党員は、組織内部における自らの成長過程において様々な問題を抱えます。ここでは、党内民主主義の問題を理論的成長との関連で考えてみたいと思います。類型の仕方は、単なる目安です。
第1段階 入党前
この段階では、共産党に対する好きな疑問をぶつけることができます。党員も懇切丁寧に疑問に答えてくれます。自由な議論が保障されています。
第2段階 入党後~約1年
この段階でも、それほど問題はないと思います。初めて学ぶことが多く、新しい世界が広がるわけです。いろいろと刺激も多いと思います。
第3段階 党歴2~5年
徐々に、一般的な党員の理論的水準に近づいてきます。それとともに、このあたりから、いろいろと学びながらも、いろいろな疑問も生れてきます。第1段階のように、懇切丁寧な説明や自由な議論というのは、減退するでしょう。もし、疑問などをもてば、「君は確信が足らない」といわれることもままあります。
こうした場合、二つのタイプに分かれるでしょう。第1のタイプは、疑問をうまく表現できずに、あるいは疑問をもっても、すぐに党員に反論され、そのうち忘れてしまったりするタイプです。また、議論することを諦め、支部会議でもおかしい、おかしいと思いながらも、じっと黙っているタイプです。すぐに忘れたりする人や疑問が解決された場合、党に残るでしょう。しかし、この段階で学習をやめるならば、この段階で党員が成長することは、当然できなくなります。また、自分の頭のなかで、どうどうめぐりの議論を行なっている場合、離党することもあります。第2のタイプは、さらに学習を進める人です。第4段階にステップアップします。
第4段階 6年以上
この段階にくると、一般的な党員の水準をはるかに越えてきます。資本論なども読破し、彼が疑問を出せば、普通の党員では誰も反論できなくなります。この頃から、第3段階の党員からみれば、第4段階の党員に対して、次のようなことをいうでしょう。「屁理屈ばかり言っている」「もっと、実践的な視点でみてほしい」「日和見主義」「中央に聞いてくれ」等々。第3段階から4段階へとステップアップしたために、一般党員の態度は急変し、党内では少数派となることがあるわけです。
こうした場合、身の危険を感じ、ダンマリを決め込む人も多くいたでしょう。インターネットが登場するまでは。
この場合、少数派というものについて考えたいと思います。
第1が、方針に対する少数派意見です。こうした意見を持つことができるのは、相当な学習が必要でしょう。第4段階の人たちが、特に問題とするわけです。
第2は、それぞれの職場等に責任を持つ支部における少数派です。ここでは理論的問題よりも、現実問題への対処の仕方が問題となります。これは、第3段階、すなわち党内中間層の多くが持つ悩みです。
日本共産党における離党問題は、少数派をどのように取り扱うのかということとの関係において重要な問題ですが、少数派の性格はその理論的成長に伴って変わってくるわけです。やや機械的にみてきましたが、現実の党員や支部では、様々な段階的類型が混在化した形で現れるでしょう。