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一般投稿欄

日本共産党は、「財政再建」路線に引きずり込まれるな

2000/9/24 地域経済分科会、20代、サラリーマン(連合組合員)

 こんばんは。「保守」の地域経済分科会です。

0.始めにーー規約改定より重大な問題「財政へのスタンス」
 この度、日本共産党の規約の改訂を決める大会決議案が決定しました。
 「社会主義革命」「前衛党」が削られ、自衛隊を違憲としながらも廃止までは活用は当然としています。
 わたしは、自衛隊活用論は前稿「渡辺先生、不破・志位両先生を批判する」で批判いたしました。
 また、革命とか、前衛党、という用語が削られたのにつきましては、日本人が革命を経験しておらず、欧米のように「革命」を肯定的に捉える風土がないことなどから、難しいでしょう。したがって目指すべきものの実質が変わらない限りは、取りたてて反対はいたしません。
 分かりやすくする、というだけならむしろ賛成です。あの民法も分かりやすい文体になるご時世ですから。
 その実質とは、「人間の尊厳が守られる社会」です。あえて付け加えるなら他の地球の住人たちの生存権も守る事も含まれるでしょう。マルクスにはなかった概念ですので付け加えるべきです。
 人間の尊厳が守られる社会とは、一に戦争と核兵器がない世界の実現、二に人間を振り回さない経済の実現、というところでしょう。
 それらが変わらなければ文句は申しません。自衛隊問題は一をどう捉えるかの試金石にはなると愚考致しますが。
 しかし、今重要なのは、日本共産党が民主党などに引きずられて(過剰に同調して)、「財政再建論」を唱えている事です。財政問題は、実は民主党に過剰同調する一環です。そして、そこに端を発し、規約改定が行われたとも言えます。

1、「財政再建」は無意味
 財政ですが私ははっきりいって「財政再建」など考えないほうがよいと愚考致します。
 赤字の拡大と経済成長がうまくバランスしていればまあよい。 言いかえれば「発散」せねばよいと愚考致します。
 「完済」することなど 考えないでよろしい。孫子に借金を残すと言うが、社会資本の整備は孫子にも利益をもたらすなら負担をしてもらうのは合理的です。
 下手に債務を削ろうとしてもそれで、逆にデフレを招いては、 逆効果になってしまいます。あと、いわゆる乗数効果がどうのこうのというのは、 何に使っても、消費性向が変わらない限りは同じです。
 あとは、将来への不安の問題。これを取り除かないと消費性向は 上がらない。
  長期的には、もちろん、資本の蓄積、技術開発などが経済成長には 重要となってきますが。。とくに最近だと前者よりは後者ですが。そして最近では、特色を持った地域とか、面白い技術をもった人材などの比重が大きいでしょう。
 そう言う意味では、もちろん、公共投資の「生産性」は長期には 考えねばなりませんが、だからといって財政赤字が悪いと言う事には ならない。
 さらにいえばです。財政赤字は、「経済失政」の結果に過ぎません。結果に過ぎないものをいくらいじりまわしてもだめです。

2.財政再建路線への「転換」が日本共産党の敗因の一つだ!
 1997年、橋本内閣は無謀にも財政再建を図り消費税率アップ、 医療費負担増などのデフレ政策を強行しました。
 結果は皆様ご承知の通り、無謀なビッグバンや硬直的なBIS規制運用などの「金融失政」も重なり、大不況となりました。
 そのころ、日本共産党は96年の総選挙前から一貫して消費税率値上げに反対し、97年不況時には「せめて3%に戻せ」と、主張していました。
 これが受け入れられ、保守派の経済団体の人も日本共産党を支持する事を表明、98年の参議院選挙では自民党は大敗を喫しました。民主党の伸びばかりが注目され勝ちですが、実は、兵庫、京都、神奈川、愛知などで、自民党候補が日本共産党候補に競り負けたのが大きいのです。京都府では日本共産党が得票率第1党となり、その他都市部でも民主党、自民に殆ど肩を並べる勢いを見せました。
 その後、小渕内閣が成立し、「ばらまき路線」に転じました。森内閣もそれを継承しました。
 一方、日本共産党は、2000年に入ってから、民主党に引きずられる形で、「財政再建」を唱え、「消費税引き下げ」さえ、引っ込めてしまいました。
 さすがに民主党が「課税最低限」引き下げを持ち出したら、「生計費非課税の原則を曲げることになる。また、与党の増税を誘発するような事はすべきでない」とたしなめはしましたが。
 しかし、生計費非課税を唱えるなら食料品非課税などをもっと前面に押し出すべきでした。
 筋を通せなかった日本共産党は、議席の後退を余儀なくされたのです。財政問題で見られた「後退」は、結局防衛問題や、皇太后陛下の葬儀への弔辞賛成などにも広まったと言えます。
 景気回復を期待する層は、与党に投票し、財政再建を望む層は民主党に行ってしまった。平和を望む層は、社民へ行ってしまいました。

3.どうすればよいか?
 まずは「財政再建」を放棄することです。
 堂々と、その誤りを指摘するべきです。
 財政が赤字なのは、とくに地方レベルでは、明らかに経済政策の誤りの結果です。
 どこも金太郎飴のように例えば空港を作るなどして「共倒れ」の結果を招きつつあります。
 これからは、 大型開発優先の財政を「規模を縮小せずに」、地味な町作りや福祉、中小起業支援などに回せば、相当な長期的な経済力押上げ効果があるでしょう。
 税収が、大型開発のときより大きく上昇します。そうすればあっというまに赤字など還せます。嘘だと思ったらアメリカの景気の良い自治体をみれば明かです。
 そこまでいかなくても、借金が還せなくても、「共存」できればいいのです。
 そんな複雑な事は国民には理解できない、財政再建vs積極財政でないとわかりにくい、という人も居るでしょうが、ずいぶんそれは国民を馬鹿にした話です。
 借金も増えている。でも同じ位のペースで家計も大きくなっているよ。ということを説明すれば良いのです。むろん、財政と家計はそもそも違いますが。

4.公共部門への風当たりをどう考えるか
 ただ「そうはいっても公共部門への風当たりはいま強い」とおっしゃる方もいるでしょう。
 たしかに情勢はそう見えます。
 田舎のために都会の税金を使いやがってけしからんとか、老人のためにわしら若者の税金を使いやがってとか、そういうエゴイズム、ポピュリズムが、民主党や自由党躍進の原動力であり、また石原知事を誕生させた原動力であるとは思います。
 しかし、それは結局、「お上」に、年金や社会保障を弄繰り回されている事への不満、また、都市がゴミ処理や水確保、エネルギーなどで農村、山村、漁村に依存している事への理解不足などが原因です。
 石原知事当選の場合は、銀行はけしからん、という世論にも乗っかりました。
 都市住民は不満を持ってますが、それが、現指導者とか、アメリカの大会社中心の経済秩序というよりは、排外主義、反農村主義、反官僚主義、反福祉主義のようなかたちで変質し、日本の政治を覆い尽くそうとしています。
 自民党や公明党は、農村部や、官僚、銀行、ゼネコンなどを陣地として必死に防戦に努めている。しかし、21世紀へのビジョンはあるわけではない。
 このあたりを解きほぐしてやるような天下構想を日本共産党こそが練り、わかりやすくアピールして行くべきでしょう。
 それが出来なければ、21世紀の日本には、排外主義的、また自己中心的、国歌主義者が充満し手がつけられなくなるでしょう。