共産党は、この選挙の敗北を「謀略ビラ」の一点で総括しようとしているように見えます。
たしかに、迷っている人があれを読んだら動揺するでしょうし、一定の効果もあったのはたしかでしょう。しかし、やはり「安保棚上げ」などの右傾化路線で、共産党自ら争点をぼかしたことが、あの程度のビラに敗北した根本にあるのではないでしょうか。
皮肉の一つも言いたくなるのは、「謀略ビラ」などの行為は共産党もおこなっていたじゃねーか、ということです。
三里塚空港反対同盟から共産党が訣別されたときに、「公団にひそかに土地を売った反対同盟幹部」というデマビラをまいて反対運動を分裂させようとしたことを、人民の歴史は忘れはしないでしょう。
大学において、内ゲバ党派の活動家でないものに対して、「人殺しトロツキスト」などの写真つき「指名手配ビラ」をまき、立て看板を立てたことのある方は、この「さざ波」に出入りしている方のなかにもいるのではないでしょうか。
選挙においても、根拠のないデマビラや、連絡先を書かないビラを大量にまいて、対立候補を蹴落とそうとしたことは、いくらでもあると思います。
もちろん、革マル派や解放派などの内ゲバ党派も、大学において同様、あるいはもっと卑劣な中傷・デマを流すということはあったでしょう。しかし、それに対しておなじ手段で対抗し、あるいは自分たち以外の党派を内ゲバ主義でない党派もひとからげに「人殺し」「ニセ左翼」などのレッテルを貼って対抗して、どうしてほんとうの民主主義の社会がつくれるでしょうか。
私も、大学で新歓を手伝ったときに、新左翼党派に声をかけられた新入生を後から片っ端からつかまえて「アノ人たちは人殺しだから気をつけたほうがいいよ」と言え、ということが位置付けられていたことを覚えています。その党派が人を殺したことがないことを知っていたので、頭に来て帰りましたが…。
そうして、他党派をすべて孤立させることで、自分たちさえもが、孤立してしまったのです。民青が全国の大学で衰退したひとつの要因です。
はたして共産党は、デマを許さない社会をつくる努力をどれだけしてきたのでしょうか。この敗北を機に、共産党の方々に問いなおしてほしいと思います。