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「あおぞら」さんへ

2001/4/19 中村大輔

 最初に「あおぞら」さんや科学者会議の会員の皆さんに伝えたいことがあります。
 それは次のようなことです。

 これまで芝田進午氏が中心となって闘ってきた予研裁判には今から振り返ってみるとたしかに弱点があっと思います。たとえば、芝田氏が亡くなってからこそ分るのですが、住民の意思を全く無視して戸山に移転を強行した感染研に対する憎しみにも近い悪感情ばかりが表に出てしまった恨みがありました。芝田氏の主張は正しくともそれには冷静さを欠いた感情が出てしまい、国民に提訴の正しさを知らせるという、裁判の勝利に必要な活動を行うに際しても、それには常に芝田氏の憎しみの感情がつきまとっていて、そのことが、予研裁判がなんであるかを知らない人々が氏の主張を冷静に受け止めて判断することを妨げる結果となったと思われます。この点はこれまでの芝田原告代表が中心に進めてきた予研裁判闘争の反省すべき点だと今では私も思います。この点を前提にして、東京高裁に控訴された、第2段階を迎える予研裁判の闘いの進め方、あり方を再検討することが必要であることを確認して、これからあなたの属する科学者会議の会員をはじめとする民主的な研究者と討論しようはありませんか。
 ですから、これからは、あなたの私への質問にできるだけ紳士的にお答えします。私の答えに紳士的でない点がありましたらその都度指摘してください。
 私が前回のメールで「少なくとも周囲数キロメートルに人がいない立地条件がバイオ施設には必要です。」と主張したのは、例えば、事故が原因で旧ソ連のスベルドロフスクにある生物兵器研究のための微生物実験施設から炭疽菌が漏れて、風下5~6キロメートルの地域に住む住民が数十名死亡したという例があるからです。
 こういうことを言うと、感染研はそんな生物兵器の研究など行っていないので、それはこの件には当てはまらないという声が聞こえてきそうですが、実際には、感染研の副所長の倉田毅は自衛隊の生物兵器対策のための研究に協力しています。それは生物兵器対策のための研究だから、生物兵器から国民を守るために必要なことだと思う人が多いと思いますが、怖いのは、生物兵器対策のための研究はすぐに生物兵器の開発のための研究に転化できるし、実際、アメリカは生物兵器禁止条約を批准しても、「生物兵器対策のための研究」の必要性の名目で生物兵器の開発・研究を行っています。ロシアも同様だと思います。
 日本も自衛隊と感染研の協力によってこれと同様な研究を進めているのですから、日本が自衛隊と感染研の協力のもとで密かに生物兵器の研究をしているのではないかと私は恐れています。生物兵器になりうるのは、敵国の国民にワクチンの効かない殺人ウィルス等であり、そういう生物兵器はその病原体への感染やそれによる感染症の蔓延を引き起こし、敵国に大きなダメージを与えることができるからです。感染研は今も今後もこのような生物兵器の開発・研究を行っているかもしれないのです。そんな危険な実験施設は、住民の住んでいる地域から10数キロはなれたところに立地していても、住民は不安でたまらないでしょう。だから私は、「少なくとも周囲数キロメートルに人がいない立地条件がバイオ施設には必要です」と書いたのです。この点をどうか理解していただきたい。
 今回は私に時間がありませんので、その他の「あおぞら」さんの私への批判には他の機会に答えたいと思います。