針を堅持してたたかう。6月19日の事務局長談話は、事前に全労連4役と闘争本部3役、当該組織である建交労・鉄道本部との集中討議を経て作成したものである。この6月19日談話の線にそって、今後の国鉄闘争に全力をつくす。
全労連創立時の豊島公会堂における臨時大会で、私たちは、国鉄闘争を国家的不当労働行為であり、労働運動再生の環と位置付け、今日までたたかいをすすめてきた。その間、不十分な点があったかも知れないが、政府に対して、解決のテーブルをつくらざるをえないという動きを生み出させるところまで押し込んで、今日を迎えている。昨日、大会1日目の夜、豊島公会堂で国鉄闘争の集会を行なった。政府・JRの責任でILO勧告に基づく国鉄闘争の全面解決を、という感動的なものであった。
解決に向けたたたかいの中で、何が必要か。今後、秋には全国キャラバン行動を展開する。また、政府とJRとの交渉の窓口を開くために全力をつくす。11月に出されるILO勧告にむけて、国際世論造りにも全力をつくす。
まだまだ、我々の運動は十分ではない。政府・JRを引き出し、交渉にまともに応じざるをえない、と思わせるほどの圧力をかけていない。各組織においては、今後とも全労連に結集し、力をあわせて政府・JRに対して直ちに交渉に応じさせ、1日も 早く全面解決をさせるよう力を結集して戴くことを要請する。
坂内事務局長の再答弁
国鉄闘争の解決に当たっての全労連方針は、ここにいる全ての代議員の思いと全く同じであると確信している。国鉄闘争は、政府・JRの責任で、ILO勧告に沿った解決を、1日も早く実現することである。6月19日の談話は、その思いで書いたものだ。国鉄分割民営化を強行した政府に責任があること、数々の不当労働行為を繰り返したJRに解決責任があること、これは明確である。この点に関し、先にだされた4党合意は、重大な問題を含んでいると考える。
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ILO勧告に依存しすぎではという指摘も一部ではありますが、全労連としてはまがりなりにも、4党合意は認められないという合意で国鉄闘争を取り組むことが確認されました。
しかし、大会に参加していて、女性の議長が質問する代議員の声を制止して議事進行を強行しまたが、あれは裏で駆け引きが進行し、ひょっとして国鉄闘争の幕引きの黙認がされているのではという疑念をもったのも事実です。ただ大会代議員は太鼓持ちが多数ですから、ヤジの声にかき消されましたが、私と同じ思いになった代議員もそれなりにいました。それでも困難であっても闘う方向は確認されもういちど軌道修正されたように思えます。
それでは共産党はどうかというと、これはまったく問題にもなりません。お恥ずかしいことに、我が党はすでに「労働組合」での影響力を失い、労働運動での指導力は喪失しているのが現在の共産党指導部です。たとえば民医連内部の対立に対して、共産党はすでに労使への調整能力すらないのです。労使双方が選挙運動で動き、浄財集めをしてくれれば両者の自主性にお任せするのです。民間企業なみのひどい賃金体系を病院側が導入してもおとがめもありません。こうした傾向は様々な戦線でも現れています。
ということをふまえれば、共産党(赤旗)がこの間、国鉄闘争で煮え切らない態度しか出せない理由もおわかりいただけるのではと思います。戸田兄は、「やっぱり闘争団売り渡しの国労内の革同派(=共産党)、社民党が汚れ役やってくれているので大助かり? しかし国労以外の共産党系は見解が分かれているようなのがせめてもの救い。 赤旗ですっきりしたことが書けないのはこのせいだったんですね。」といっていますが、私からすれば党の態度は無責任きわまりません。あとから追及された時に、おきまりの「我が党は過去に一度も4党合意に同意したことはない」という形で逃げる可能性は大いにあります。これは我が党が本当に働くものに信頼を得るためにも今後追及すべき課題です。
わたしの友人の全動労争議団の一員が、7月1日の国労大会で壇上占拠した国労闘争団の仲間を暴徒といっていた国労本部や革同に対して激しい怒りで批判していました。「やつらは、闘争団や家族の気持ちがわかっていないのだ」と。しかし一方では、国鉄闘争とは関係のない大先輩の労働者党員が壇上占拠したのは「人力」などの「トロ」だとわめいていました。救いがたい発想の人は党内の年寄りの中にはまだいて、結構発言権があるのも事実です。ただ全体としては2つの傾向に分岐しており、多数は傍観者です。
時間は限られていますが、まだまにあいます。全労連の中にも、国鉄闘争をはじめ働くものの生活と権利を守ることを真剣に考えている仲間はたくさんいます。国家的不当労働行為をなくさずして、民主的な社会をつくることはできません。私たちが下から、共通の目標に向けて闘いを積み重ねていくことが、労働運動の再生につながることを確信しています。皆さん、一緒に頑張りましょう。
最後に戸田兄が以前使っていた言葉。「別個に進んでともに撃て」こそ今にふさわしい言葉です。