こんばんは。
「保守」の地域経済分科会です。
先週、少年法「改定」、原発促進法など重要な法案が駆け込み成立ないし 衆院通過をしています。
そのなかでも、農地法改正案が成立してしまいました。農業への株式会社の参入などを認めたわけです。
私は株式会社の参入そのものには強くは反対しません。しかし、やはり農業活性化には、転用規制の厳格化こそ重要だと愚考致します。
なぜ、転用規制が大事か。近代経済学的に言えば、もし転用規制が厳格でないと、土地の値上がり期待が生じます。その結果、まじめに農業をやる意欲がなくなってしまう。
実際、90年代のある時期、農家の収入の大半が土地の売却代金だった時代もあります。多くは、レジャーランドや道路などの公共事業に転用された。工業団地なんかも公共事業として行われてますし、住宅開発も結構山奥(といったら失礼ですが)、まで行われています。
イギリスでは、新保守主義の本場でありながら、一方で農地規制は厳格に行われています。保守党であろうが労働党であろうが、農地はきちんと守る。食糧は自給する。こういう国民的合意が成立しているのです。
いわゆる「グリーンツーリズム」もしっかりと根付いている。農村を財産と考える価値観が共有されています。
わたしは「保守」だと自分では宣言していますが、その拠って立つところの「保守主義」とは、こういうことを言います。(「それってもろ、革新系やんけ」、と言われたらそれまでですが)
日本全体の農地面積はどんどん減っています。このままでは、万が一のときに最低限必要なカロリーを賄うのが難しくなってしまいます。これだけの農地は国家戦略として守る。そのために規制も厳格に運用する。
農地転用規制厳格化には別の効果もあります。都市周辺での虫食い的開発を抑制する効果です。その結果、都市の中心部の空洞化も避けられます。中小事業者の人も救われます。コンパクトな都市づくりになれば、公共交通機関も採算が取れます。結果、エネルギーも節約になります。お年寄や障害者にとっても行動しやすく住み良い街作りとなります。
いまこそ、食糧安保に最低限必要な農地の確保と転用規制の厳格化を訴えて行きましょう。
最近、公共事業批判や行政批判に便乗して、農村への風当たりも強まっています。しかし、単に自民党的バラマキを批判するだけでは逆に都市住民のエゴイズムにもなりかねない。そしてそれは自分の首を締めることにもなるのですから。
農地転用規制の強化こそ、都市も農村も救い、また、今ずたずたになっている都市労働者と農民の階級的連帯を修復する糸にもなり得ると愚考致します。