投稿する トップページ ヘルプ

一般投稿欄

不破哲三氏自衛隊論のダッチロール

2000/9/2 大塩兵七郎、50代、会社員

 さる8月27日テレビ朝日番組「サンデープロジェクト」自由党小沢一郎氏との討論番組にて、不破哲三氏は、またも、あぶない憲法認識を披露した。
 昨年来からの主張点は変わってはいない。いわく「日本の憲法学者が九条を議論してきて、いざというときに自衛権を行使する権利は憲法上保障されているが、常備軍を普段からもつのは憲法違反だというのは、かなり一致した見解があるんですよ」。
 前半はこれまで同様、後半はやや歯止めをかけたつもりの文言らしい。「かなり一致した見解」と表現して、これまでの「多くの憲法学者の一致した意見」という表現からは少々トーンを落としているようである。憲法学者をふくめて大方の顰蹙をかっていることに、引け目を感じ始めたのかもしれない。
 6月の「有事自衛隊容認論」から、ややゆれも感じられる発言もあった。すなわち、

小沢 ~。どうやって日本を守るのか。
田原 どうするんですか。
不破 この憲法のもとではわれわれは自衛隊は認めない。
田原 もし敵が攻めてきたらどうします。
不破 そのときは自衛の行動をとります。
田原 自衛隊がなかったらだれがとりますか。
不破 必要なあらゆる手段を使います。
田原 どうやって。
不破 といっても、そのときに、われわれは一遍に自衛隊を解散するつもりはありませんから。そういう状態のないことを見極めながらすすみますから。いまの世界は戦国時代みたいな”切り取り勝手”な時代ではないんですよ。
(中略)
不破 ~。私は、憲法をそっちのけにして、一般論だけで、攻めてきたらどうするかという議論だけで物事はかたづかない、そこが大事だと思うんですね。

 一般論だけではかたづかないとそれなりの発言もおこなっている。これをなぜ6月時点―選挙戦の重大時期に―言わないで、有事自衛隊使用をしゃあしゃあと言ってのけたのか。ここには、我々の真っ当な批判が彼をして動揺させるにいたった痕跡をみることができそうである。
 しかし、

田原 自衛力はもつんですね。
不破 自衛の権利は行使する。
田原 自衛のための軍隊はもつ。
不破 いざというときにしかもたない。
田原 普段からもっていないといざというときにきかない。
不破 いまの世界は、日本のような国が存在できない世界だとは思っていません。

 と、「自衛権」に固執して、軍事合理性からの当然の批判に歯切れの悪い発言である。
 さらに、赤旗報道は締めくくりに、「「憲法のもとで、いかに自衛と憲法と整合的にやるかということに知恵をくだくわけです」と強調しました。」ときわめて意味の取りにくい発言を紹介して、弁解に努めている。「自衛と憲法と整合的にやる」とはどのような意味か。「自衛権」のことか、「自衛隊」のことかもはっきりしない。
 いわゆる自衛権も否定した徹底した非武装平和主義が日本国憲法の真骨頂なのである。少なくも、「自衛隊」と憲法が整合できないことくらい、小学生でも百も承知のこと。自衛隊が現に存在することと、自衛隊をどう解消していくのかの具体政策の提示やそのための作業は極めて困難であり慎重を要することは当然のことであろう。肝心なのは、その現実政策の提起・推進のために、自衛隊をわざわざ合憲にする必要など全くないということである。違憲の自衛隊はあくまで違憲なのである。
 上記の発言に照らすとき、「理論的にいえば、侵略に対抗する手段として、自衛隊を活用するのは、当然」とした6月の発言の責任をどう取るつもりなのであろうか。
 第22回大会に向けて、正当・的確な批判を不破哲三氏及びその周辺のイエスマン諸氏にしっかり加えようではないか。それが、真っ当な日本共産党(「前衛」である必要は全く無いと私は思う)への回帰の道だと思うが、いかがであろうか。