共産主義社会は「万人が万人のために」働き、諸活動を営む社会であると、私たちは考えています。
そのためには、人間が変わる必要があります。問題はどうすれば変わるかですが、共産主義社会になったから人間が変わるものではなく、生産手段の共有、労働者階級の権力行使などわ通じてむしろ人間が変わった結果、共産主義社会に移行することが出来るのだと考えます。
資本主義社会から社会主義社会を経る内に、徐々に、ある時には劇的に人間の精神が高まっていく蓋然性はあなたにも想像することが出来るのではないかと思います。たとえば資本主義社会を経験する中で、所有の観念、愛の観念、人権の意識、自由の認識など様々な点で、それ以前の封建制社会の人間とは意識が変わったように、です。これは勿論、奴隷制の社会と封建制の社会では人の意識が違っているのと同じことです。
社会主義社会でも同様に変化が生まれ、より崇高なレベルへと人間精神は高まっていくことでしょう。そうなれば、「サボりたい」という「強制労働」の歴史の中で培われた意識・感情も変わって行くでしょう。資本主義の現在では萌芽でしかない、他者のために活動することが自分の喜びとなる、そのような変化が生まれるのではないでしょうか。そうなったときに、ようやく共産主義社会に移行できる準備が整ったということになるでしょう。
あなたがおっしゃるようなような、現在という歴史の制約のままの意識では当然共産主義社会は無理です。私たちは物事を常に生成・発展の変化の中にあるものととらえる弁証法的唯物論の思考を採用しています。この思考が、社会主義・共産主義社会の到来は歴史的必然とする源なのです。ご理解願います。