2000年12月2日付け、ただの地区役員さんの「冷静に考えましょうよ」についての素朴な疑問です。
ただの地区役員さんの書かれた次の部分に関してです。
ただ直線的に自衛隊を一方的に解散させたらどうなるでしょう。失業者が町にあふれ、かえって社会不安は増大しませんか。反動勢力に踊らされ、右翼や暴力団と結託した、武装解除に応じない自衛隊員がクーデターを企てたら、日本人同士が、無駄な血を流すことにもなりかねません。
もしこれが、自衛隊活用論の理由のひとつであるなら、なぜこれまで日本共産党は、こうした理由を無視して「自衛隊は解散」と言ってきたのでしょう? 政権が射程距離にないときは「自衛隊は解散」と威勢よくぶち上げるのが革新勢力らしくてカッコよい、しかし政権が目の前にぶら下がったらそんな威勢のいいことも言ってられない、というなんでしょうか?
敵の出方論。政権が射程距離に入るはるか以前から共産党における戦略上の問題として議論され、敵の出方論は共産党にとって戦略のイロハということになっていました。地区役員さんがここで言われているのも、まさに敵の出方論と関係するものだと思います。自衛隊を解散させたら失業者が町にあふれてクーデターも起こりかねない、こんな「さもありなん」という話、日本共産党は、敵の出方論を堂々と語っていたときは眼中にすらなかった、とでも言うのでしょうか?
私は、日本共産党は敵の出方論を戦略として持っていたのだから、地区役員さんがここで書かれたような状況を想定したなら、自衛隊は解散せよとは言えなかったはずだと思います。けれどこれまでは言ってきたのです。日本共産党は自衛隊を解散せよと言ってきたのです。すると日本共産党は、敵の出方論を堅持しつつ自衛隊の解散を言ってきた、ただの地区役員さんの言われる「さもありなん想定」を無視して自分に不利な政策をあえて掲げてきた、ということになります。まことにおかしな、理論的整合性も何もない、むちゃくちゃな話ではないでしょうか?
要するに、地区役員さんがここで書かれたような話は、今回日本共産党が自衛隊活用論を正式に決定した理由では全然ないということです。
日本共産党がもし本当に自衛隊活用論を納得してほしいと考えるなら、上記敵の出方論と絡めた議論を展開することはもとより、討論報に掲載されたたくさんの反対論の、そのひとつひとつに対し、詳細に反論していくことが必要と考えます。
今度の大会の討論も、相変わらず活動報告に終始したものがほとんどだったように思います。あれがいったい討論なのかと、日本共産党以外の場所ではおそらく怪訝な目を向けられることでしょう。
自衛隊活用論に関する議論は全然深まっていないと思います。たとえ大会で正式に決定されたとはいえ、ただの地区役員さんによる新しい議論も含め、自衛隊活用論に関する議論は今後とも継続していくことが必要だと思います。