日本共産党が首相公選制に反対するのは、これが憲法の「国会は国権の最高機関」規定に反するからです。現憲法のこの規定も、戦前の天皇制官僚制下での行政権の圧倒的優位と国会の形骸化が戦争への道に繋がったとの反省から生まれたものです。先進国でも、大統領制を採っているのは米仏くらいで、議院内閣制が一般的です。森のような不適格者が首相になったからといって、直ちに首相公選というのは暴論です。首相公選制のマイナス面も十分に検討すべきです。大体政権党のくせに森のような不適格者を密室で派閥の論理で決めるような自民党に問題があるのであり、これを以って「議院内閣制は駄目」というのは論理の飛躍です。
次に市町村長や都道府県知事が直接選挙で選ばれるのは、戦前地方自治が認められていなかったのを現憲法で地方自治を認めたことによるものです。無論日本共産党は自治体首長公選制には反対していません。だからといって、国政と同次元で論じることは出来ないのです。あえて付加えるなら、首相公選制にしたところで横山ノックのような不適格者が選ばれる危険性も十分あるのです。そのような人物が自衛隊指揮権を握ればどのような結果になるか、十分考慮すべきです。