お二人の苦渋に満ちた長年の闘いに共感します。敬意を表します。この闘いが持続した影に、夫君の深い理解と力強い支援があることに感動すら覚えます。裁判にまで持ち込まれた問題の本質は
① 労働組合の男性同僚(共産党員)が女性の文鳥さんに性的な辱めを働いたことです。
② 党組織は党員が犯した不祥事を隠蔽する目的で、「解雇撤回闘争の妨げとなるから表沙汰にせず我慢せよ」と忍従を指示(強制)しました。文鳥さんは組合員や党員のことを考えて(職場や仲間に対する愛情から)、組織の理不尽な指示(命令)に従ったまでです。
③ ところが、党組織の免罪符を貰った加害者(セクハラ男)が、自己擁護のために組織を利用して卑劣なデマを撒き散らしたことは容易に推測できます。
④ 本来は、セクハラを行なった男性党員は「党員として党の品性を著しく汚した」と、規約に基づいた処分が直ちになされるものです。それをしなかったことは党として重大な誤りでした。党の不公正な措置は加害者(セクハラ男)に寛大で、被害者(文鳥さん)には過酷なものとなりました。
当時の社会は女性の性的被害について、現在よりも数段の厳しい状況に措かれており、女性被害者は非常に弱い立場でした。真実を明らかにすることは、不特定多数の人々の好奇の耳目に晒されることになり、尚一層の深い傷を背負うことになります。結局、被害者は「泣き寝入り」せざるを得ません。そのような被害者心理につけ込んだセクハラ男や組織の醜悪な計算が読み取れます。
始めは文鳥さんを励まし力づけていた仲間も党組織の一員であるため、組織の意向に沿わないといけなく、心なくも離れて行ったのではないかと思います。そもそも、文鳥さんのおかれている立場を理解し、暖かい援助をしなくてはいけない党組織や同性の党員から、こともあろうに逆に冷たい白眼を向けられることの辛さ、寂しさ、無念、苛立ち、憤怒の感情が痛いほど伝わってきます。
共産党は決して誤謬を犯さないと信じている党員が大多数です。党が過ちを犯したことに気がついたら率直に自己批判する革新的で改革の党であるとノ-テンキに考えているとしたら、それは大きな誤解です。
私が辛酸をなめた体験から言えることは、党組織は重大な問題や誤りを隠蔽してしまう体質があると言うことです。文鳥さんの事件は、まさに隠蔽体
質の典型で、どこの党組織においても被害者がつくられる可能性があります。不公正、不祥事を組織的に正当化するためには、ウソ、偽り、捏造、デ
マ、尾行、脅迫、イジメなどを通達で下部に流して実行することも厭いません。個人がやるのではなく組織でやるので、個々の党員の良心は痛みませ
ん。上級の指示に従ったまでだと反省とか自己批判などとは全く無縁です。指導者の誰一人として謝罪をしようとしません。文鳥さん夫妻が何故裁判にまで持ち込んだか。闘わなければダメ人間になると悲愴な決意をされたのではないでしょうか?
しかし、決して挫折しないで闘いを継続して下さるようお願いします。理不尽な仕打ちをされ悶々としている党員や支持者を勇気づけていることを確信して下さい。党を腐敗させる体質を払拭させる革新の闘いに参加して下さい。
文鳥さん夫妻に対する批判や擁護論が徒に「机上の空論」とならないことを願っています。