こんばんは。
「保守」の地域経済分科会です。
1.財政再建より景気対策望む国民世論
NHKの先日の世論調査では、国民が「森内閣に望むもの」として景気対策が43%、福祉対策14%、財政再建12%、行政改革、教育改革10%の順となっていました。
これは何を意味するか。
国民は、「森内閣が景気対策優先を堅持し、民主党など野党が財政再建を優先する」限り、野党の政権は望まない。森政権は支持できないが、野党の政権はもっと支持できないということです。
景気対策でもおそらくは、雇用の安定が最優先でしょう。飯あるいは、将来への不安を取り除くような策。
逆に野党は、高齢者や農村へのばらまきに反発する若者や都市住民に一定の支持をもらっても、それ以上は伸び悩む。
2.日本共産党後退の経済政策的側面
日本共産党が、先の総選挙で後退した原因も実は謀略ビラのせいばかりではない。自衛隊云々のせいばかりでもない。「景気回復」から「財政再建優先」への舵の切り替えこそが敗因です。
橋本内閣の規制緩和策で立場を脅かされ、一時日本共産党などに心を動かされた商工業の人々の一部も、自民党が景気優先を堅持し、一方日本共産党が財政再建に向かうやいなや、与党の支持に変わらざるを得なくなった。
一方、マネタリストや古典派の経済理論を支持する人たちは、当然、民主党支持で、一部は自由党支持で固まった。
これらの人たちの中には新しいビジネスの人々はもちろん、比較的低所得だが、公共事業や福祉政策で恩恵を受けている人々への強烈な妬みないし反発をもっている人々も多くいます。
大胆に言えば労働者階級内部での「内ゲバ」の性格もあります。
先の総選挙での日本共産党は、かくて敗北しました。
3.財政赤字は悪か?
実は財政赤字が悪だというのは、ケインズ派でも、古典派でも、どちらの立場から分析しても正しいとは言えません。
ケインズ派は、財政赤字は景気刺激に有効だと言っています。古典派は、財政赤字を出しても国民は増税を予測し、その分貯蓄が増えて消費が減るので結局効果はないとしています。
古典派の立場に立ったとしても、財政赤字は「効果がない」というだけで、孫子に負担を残す、というわけではない。
それと、財政赤字が増えても日本は世界2番目の経済大国です。市場でもその日本の国債を一定程度の割合はリスク回避のため持っておこうという動きがあるのです。
だから、金利の暴騰、国債価格の下落という事態で日本政府が行き詰まる事も現実的には考えにくい。じりじりと円が値を下げる事はあるでしょうがその場合は輸出が伸びて景気が回復し、税収も回復すると愚考いたします。
ただ、「孫子の代に借金を残すな」とか、そういうことを言うと、一定の支持をしてくれる人はいるので例えば自由党や民主党がそういった政策を取るのには合理性があります。
もし、民主党が「景気対策も重要だ」などと言い出せば、むしろ与党との違いが分かりにくくなり、旧社会党のような運命をたどる事は目に見えています。それを鳩山代表らも理解していると言う事です。しかし、なかなか天下はとれない。
4.日本共産党はどうすべきか。
この答えは案外簡単です。
雇用を増やす政策、安定させる政策を正面から訴える事です。もっと、悪徳企業の実態とか伝えましょう。サービス残業反対とか、もっと正面に出しましょう。財政再建は隅のほうにちょろっとくらいで良いのです。
福祉中心の雇用増進策、環境重視の雇用増進策を打ち出し、自民党とも民主党とも違ったところを見せるのです。もちろん、そのとき社民党や新社会党と政策をすり合わせても良いですが。
民主党との連合に拘ること、新自由主義者に阿る事は日本共産党になんらプラスをもたらしません。