中村大輔様
私は日本科学者会議東京支部の会員です。ただし、主要メンバーではなく、以下の見解は個人的な見解です。
他方、「日本科学者会議」という、共産党が支持し、党員科学者、研究者が加入している団体があります。芝田先生ももちろんその一員でしたので、先生は当然「日本科学者会議」は「予研裁判」の闘いを支援してくれるものと期待して、同会議の東京都支部の総会で支援決議を求める提案をしましたが、結果は期待に反して、提案の否決ということでした。いったい、都内の大学や研究所に身を置く「民主的な」研究者は何を考えているのでしょうか。
予研裁判を戦っておられる方々は、予研を「非住宅地」へ移転することを主張しておられました。ところが、日本科学者会議東京支部には「非住宅地」に住んでいる会員もおります。したがって、予研が危険なので非住宅地へ移転せよ、という主張を科学者会議が組織としてすることは不可能です。
(日本科学者会議東京支部には、日の出町の廃棄物処分場に反対する運動にかかわっている方も多いことにご留意ください)
なお、無人島へ移転、というご提案もあったと聞いておりますが、科学者会議には予研の会員もおりますので、無人島に移転せよということも申し上げるわけにはいかなかったと考えられます。
公平にみて、芝田先生のご提案は科学者会議東京支部には受け入れることが極めて困難なものであったと思います(繰り返しますが、私は科学者会議の幹部ではなく、特に科学者会議を擁護する義理があるわけではありません)。裁判を起こしてから科学者会議に支援を要請するのではなくて、裁判を起こす前に、主張や立場を調整しておく必要があったのではないでしょうか。
党中央も党員の内部、あるいは支部の間で見解の対立、相違があるならば、それを黙殺するのではなく、積極的に公開するべきです。
予研の問題について、科学者会議内部で意見の相違があることは公開されておりました。現に、私のような特に熱心とはいえない会員にも芝田先生の提案が否決されたということは伝えられておりました。
確かに、<積極的に>公開してはおりませんでした。しかし、現に裁判が戦われているときに、実は科学者会議の内部、共産党の内部でも、住民側主張の支持者は多くない、ということが公然と明らかになるのは運動の発展という観点からみて好ましいことだったでしょうか。
住民運動が裁判をやると、場合によっては「こういうことを言う/やると裁判に悪影響が及ぶのではないか」ということを気兼ねして、原告団・弁護団以外の人が萎縮してしまうというあるのではないでしょうか。
確かに「4大公害裁判」を初めとして裁判での勝利が住民運動を大きく前進させたのは間違いないところです。しかし、今もう一度、まだまだ難しいことが多いかと思いますが、住民運動における裁判の位置付けを再検討しなければならない時期にきているのではないかと感じざるを得ません。運動の発展のために裁判をやるのであって、裁判のために運動が制限されるのではないと思います。(というか、現に、先進的な運動はそういう見直しをやって一定の成功を収めていると思います。有名なアマミノクロウサギ裁判は、裁判をうまく運動を広げるのに利用したと思います。今進行中の問題では、諫早湾がそうでしょう。)
裁判では住民側主張はすべて正しく、住民が敗訴すれば不当判決、それ以外のことをいうと個人的な非難中傷さえ受ける、という状況は健全とは思えません。
では。