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教科書問題と金正男問題について

2001/5/11 イルボンサラム、50代

 教科書問題について。私は教科書検定制度には反対です。だから「つくる会」編集の教科書について、国家権力に対し合格を取り消せなどと要求するのは言語道断だと思います。
 たいせつなことは、検定制度の不当性についての認識を共有し、どのような立場の教科書についてもその発行を保障したうえで、日本国民とアジア諸国民が連帯し、圧倒的な世論の包囲によって、反動的な内容の教科書を不採択に追い込むことだと思います。それこそ市場経済の力学に期待して、このような教科書を発行することが利益にならないことを出版社にさとらせることが必要だと思います。
 金正男問題について。金正男の「不法」入国については、これが「不法」だから問題なのではありません。一方で金王朝の後継者だからお咎めなしで、他方で多数の「不法」入国者が摘発されているという不平等が問題なのです。また多数の人びとが飢えと恐怖に震えている北朝鮮国家自体の歴史的犯罪性を糾弾することなく、この国との国交正常化だけを無原則的に追求すること自体が不当なのです。
 いまこそ必要なことは、北朝鮮国家が史上まれに見る神権的奴隷制国家であることを暴露しつつ、同時にそのような北朝鮮国家を生み出した責任の一端を日本自体が持っているということ、また多くの在日朝鮮・韓国人を差別し迫害してきた日本国家の犯罪性をもあわせて糾弾するということではないでしょうか。
 その意味で、これら2つの問題に対する日本共産党の対応は、共産主義の党らしからぬ、バランスを欠いた、きわめて非理性的なものであると断ぜざるを得ません。