最近の投稿を読んでいると、どうも『さざ波通信』を何か共産党そのものと同レベルの大きな存在として考えているようなものを見受けます。インターネット上の議論というものがこれまでにない性質のものであるがゆえにそのような錯覚が生じるのでしょうか? 2つの投稿をとりあげて考えてみたいと思います。
INET愛好者氏の投稿について
以前の私の投稿で「INET愛好者」氏の議論のおかしさは明らかだと思いますが、レスがついていますので簡単にコメントしておきます。
運営陣は、単に器だけを作っておるわけではありません。Webの内容と、公開討論の組織に責任を持っております。
この点では、よくある、匿名によるWebの運営とは、その質が違うから、同列には論ぜられません。
すでにこの言い分からして意味をなしていません。「Webの内容と、公開討論の組織に責任を持」つのは、「さざ波」だけに限らず、「よくある、匿名によるWebの運営」もまったく同じです。
では、なぜ「INET愛好者」氏は「その質が違う」と言うのでしょうか?
だけど、「さざ波通信」の運営陣は、一つの組織に属していると公言して、その上匿名で、自分が所属していると言っている組織の決定に反対する内容の問題提起をして、公開討論を組織しております。
これがすべてです。運営者が日本共産党に属することを公言しないか(つまり、「INET愛好者」氏のように一般人を装うか)、あるいは現在の指導部の決定や言論に賛成であれば、匿名であろうがどのようなWeb運営であろうが、「INET愛好者」氏は文句はないというのでしょうか。
「さざ波」に異議があるなら正々堂々と批判すればいい。たかだか少数の党員有志の言論がそれほど怖いのでしょうか?
やや氏の投稿(論争部分に関して)
まず論争の元になった「やや」氏の投稿を引用しておきます。
学問上の論争や到達点はそれがたとえどんなに不愉快であっても、その解決は学問の世界に任せ、差しあたりは受容しなければならないのは現代社会では当然です。政治課題にとって有害なら、無関係に主張すればいいので、学問的に云々するのは軽蔑を招くだけです。
この部分をこの通りに読めば、吉野氏の批判はまったく妥当で、「やや」氏の反論は明らかに脱線してると思います(大学教授と研究者一般を混同してる部分とか)。確かに、「やや」氏が引用された「さざ波通信」の部分は、表現がきついと思われますが、あくまでそれは表現上の問題であって、批判自体をやるべきではないということにはなりません。
共産党がこれまで学問の世界で行なわれていることがらに、党として打撃的な批判を加えたことについては、私も「やや」氏と同じく誤りであると考えています。しかしながら、それは、党が党として、党の決定として批判し、それが実践的意味をもった(党員を縛る決定としての意味をもった)がゆえに誤りであったと考えます。それゆえに、「やや」氏の以下の言い分には同意できません。
同じことは通信の中にもありますから、やはりこの辺が前衛党体質なんでしょうか。
社会主義・共産主義や政治に関連する学問的言説(ちなみに『さざ波』が取り上げてるのは、その道では有名な教授が公にしている著書です)に対して、個々の党員が党員としてそれに賛成の意見を表明したり、反対の意見を表明したりして議論をたたかわせることは、党員の質的向上、および民主的討論の訓練と言う意味でも、むしろ激励されるべきで、それを「前衛党体質」などと言って一蹴するならば、自由な討論・民主的な討論などとうてい成り立ちえません。
ついでに、「批判相手に今度こういう批判をしますが、という断り」を入れるという件ですが、それこそ、学問的な世界で批判を行なう場合にこそ必要なものです。書評や投書などといった「一般人」が行なうものにそのようなものが必要だとは聞いたことがありません。先の「前衛党体質」という発言も含めて考えると、おそらく「やや」氏は、「さざ波」を党と同レベルの実践的にも影響力が大きく、かつ権威のあるものと勘違いされてるのではないでしょうか?
「さざ波」は、党員有志が個人の資格で行なっている言論であり(もちろん、投稿も同じですね)、それが党をしばる決定としての意味はもち得ないのですから、多少の表現のいきすぎ等はあって当然だし、それがおかしいと思えば、いきすぎだよ、とさとすだけで十分でしょう。実際にここの党員投稿欄にはそのような投稿も見られますよね。
少数派は常に抑圧を受けているがゆえに、表現はきつくなりがちです。言論自体ではなくて、そういった問題だけをとりあげて少数派を抑え込むことは、どこの世界でも同じなので少数派にも戦術的配慮は必要ですが、民主的な組織・運営をめざす党なら、少数者への配慮・寛容はもっとあってしかるべきだと思います。ましてや「やや」氏は外部の人なんですから、党そのものと党員個人を同列視するような議論には再考をお願いしたいところです。