こんなことを私はしてみました。中央委員会に電話して次のようなことを尋ねたのです。
「必要に迫られた場合には、存在している自衛隊を、国民の安全のために活用する」ということと、「憲法九条の完全実施に向けて、国民的な合意を得ながら、段階的に憲法違反の現実を改革していく」こととの関係がよく分からないので、いくつか教えてください。
第1に、「急迫不正な主権侵害」があった場合の対処と、安保条約の第5条の日本の領域に対する武力攻撃があった場合の日米共同防衛行動との関係です。前者は後者と無関係なのですか。安保条約がある状態ではこの二つは直結するのではないですか。この安保第5条の事態は周辺事態法(戦争法)が作られる前から規定されていたことを踏まえて教えてください。
第2に、自衛隊は米軍の軍事戦略や方針から自由に行動できる軍隊だとか、「米軍の応援をする役目でふくれあがった部分」(不破)をカットすれば「国民の安全」のために「活用」できるような反人民的でない「自衛のための実力組織」だと判断しているのですか?
第3に、「警察力だけで対応できないケース」といういいまわしは、自衛隊法78条の防衛出動の規定を思い起こします。防衛出動を容認するのですか?
第4に、いわゆる「周辺事態」への参戦があれば、ほぼ自動的に国内での有事体制が発動されます。そこでは「日本自衛隊の米軍の行う戦闘への参加にともなう戦火が日本へ及ぶ」ことに対して自衛隊が対応する以前から、運輸・医療関係者をはじめとする市民、地方自治体の「協力」体制が発動します。これに抵抗すれば<軍事的な飛び火>がなくても自衛隊の治安出動と言うことになるでしょう。一方で自衛隊の「活用」をみとめておいて「発動を許さない」なんていうことは空文句ではないですか。実際にどういう有効性があるのですか。
第5に、「自衛隊の活用」はどんな政府、どんな議会状況(たとえば共産党やまともな野党の議席が今よりも少ないような)のもとでも認めるのですか。共産党が閣外協力するようなヨリマシ政府のもとなら良いのですか。以前は、民主連合政府のもとでも軍事的な「主権侵害」にたいしては、憲法に基づいて自衛隊によらない「自衛の措置」によって対処すると言っていましたが、この方針はいつ変えられたのですか。
こんな質問を、わたしは何と約30分に及び我慢しながらしました。
担当者はまず「よく読んでもらえれば、そういう疑問はでてこないと思う」とか、「ここで言っているのは、憲法9条の完全実施に向けての努力の中というおおきな流れのなかでのことですから、そういう小さな問題にばかり注目するのはおかしい」とか、まるで下手な試験問題を出してしまった権威的な教師がその試験問題のまずさを指摘された時のような対応をしました。そして挙げ句の果てには「では、あなたはどうすればよいと思うのですか」。全体として、まともに答えられないだけでなく、私の質問の意味を理解するのに精一杯というところでした。
それでも「担当者と協議して改めて答えたい」と言うので、私は「こうした疑問は私だけでなく、私の周りの多くの支持者のあいだでおこっているものなのだから、しんぶんなどの紙面で責任をもって答えてほしい」と伝えました。
こんな電話がどれだけ効果があるのかは分かりません。しかし、ちょうど消費者から苦情をだすような気持ちで、時間とすこしの根性があれば誰にでも(党員にも禁じられていないでしょう?)できることです。各地の委員会がこうした質問電話がたくさん来たために対応できなるようになれば、少しは事態は好転するかもしれません。