はじめに、J.D.さん、ぼくの投稿にすぐ応答していただいて、ありがとうございます。元来の筆無精はデジタルになっても直らず、遅くなってすみません。先を楽しみにしてますので、がんばってください。よみとばしのないよう、番号だけはふっていただきたいともう一度お願いしたいと思います。あとはまたいずれ。
米印リンクの要望を入れていただいて、編集部のかたにもお礼をいいます。
というわけで、J.D.さんへのご挨拶を枕にさせていただきまして、もうひとこと。このまえ、読書していて次のような文章にぶつかりました。
……猫イラズ自殺が流行、不況は狂気の人々を生む。
19日夕刻、失業官吏某、一面識もない通行人をいきなり槍で突き殺した。またまた大雪の同日深夜、「呪いの藁人形」をふところに徘徊する芸者某女を保護、「不景気で足の遠のいた旦那を祟り殺してやる」云々。20日午前2時、米国帰りの青年某、土橋(新橋)付近の路上にて首筋を斬り苦悶しているのを発見。いわく、「アメリカより日本は人使いが荒く、給料も安すぎる」。警察医は、発狂と診断をした。警視庁医務課の統計によれば、2月15日げんざい、野放しの精神病者は1365名。そのうち官憲の手をわずらわすものが毎日7~80名、(この勢いでゆくと、春先から木の芽どきにかけて一体どうなることやら)
アサヒグラフ 大正12年2月20日
(断影 大杉栄 竹中労著 筑摩文庫 223ページより)
僕らは過去のことを忘れてしまったり、知らなかったりして、今起こっていることを現在中心で評価しがちです。昨今の理由不明瞭な傷害、殺人、一家自殺、親殺し、子殺し、犯罪の増加は、つまりは上記「不況は狂気の人々を生む」、もっともこの言い方はまちがいで、正しくは、「不況は好景気ならめいわくな人間ぐらいですんだはずのある人々をも、何とかしのげていた人々をも、凶悪犯罪や自殺にまで追い込んでいる」ということであると思います。