3月10日付けのさざ波「トピックス」に「消費税政策をめぐり再び路線転換」という紹介があった。このことについて、認識を共有するために、若干の事実関係を述べておきたい。
実は、3月2日の前に、全労連から3・2集会で小林議長が消費税を3%に戻せという演説をブチアゲルので了解して欲しいという話が各単産にあったという。事実、そういう演説を行い、各界連は方針転換(共産党の方針転換とは異なるので、この点に注意をして欲しい)にあたり、事務局長(民商)の報告で、民商と全労連から、現在の「増税反対という路線に意見が出ているので、変更したい」という提起があったのである(3月9日の運営委員会)。
各界連においては、97年の消費税増税を機にして、3%に戻せという運動をやっている最中に、共産党が「情勢」と財政危機の深化を理由として、「増税反対」が正しいスローガンであるという提起(総選挙政策)があり、これに対して、多くの反対意見や疑問が出ていた。その結果、各界連として方針を転換するのに2~3回の会議が必要であった。「しぶしぶ」方針を転換した団体もあったのである。つまり、消費税問題について、増税反対に要求を収斂することについて、はじめから各界連では大きな意見の相違があったわけである。また、「食料品非課税」についても、実務的に不可能であるという意見があり(事実、現在のアカウント方式では無理がある)、これについても内容を解明できないままに、署名運動まで提起されたという矛盾があったのである。これは、典型的な共産党による大衆団体引き回しの悪弊であった。
私は以前、前衛党と大衆団体との関係について投稿したが、そこでは、大衆団体の党のフラクションを通じて、大衆団体を引き回すことはしない、という党の方針「転換」について述べておいた。「前衛党」規定の廃止に伴う具体的な変化として、私は重視したわけである。これは荒堀報告として「しんぶん赤旗」に掲載をされた。実際に参加した人間からの話と突合しても、かなり詳細な記事であったらしい<謎。
今回の各界連の方針転換は、大衆団体としての民主的な運営によって、自主的に方針を決定してもらって「結構」であるということの証にもなっている側面がある。現に、共産党を代表して参加したF氏は、この間の事情について、釈明をしたのである。ここまでは党の「大衆団体の引き回し」を反省する内容なので、大方の賛同は得られると思う。
そういう意味で、「トピックス」は、共産党自体が方針転換をしたような記事になっており、正確さを欠くのであるが、実は、各界連の方針転換は、Aさんの「鶴の一声」で決まったという確かな情報がある。つまり、大衆団体で活動する党のグループは、その団体に責任をもって「自由にやって欲しい」という考えを「鶴の一声」で、大衆団体に強制したというのが真相である(再度の引き回しという性格が強い。この点で「トピックス」の批判は当を得ているのである)。
しかし、共産党自身は22回大会で、「増税反対の意義」をのべていたので、転換は難しいと思う。ここで、党の影響が強い大衆団体と党の方針が事実上異なるという事態が生ずることが決定的になったわけである。国労問題で、党の指導性についての批判があったが、今後、すべてこういう方向で党は対応するということらしい。(なお、1047人の解雇問題については、全労連が3月21日に座り込みを行うし、29日には、早期解決を求める集会を行う。国労問題だけでなく、全動労争議団への全労連の対応などについても、応分の関心を払って欲しい。これと相まって、共産党の国労大会への対応批判なども正確さを増すと思うのである)
というわけで、今回の事態は、「党は大衆団体を引き回さない」という引き回しであったのである<笑い。