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ご無沙汰していました-中村大輔です

2001/4/25 中村大輔

 4月18日の「あおぞら」さんの私への質問には、同日のYTTさんの投稿文がその答えとなっていると思いますので、私からのお答えは必要がないと思いますので省かせていただきます。改めてYTTさんに感謝します。
 ただし、一点だけ補足すれば、4月18日の「あおぞら」さんは、「『自分たちは正義である、したがって自分たちと少しでも意見が違う者は不正義である』という姿勢」を私に押し付けていますが、 私は一度も「自分が正義である」とは言っておりません。そもそも元来一つの理念である「正義」を人間と等値するあなたの論理と考え方がおかしいのです。これを根拠に私の言葉の揚げ足を取り、私の考え方を「独善」と決め付けるあなたの方こそ「独善」的な考え方をしていませんか。
 それから、次に、4月20日の大歩危さんへ。あなたは私が指摘した生物兵器研究に関する自衛隊と感染研についてあなたは「感染研と自衛隊に関する根拠のない憶測」と断定していますが、私は以下に掲げる「予研裁判の会」のホームページの記述を根拠に発言したのです。

「感染研が自衛隊の生物戦争部隊に協力!
 感染研の前身、予研は、戦後、米軍命令によって設立されましたが、その際、731細菌戦争部隊に協力した《悪魔の飽食の医学者》多数が幹部として集められました。
 それ以来、予研は、米軍の生物戦争部隊の下請け研究を行い、米軍生物戦争研究機関と「協力関係」「人的交流」をつづけてきました。この事実は、80年代まで、『国立予防衛生研究所年報』で確認されます。予研=感染研は、国民の血税を使って、米軍の生物戦争計画に奉仕してきたのです。
 他方、それと表裏の関係をなすのですが、予研=感染研は、国民の生命・健康への権利を蹂躙してきました。たとえば、1950年代中葉、天然痘ウイルスが絶滅されたので有害無用になったのに、予研は、乳幼児への種痘の強制接種を70年代末まで続けさせました。
 また、有害無益なインフルエンザワクチンを乳幼児・学童に強制接種する制度をつくり、副作用による脳炎による重度障害、死亡等の甚大な被害をもたらしました。そこで、被害者が原告になって被告「国」を相手に賠償要求裁判を起こし、原告が勝訴する93年までその制度を続けさせました。そこで、94年、厚生省はインフルエンザワクチンが「無効である」事実を認めて同制度を廃止したのです。しかし、その後も、予研=感染研は科学的根拠もないのに同ワクチンが高齢者に有効だと強弁し同ワクチンを復活させています。
 さらに、予研は、その危険性を知っていたのに、非加熱血液製剤を「国家検定」して、販売のお墨付きを与え、約2000人といわれる血友病患者にエイズウイルスを感染させ、すでに公的に確認されただけでも、500人を死亡させています。
 これらの犯罪的所業は、いずれも製薬企業と癒着した予研=感染研幹部の腐敗から生まれたものです。予研=感染研は、他にも多くの反公共的・反国民的所業を犯し、国民の生命・健康への権利を侵害してきました(詳細は、新井秀雄『科学者として』〔幻冬舎〕所収の「年表」をご覧ください)。
 自衛隊は、すでに60年代の初めから、その「化学部隊」のうちに密かに「生物戦争研究班」を組織していましたが、2000年度から、「陸上自衛隊開発実験団部隊医学実験隊」を公然と編成し、核・生物・化学兵器対処のための本格的予算を獲得しました。それに伴い、防衛庁長官の「諮問機関」として「生物兵器への対処に関する懇談会」が設置され、その副座長に倉田毅感染研副所長、委員に渡邉治雄感染研細菌部長が加わりました。
 感染研は、今や、自衛隊と公然と連繋し、《731医学者》の《御用機関》になる道を歩みつつあります。同懇談会の委員全員は、すでに昨年9月、米軍の生物戦争基地、フォートデトリックの米陸軍感染症研究所や他の米陸軍生物戦争研究機関を訪れています。
 もちろん、政府、自衛隊、感染研は、仮想外国やテロ集団からの生物戦争や生物テロリズムへの「防衛研究」だと弁明するでしょうが、「防衛研究」がただちに「攻撃研究」に転嫁することは歴史の教訓です。ですから、それ以前の大前提として、政府、自衛隊、感染研は最低限、次のことを行うべきです。

  1. 731部隊の犯罪の実行犯・協力犯(731部隊幹部、協力した《悪魔の飽食の医学者》等)への公然たる追及・糾弾とすべての情報の公開
  2. 731部隊の犯罪の犠牲者への謝罪と国家賠償
  3. 戦後ならびに今日までの予研=感染研の米軍生物戦争研究機関との「癒着・協力関係・人的交流・研究内容」についてのすべての情報の公開
  4. 日本における病原体等の所在(施設、病原体等の種類と量)の公的機関への登録制度と後者による査察・罰則制度等、法律による規制
  5. すべての病原体・バイオ機関の名称・立地条件・職員の構成・扱う病原体等の種類と量・安全管理の実態等についての情報の公開

 以上の現状からみて、予研=感染研裁判の会、支援運動の皆さんには、予研=感染研の自衛隊・米軍生物戦争研究機関との癒着、生物兵器開発につながる研究をはじめとする反公共的・反国民的所業の禁止が、重大な課題になったといえると思います。」

 大歩さん、あなたはこの記述をも「単なる憶測」とおっしゃるのですか。感染研の前身である予研と旧731部隊との浅からぬ関係及びその関係を現在でも清算していない現感染研幹部達の姿勢からすれば、私の発言はあなたのおっしゃるように「単なる憶測」であるどころか、「十分に理由のある推測」であると考えますが、いかがですか。

 次に、4月22日のYTTさんへ。あなたの「裁判というものは全て『憎しみ、怒り悔しさ、恨み』が出発点ではないですか」という意見にわたしも賛成です。

「中村氏が望むように、憎しみ、恨みを奥に引っ込めて、法律的に、科学的に裁判を続けていこうとするつもりならば即刻控訴を取り下げ、感染研と冷静に、友好的に、住民と研究者が双方とも納得できる条件について和解の話し合いを始めたらどうでしょうか、憎しみ、恨み、予研裁判の場合は加えて「恐怖」も入りますが、を中心に据えない予研裁判なんて何の意義も有りませんから、法律論とか科学的な検証と云うのは「中心」を補強するものだと私は思います。」

 次に、YTTさんに指摘された点について私の今の気持ちと考えを述べます。わたしは「予研裁判」の闘いにおいて何も「憎しみ、恨みを奥に引っ込め」るつもりはありません。ただ、問題なのは、原告の科学的な主張に「憎しみ」を思わせる言葉遣いを付与することは、この裁判の正確に相応しいとは思わないと考えるからです。というのは、「予研裁判」は今では周辺住民だけの問題ではなく、日本全国の、いや全世界の問題になってしまったからです。故芝田進午氏も再三主張していたように、もし感染研庁舎から事故や大地震の発生によって病原体が漏出すれば、東京は日本の首都であり、全国から人々が来ており、また東京はニューヨークに次ぐ世界第2の国際都市であるので、漏れた病原体は周辺住民だけではなく、日本全国、全世界に伝播し、それによって漏れた病原体が引き起こす感染症が全世界に蔓延することでしょう。そうした可能性は決して否定できないのです。ですから、感染研の周辺の住民の怒りから始まったこの裁判も今では全国的・世界的な注目を受けているのです。というのは、先ほども述べたとおり、病原体の漏出の可能性のある感染研庁舎には、近くに住む周辺住民は恐怖と憤りを感じますが、それ以外の地域に住む・感染研庁舎からの病原体の漏出によって感染症にかかる可能性のある人々は直接感染研に恐怖や憤りを感じることはなかなかできません。それらの人々には、主観的な感情をあらわに出さないで客観的科学的に、感染研が彼らにとっても危険な施設であることを説得的に説明してあげなければ、原告を支持する立場に立っていただけません。そのようにすれば、彼らもまた周辺住民と同様に感染研に怒りを感じて原告の主張を支持するでしょう。
 また、担当弁護士によれば、裁判というものは、証言や証書及び弁論を通じて法律的・科学的に進めていくものです。YTTさん、是非この点をご理解してください。
 なお、私は原告の一人ですが、原告団を代表する者ではないので、今後の裁判の進め方等の原告内部の問題についてはご指摘のとおり発言を控えます。また、わたしは原告代表の故芝田進午氏の大学院での教え子の一人であり、あなたの言うように「「故人」に全ての責任を押しつけ」るつもりはありません。そのように受け取られたとしたら私の文章表現がいたらなかったからです。故人にもお詫びしたいと思います。
 また、言うまでもなく、あなたの「最後に私は、芝田氏が予研裁判を「私怨を晴らす場」としてやって来たとは、ウエブサイトを読み、氏の著書を読む限り全く考えられません、バイオ研究に対する「恐怖」、予研裁判を通して知った科学者、医学者の非科学性、国民の生命と健康を守る立場にいる厚生官僚の真の実体を自身の怒りを含めて国民に知らせんが為に死を迎える直前まで戦い抜きました。」という言葉には一部を除いて私も同感です。と言うのは、氏のウェブサイトの記述には、科学的・客観的な内容の記述に氏の科学的著作には見られない「憎しみ・恨み」の感情が伺える表現が散見されるからです。また、付け加えますが、私は現在、生前芝田氏が行なっていた海外の裁判支援者へのメール配信の仕事を受け継いで行なっております。私には芝田氏の裁判闘争を引き継いでいくつもりはあってもそれを非難する気持ちは毛頭ありません。